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五話 キャラブレ

5話 出会い


森は半壊していた


地面は抉れ、

木々は消し飛び、

さっきまでスライムがいた場所には巨大なクレーターができている


「これ絶対初心者クエストじゃねぇだろ……」


海斗が引きつった顔で呟く


マリは尊敬の眼差し


ガイはドン引きしていた


「お前ほんとに新人か……?」


「俺が一番聞きたいわ」


すると、


ガイが急に海斗の肩を組んだ


「まぁ気にすんな!

 男なら細けぇことはノリだ!」


「え?」


海斗が固まる


「お前そんなキャラだったっけ」


さっきまで頼れる兄貴枠みたいな雰囲気だったのに、

急に軽くなっていた


『キャラが定まっていなかった』


「メタ説明やめろ!」


思い出した


ガイは途中参加キャラだ


しかも深く考えずに追加した


だから性格が安定していない


その時だった


「海斗さんって優しいですよね」


マリが微笑む


「……え?」


「わたくし、

 最初は怖い人かと思っていましたけど」


頬を赤く染めるマリ


「本当はとても仲間思いなんですね」


「いやまだ出会って数時間――」


「俺もそう思うぜ!」


ガイがニカッと笑う


「お前みたいな熱いやつ嫌いじゃねぇ!」


「いや距離感バグってる!!」


『好感度上昇イベント』


「早すぎんだろ!!」


すると突然、


マリの表情が消えた


「……ですが」


「え?」


「あなたみたいな人、

 私は嫌いです」


「は?」


空気が凍る


数秒前まで好感度高かったよな?


ガイも困惑していた


「え、なんで?」


マリが冷たい目を向ける


「力を持つ人間は、

 いつか必ず傲慢になります」


「急に重い!?」


海斗が混乱する


さっきまでキラキラしてたじゃん!


『シリアス展開をやりたくなった』


「ライブ感で性格変えんな!!」


海斗が頭を抱える


思い出した


当時の自分だ


感情移入できる“深いヒロイン”を書きたくなって、

急にシリアス設定を盛ったのだ


でも前話との整合性は考えていなかった


するとマリが急に笑顔へ戻る


「冗談です!」


「戻るの!?」


「海斗さん面白いですね!」


「情緒ジェットコースターか!!」


ガイも爆笑していた


「わははは!!

 マリってたまにこういう冗談言うんだよ!」


「お前も急に陽キャ化すんな!」


海斗は確信した


この世界、


キャラ設定がめちゃくちゃだ


そしてその原因は、


全部自分だった


『作者にも扱いきれていなかった』


「うるせぇ!!」

次の瞬間、


景色が切り替わった


「うおっ!?」


気づけばギルドの受付前だった


「またこれか!!」


『場面転換』


「もう聞いた!!」


周囲の冒険者達がざわつく


「今いなかったよな……?」


「転移魔法か?」


「Sランク級では……」


「違う!

 作者の都合だ!!」


海斗が叫ぶ


受付嬢がにこやかに微笑む


「スライム討伐の完了を確認しました!」


「いや確認早っ」


『テンポ重視である』


「全部それで済ますな!」


受付嬢は書類をぺらりとめくる


「では、こちらが報酬です!」


「おっ」


海斗が手を出す


しかし、


何も起きない


「…………」


受付嬢は笑顔のままだった


「…………」


海斗も待つ


数秒経過


「……え?」


受付嬢は笑顔


何も渡してこない


「いや報酬は!?」


「はい!

 こちらが報酬です!」


「だから何もねぇだろ!!」


受付嬢が困ったように首を傾げる


「ですが、

 報酬の詳細は書かれていませんので……」


「は?」


海斗の顔が引きつる


思い出した


昔の自分だ


戦闘シーンだけ書いて満足していた


報酬金額とか、

アイテム内容とか、

その辺を考えるのが面倒で、


『報酬を受け取った』


だけで済ませていた


「そんなとこまで反映されてんの!?」


『設定不足である』


「世界として成立するな!!」


すると横でガイが腕を組む


「まぁ新人あるあるだな」


「あるあるなの!?」


マリも苦笑していた


「たまにいるんです

 “報酬未設定クエスト”」


「そんなバグみたいな扱いなんだ……」


受付嬢が営業スマイルのまま頭を下げる


「今後とも冒険者ギルドをよろしくお願いします!」


「ブラック企業の定型文みたいに言うな!!」

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