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Marionett‘s Memorial  作者: DEER
二章 知らぬ未来は追憶の中に
14/30

十四幕 孤児の課題

特になし!

「到着!」

「そうね、自宅から徒歩零秒とは恐れ入るわ」


 扉の先は古びた教会だった、講堂の一番奥の窓の前にはあの『女教皇』を模った像が置かれている。

 ここ法国には信じる神様は居ない、というか世界どこを神様を信じている者は殆ど居ない。

 基本的に『役』持ちが宗教なり国なりの象徴となっているため、あんな像がでかでかと置かれているらしい。


 昔はあんな像なんて置いてはいなかったらしいのだけど、なんでも昔の勇者がこのスタイルを考えたらしいわ。

 勇者様が言うんだからきっと意味があるんだろう……そんな流れから生まれたのがこの教会というわけだ。


「勇者だとかご利益だとかはどうでもいいけど……趣味が悪いわね」


 自分の像を拝ませるなんて悪趣味じゃないかしら? それとも目立ちたがりなのかしら? どっちにしても私には分からない感覚ね。


「そう言わないであげてよ……エリーもその辺苦労してるみたいだからさ」

「面倒なことしてるのね」

「自然とそうなったんだから止めようがないよ」


 まぁなんでもいいわ。

 それよりもここは孤児院なのだから当然子供が居るわけで……


「何処に子供が居るのかしら?」

 獣が居たら即座に殺してやる、無理なら一生ここには来ないわ。


「お? 意外とやる気? 子供たちなら今は……あぁ丁度居るね」

 目線の先を見てみると講堂の横の扉から小さな目が三つこちらを見つめていた。


「(……バレたかな?)(大丈夫だ、まだ気付いてる感じじゃない)(もう止めておこうよ……怒られるって)」


 ……普通に聞こえたわ、そしてこっちも凝視してるのにどうしてバレてないって思えるのかしら?

「なんかひそひそ話てるね……ルナが可愛いとか言ってたりして」

 いいえ、全くそんなことは話してなかったわ、というかソルは聞き取れなかったのね?


「見た目が可愛くない人形にどんな価値があるのかしら、性格はどうあれ外見は可愛いに決まってるわ」

「おおぅ……自分で言っちゃうのね」


 人形の矜持ってやつよ。

「それじゃあ会ってくるわ、前任者の仕事を後で教えて頂戴ね」

「了解……やっぱり結構やる気じゃない?」


「そうでもないわよ、ただ任せられたならしっかりとやるべきだろうし、必要とされているなら頑張るのもやぶさかではないというか……何よ」

「いやいや、何でもないよ? ただちょっとツンデレなルナが可愛いなってね」

「殺すわよ」

「はっはっは! やれるものならやってみ……うわ!」


 突き出した拳に『月』の力を纏わせた一撃を繰り出す。

 直感的に避けたのか……それとも同じ『役』持ちとして力の発動を感じ取ったのかは分からないけど避けられてしまったわ。


「チッ……外したわ」

「危ないじゃないか! こんなことに『月』を使おうとしないでよ……あぁ本当だ少し術が解かれてる、なんでここぞという時じゃなくてこんな時に使うかな……まぁそのおかげで気づけたんだけどさ」


 ここぞというとき? 使える時に使わずしていつ使うのかしら? 相手が無力だと決めてかかっていて、こっちが攻撃動作をしても警戒していなかったさっき程の使うべき時は滅多に来ないと思うわ。


「行ってくるわ、後で会う時までにそのニヤケ顔を何とかしておきなさい、別に『月』が使えなくてもそのまま殴るくらいはできるんだからね」

 本当……いつかぶっ飛ばしてやるわ。


「いってらっしゃい、頑張ってね~」

「やれるだけやってみるわよ」



 さて……ようやくバレてることに気付いて奥に引っ込んだ子供たちを見に行きましょうか。

 昔から子供は好きなのよ、人形を大切にしてくれるのは子供か一部の大人だけ。


 たまに人形を乱暴に扱う子供もいるけど……そういう子にはお灸を据えないといけないわね。

 どうあれここの子供たちはどっちでしょうね、いい子達だと嬉しいのだけど……。


「さてここね」

 扉を進んだ先にあった小部屋、ここから人の呼吸音がする。

 全員で……三人かしら?


