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最悪な未来

「‥‥‥ライアス?」


 その名を聞いて、イリスは目を見開いた。そうだ。こいつはこの国の第二王子だ。


「ああ?やっと思い出したか呑気な姫様がよ」


 イリスは思い出した。ライアスとは何時の時か王族だけの交流会があった時に出会ったのだ。

 その時の私はずっと愛想を振り撒いていたのでモテモテであったが、確かライアスは無愛想過ぎて誰にも近寄られていなかったのだ。


「‥‥‥非モテ君」

「ふざけんなおめぇ」

「あいたっ」


 おでこにデコピンをされた。女の子の顔に何をするか。


「君は昔から愛想が悪いんだよ~。もっとこう‥‥笑うとか出来ないの?てか笑ったことある?」

「るっせぇ!!何しようと俺の勝手だろうが!」

「うわぁ、これじゃまた女の子に怯えられちゃうね。どんまい」

「黙れェ!!!」


 うるさいなぁ、耳が痛いよ。

 そんなことより、父上が第二王子に会ってこいと言った理由って何だろ‥‥?


「はぁ‥‥‥」


 ため息を吐き、ライアスは私を担ぎながらどこかへ歩き始めた。


「おいこら!!姉さんをどこへ連れてくんだ!!」

「わ、わわわ兄様ぁ、ゆ、誘拐はだめです—!」

「違うわ!!‥‥‥お前らおこちゃまには話せない内容なんだよ!」


 私以外には話せない内容?うーん?まさかとは思うけど‥‥‥


「では、私が付いて行きましょう」

「カルミア!?」

「私は国王様から聞いていますので‥‥‥”色々”と」

「‥‥‥そうか、じゃあいいぜ。そこのメイドとイリスだけだ。それ以外はおままごとでもしてろ~」


 ライアスは私を担ぎながらある部屋へと向かった。



「‥‥‥このメイド、本当に信用していいんだろうな?」

「知らなぁい。だってロベリアのメイドだもん」

「あー、あいつのメイドか。だったら‥‥こんなことにもなるわな」


 ライアスは今、カルミアから決め技を受けていた。


「カルミア、そろそろ放してあげて」

「はい」

「いや、そもそも何でメイドが王族に決めてくるんだよ。普通なら処刑だぜ?」

「カルミアは‥‥‥多分、処刑宣告されたらまず一番最初に君を殺すよ」

「こわっ」


 イリスは紅茶をすする。私的にはライアスがメイドに決め技をくらっていてもどうだっていいのだ。それよりも話の内容とやらが知りたい。


「こんな茶番してないでさっさと要件話して」

「あー、そうだった。‥‥一言で言うと、俺殺されちゃうから守ってって話!」

「ふーん、きっと君は誰かに恨みを買ったんだね。ドンマイ。墓に供える花は黄色のカーネーションでいい?」

「縁起わるっ」


 こいつ黄色のカーネーションの花言葉を知っているのか。まさか、誰かにあげようと調たことがあったのか!?


「ライアス、今のうちに遺言書いときなよ」

「ヤダわ!てか書くことないわ!!」

「うっわぁ、サイテー。家族にも書かないんだぁ」

「知ってるだろ、俺が家族から嫌われてることくらいよ!てかお前も父親と仲悪いんじゃねぇか。人の事言えねぇだろ!!」


 痛いとこ突かれた私はライアスを無視する。


「‥‥‥で?ライアスはどうするのさ。まさか女の子に護衛とか‥‥‥」

「ちげぇよ!何だって‥‥そう俺が殺されると言ってきたのはお前の父親なんだよ。どうして分かったのかは教えてくれなかったけどな」


 ふむ。まさかと思うけど父上も私と同じなのか。嫌なとこ遺伝したな。


「‥‥‥ライアス。私とちょっと目合わせてくれる?」

「いいけど」


 ライアスとイリスはジ——‥‥と見つめ合う。

 あれ?とイリスは不思議そうに眉を寄せた。


「あ?どうしたんだよ」

「ん、ん——‥‥‥いや、これはマズイなぁ。どうしたもんか‥‥‥」

「だからどうしたんだよ」

「ねえ、君はこの事を君の父親に言った?」

「え、別に言ってないけど‥‥‥」


 そりゃ良かった。さっきライアスと見つめ合っていた時、私が見たのはライアスの未来だった。

 この国は神が好きらしく、年に一度‥‥『神拝祭(しんぱいさい)』を行うらしい。教会へ行き、一人一人神の像を触って恩恵を受けるとか。


 そこでライアスは殺される。ライアスの事を殺したのは少し大柄で、体格は老人って感じ。私は体格を見ればどんな人か大体の見当はつく。そこで分かったのだ。犯人に体格が似てる‥‥そして私が知ってる人の中で、何人か挙げた犯人候補に、この国の国王がいることを。


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