イキり魔術師
「よーい、すたーとー」
ダル気な声を聞きながら杖を構える。
「お姉さまー!頑張ってー!」
天使のような笑顔で応援をする妹のロベリア。だがその正体は、姉の評価を地に落とし、すべての物を自分のものにしようと企んでいる、正真正銘の悪女だったのである。
なので彼女の周りにいる者たちはみな彼女の仲間であるのだ。
ロベリアはすごくモテモテ、いっつもイケメンの男としゃべってる逆ハーレム状態になっている。
「魔術何使おうかな~」
杖を構えながら考える。やっぱ火か?水も使ってみたいが。
チラッと相手を見る。名前なんだっけ・・・まあいいや。あいつは何を使うのだろうか。
『地を操る』
突然地面が宙に浮き、こちらに飛んできた。
「わっ」
急いで避ける。危なかった。
それにしても奴はいつ詠唱したのだろうか。本来なら必要なはず・・・
「あ、いつ私が詠唱したか気になってます?それはですねぇ、始まった時からずっと小声で唱えていたのですよ」
「私の得意魔術は『地』です。覚えておいてください」
地か~。地って確か地面とかを操るみたいな・・・
火って効くのかな。試し撃ちするか・・・
『火』
ドーン
相手の方へ飛んでいく。最近私は魔力の制御方法が分かってきた。なので常識範囲の『フォチア』も使える。
どれどれ、相手の反応は・・・
シュウウウウ・・・
普通に防がれた。えーと、あれは結界か。なんか、防ぐやつ。
それにしても、火は全然効かなかったな。土には火じゃないのか・・・
「ふふふ、まだこんな初級の魔術しか使えないなんてかわいそうですね。私が手本を見せてあげますよ!」
『炎球』
ふふふ。この女は闘技場のルールなんて全く知らない!実にかわいそうだ。この闘技場は、戦うなら殺しても良し!ガチで殺り合えと先々代の国王が作ったものなのだ!
そしてこの火魔術は上級!結界でも到底防げぬ!
魔術を習い始めてたかが数日のお前と、何十年も研究し、極めてきた私とは全く違うのだよ!
何も恨みはないが・・・さらばだな。と、魔術師は思っていた。
ドンッ
ぶつかる音が聞こえた。
「あーあ、人を殺したのだから、ロベリア様にご褒美でも、もらわないと・・・」
「魔術ってすごいよね」
キイイイイイイン
「な、な、なあああ!?」
「どんな魔術でも防いじゃう魔術があるんだから」
そこには、結界に包まれたイリスがいた。
「貴様!私の魔術で死なないなんて・・・一体何をした!」
「ただ単に結界で防いだだけだけど?」
その言葉にものすごくショックそうなポーズをオダマキは取る。
奇妙なポーズにイリスはドン引きだ。
「あ、そういえば、この競技場って・・・」
「闘技場」
「そう、この闘技場ってさ、殺しありなんでしょ?」
「え、何で知っているのですか!?」
「いやー、だって私ここの第一王女だよ?それなりのルールとかは全然知ってるし、何なら公務の体験もさせられた」
そう。みなもビックリしすぎてぎっくり腰だろうが、この王女実は結構頭がすごいのである。(色んな意味で)。
いじめ発覚事件が起こる前は結構人気があった王女・・・それはロベリアのように猫被っていたからだー!血ってホントにつながってるんだね。
「ということで、覚悟してね、魔術師くん」
ダンジョンでも見せた、にっこりとした顔がそこにあった。