 まぁいいわ、とりあえず入りましょう。

 扉を開けるとそこにはベットが五つ敷かれており、その部屋の恐らく自分のベットに十歳前後の女の子と十二歳くらい男の子が一人座っていた。


「あら、随分と大人しいのね」

 意外だったわ、子供って新しい物には直ぐに飛びつくじゃない? 開けた瞬間に飛び込まれることまで想定してたのに……なんか拍子抜けね。


「はじめまして、今日からここのシスターを務めるルナよ、それなりに気軽にしてくれると助かるわ」

 気軽過ぎたらちょっと面倒そうだから……それなりくらいが丁度いいわ、子供が考慮してくれるとは思えないけどね。


「新しい……シスターさん?」

「……子供?」


 言わんとすることは分かるわ。

 確かに私は大きくないし、子供達と比べても同じくらいよ。


 前任者がどんな人かは知らないけど、普通は大人が務めていたのでしょうね、ギャップに驚くのも無理ないわ。


「ええ、私が新しいシスターよ、あと子供じゃないわ、こんな姿だけどね」

 今日の服装はちょっとシスター服をイメージして青を基調とした服装に、子供用の修道女の帽子を付けている。


 どう見てもシスターに憧れて背伸びしてみた子供にしか見えないだろう。

「えっと……あの……は……初めまして?」

「……初めまして」


 おお……いい子達ね、挨拶ができるのはいいことだわ。

「他の子達はどこかしら? 多分あと三人居るわよね?」


 ベットが五つあったこともそうだけど、この子達の声を聴いて確信したわ。

 あの扉から覗き見ていた子達とこの子達の声は別ね、ここの問題児はあの三人かしら?


「えっと……あ、あの三人は……」

「三人は隠れました」


 隠れた?

「……逃げたわね」

「は……はい、多分……」

「どうせあの三人のことです、見つけれないと認めないとでもいうのでしょう」


 ほうほう……なるほど。

「要は見つければいいのね? 分かったわ」


 私相手に隠れられると思わないことね。

「まず一人、見~つけた」


 この部屋に入った時に分かっていたけどこの部屋には三人居たわ、二人が居て三人が隠れたなら、もう一人が隠れている内の一人と考えていいでしょう。

 一番奥のベットの下、そこをのぞき込むと丸まった小さな男の子が居た。


 大体五歳くらいかしら? 何も言わないでも泣きそうになってるわね。

「大丈夫よ、怒らないから出ていらっしゃい」


 そう私が言うとビクビクしながらもゆっくりとベットの下から出てきてくれた。

「ご……ごめん……なさい」


 多分他の子にそそのかされて隠れたのでしょう、その罪悪感で今にも泣きだしそう……もう半泣きね。

「泣きそうになるなら隠れるなよな……あいつらが何か言ってきてもかばってやるから」

「ご……ごめん……うう……うわわあああぁぁぁ」


 完全に泣き出しちゃったわね……さてどうしようかしら

「大丈夫……泣かないでいいわよ」


 いつもだったら洗脳魔術で何とかするんだけど……残念ながら今はそうはいかない。

 頭を胸の前に抱いてポンポンと叩いて大丈夫って言ってあげるしか泣く子を泣き止ませる方法を知らないわ。


「大丈夫……大丈夫よ」

 ポンポン


「う……ぅう……ごめんなさい……」

「大丈夫よ……謝らくていいわ……大丈夫……大丈夫」


 ポンポン


 

 いつまでそうしていただろうか、大人しくなったなと思った時にはもう眠ってしまっていた。

 このまま寝かせてあげましょう……。


「さて他の子を探さないとね、ね? リーダーさん?」

 ベットに横にしてあげた男の子の顔から目を離して、ずっと部屋に居た男の子に目を向ける。


「……! ……リーダーじゃない」

 目を逸らして答える男の子、ふふふ……悪い子ね。


「まあいいわ、それにもう探す必要もなくなったみたいね」

 扉の向こうで様子をうかがってる人が二人、おおかた鳴き声が聞こえたから不安になって戻ってきたのでしょう。


 ちょっと悪戯なところがあるみたいだけど、根が優しい子達ばっかりね。

「ふふっ……隠れなくていいわよ、入っていらっしゃい」


 そう声をかけてみる

「(バレた?)(……絶対バレてるな)」

「(入る?)(入った方がいいっぽいな)」


 さあいらっしゃい

 恐る恐るといった風に扉が開けられ、入って来ると同時にキョトンとした顔をする二人。


「あれ? 子供?」

「ここらでは見たことない奴だな、どこから来た」


 まぁ……そうなるわよね。

「初めましてお二人さん、私は今日からここでシスターを務めることになったルナよ、宜しくお願いするわ」


「あ……はい、はじめまして……?」

「俺よりも年下がシスターだって? おいおい大丈夫かよ」


 む……年下に見られているのは腹が立つ。

「年下じゃないわ、これでもそれなりに長く生きてるわよ」


 あんまり暦を意識して生活してこなかったから正確な歳はわからないけど、間違いなくこの子達よりは年上だわ。


「けっ強がりやがって、俺は見たぞ、お前『太陽』のソル様に殴りかかってたじゃねぇか、そんな暴力女がシスターに成れるわけねぇ!」


 あら……そういえば見られてたんだったわね、どう説明しようかしら……困ったわ。



クリスマスネタで一つIFストーリーを書いたのですが、いつ上げればいいものやら

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