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大塩平八郎、令和に立つ —デブ総理の中身が義士だったので、知行合一で国を救ってみた—  作者: 桐生宇優


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7/12

第7話:『檄文は光速を超えて ―総理、バズる―』

1. 卑劣な「影」の仕掛け


「……これは、酷すぎます!」


秘書官の神田が、震える手でスマホを平八郎に突き出した。


画面には、衝撃的な見出しが踊っている。


『石悪総理、海外に隠し口座! 復興予算を私物化か!?』


『独占スクープ! 総理、深夜のラウンジで美女3人と密会不倫!』


添えられた写真や動画には、たしかに石悪(平八郎)がニヤケ顔で札束を受け取り、女性の肩を抱く姿が映っていた。


「……神田。これは、何という術だ? 私はこの数日間、修行と握り飯の事しか考えておらぬ。このような女子おなごたちなど、一人も知らぬぞ」


「わかってます! これは『ディープフェイク』です。AIを使って、偽物の動画を本物そっくりに作る悪質な捏造ですよ。権田長老たちの仕業に違いありません!」


世論は一気に反転した。

せっかく20%まで上がった支持率は、数時間で1%へと急落。官邸前には「嘘つき総理は辞めろ!」と叫ぶ人々が集まり始めた。


2. 「掲示板」という名の戦場


「……言葉を盗み、姿を偽り、民を欺くか。大坂の悪徳商人と、やっておることは変わらぬな」


平八郎の瞳に、冷たい怒りが宿る。


神田は必死に説明した。

「総理、今の時代、一度ネットで拡散された情報は消せません。記者会見を開いても、どうせ揚げ足を取られるだけです」


「……ならば、直接語ればよい。この『えすえぬえす』というものは、民一人一人の耳に、直接声を届けるための『狼煙のろし』であろう?」


「……え、まあ、そうですけど。……まさか、生配信をやるつもりですか?」


平八郎は力強く頷いた。


「知行合一だ! 疑いがあるなら、隠さず、偽らず、ありのままをさらけ出すのみ。神田、その『魔法のスマホ』を準備せよ!」


3. 伝説の生配信、開幕


その夜。

総理公式YouTubeチャンネルにて、緊急生配信が始まった。


同時視聴者数は瞬く間に100万人を突破。コメント欄には、誹謗中傷の嵐が吹き荒れる。


『死ね』

『デブ詐欺師』

『腹切れ』


画面に映し出したのは、豪華な書斎ではなく、質素な和室。


そこに、上半身裸で座禅を組む石悪(平八郎)が現れた。


「……民よ。騒がせておるようで、済まぬ」


低く、響く声。


コメント欄が一瞬、止まった。


引き締まった肉体、そして一切の迷いがない眼光。


動画の「ニヤケ顔の石悪」とは、あまりにも別人だったからだ。


「……あそこに映っておる男は、私ではない。あれは影だ。魂なき、泥の姿だ」


平八郎は、一振りの木刀をカメラに向けた。


「……信じぬ者は、それでよい。だが、私は誓おう。私は、己の私欲のために一銭の金も受け取っておらぬ。もし、一分の嘘でもあれば、私は今この場で、自らの腹をかっ捌いて見せよう!」


4. アンチを「喝」で粉砕


コメント欄に、工作員ボットたちが一斉に書き込む。


『証拠を出せ!』

『どうせパフォーマンスだろ!』


平八郎は、画面の向こう側にいる数百万人に語りかけた。


「……証拠? 証拠など、この肉体と、私の行い以外に何がある! お主ら、いつからそんなに、画面の中の文字ばかりを信じるようになったのだ!」


彼は、カメラに顔を近づけた。


「……自分の目で、見よ。自分の耳で、聞け! 私の言葉が嘘か、それとも真実か、お主らの『魂』に問いかけてみろ! 知っているのに、騙されたふりをして嘲笑あざわらう。……お主らは、そんなに卑怯な民であったか!?」


「喝ッ!!!!!」


平八郎が画面に向かって一喝した。


その瞬間、配信の音声レベルが振り切れ、視聴者たちのスマホが物理的に震えた。


誰もが、その気迫に圧倒され、キーボードを打つ手を止めた。


5. 逆転のバズ


配信から数分後。

ネット上の空気は、劇的に変わり始めた。


『……この気迫、フェイクじゃ作れねえ』

『初めて政治家の言葉で、鳥肌が立った』

『AIの動画より、このおっさんの目の方が信じられる』


さらに、平八郎の「一喝」のシーンが切り抜かれ、TikTokやInstagramで爆発的に拡散された。


若者たちは、その圧倒的な「ガチ感」に魅了されたのだ。


「……神田。あの流れていく文字コメントは、止まったか?」


「……止まるどころか、凄まじいことになってます。『総理、推せる』『一生ついていく』って……。


支持率、V字回復して、ついに30%です!」

平八郎は、ふぅと息を吐き、神田に聞いた。


「……ところで、この『スパチャ』という金色の絵は何だ? 画面に銭が降っておるが……」


「……あ、それは視聴者からの投げ銭です……。えっ、待って、一晩で数千万円……!? これ、全部被災地に寄付すれば、また好感度が……」


平八郎は微笑んだ。

「……当然だ。蔵に入らぬ金は、民に返せ。それが『令和の蔵破り』だ」


その頃、高級クラブで配信を見ていた森川長老は、震える手でスマホを床に叩きつけた。


「……バカな。……ネットの民を、魂だけで説得するだと……!? 石悪、貴様は……一体、何者なんだ……!」


大塩平八郎、SNSという「現代の檄文」で民の心を掌握!


だが、追い詰められた闇の勢力は、ついに「国家の崩壊」を目論む暴挙に出る――。


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