黒猫の正体
ガミガミクドクド
現在‥‥———イリスとロベリアは二人そろって父親に怒られていた。
「ということで…これからアヴリオ王国に行ってもらう!」
「「何で!?」」
■
「ふざけんな‥‥」
ロベリアとイリスは今、別の国に来ていた。
この国は何かと神への信仰が強いらしく、宗教に入らないなら一度くらい自分たちの国に来てくれと言われて断れなかったらしい。
「ロベリア様、何故こんなことに‥‥」
イリスとロベリアのお付きにカルミアとグラジオラスが付いてきていた。
「父上がな、この国の第2王子に会ってほしいらしい」
「何故でしょうか」
「知らね」
ところで姉さんとグラジオラスは‥‥‥いた。何か地面に座って何か触ってる。どゆこと?
「姉さーん、何してるんですか」
「ん?ねえ見て、猫!」
イリス姉さんがずっと撫でてる猫を見る。黒猫だ!ん?何かこの黒猫見たことあるような?
「あ」
声を出すと同時に猫がパンチをかましてきた。サッと避ける。
この猫俺のこと嫌いだな?
「にゃあ~ん」
「や~ん、かわいい!」
イリスがガバッと猫に抱きつく。おそろしい速さだ。これなら猫も逃げられないな。
「ロベリア様、良いのですか?」
「ん?何が?」
「黒猫って言ったら不幸の象徴じゃないですか。見たら不幸が起こるらしいですよ」
「そんなんただの迷信だろ。黒猫なんて案外どこにでもいるぞ」
バカバカしい。でも、確かに黒猫は、昔いた悪い魔術師の使い魔なんだったっけ。だから黒猫は不吉のイメージが強いのか。
「あれ、でもこの猫ちゃん足に鈴ついてる。君飼い猫か~」
ざんねーんとイリスは黒猫を地面に降ろす。もしかして飼うつもりだったのか?
「そうですね。この猫は飼い主がいるようなので早く返してさっさとアヴリオ王国の国王に挨拶してさっさと自分の国に帰りましょう!」
「え~」
「何言ってるのよ、私に主なんていないわよ」
「だって~、じゃあ飼える‥‥ね‥‥」
「「「「え?」」」」
■
「猫が喋ったぁ‥‥‥」
「あら?あなた達の中では猫は喋らないの?変な偏見ね」
「当たり前だろ、この猫。俺が見てきた猫のうちに喋る奴はいなかったぞ」
こいつは本当に猫なのか?それとも神の御使いとやらか?この国の事だしな、そこらへんにいるものなのかもな。
「でもね、私の事が見える人間の方が珍しいのよ?」
「何で?」
「そりゃあ、私は使い魔だからよ。選ばれし人間にしか私の事は見えないの」
聞いたことがある。この世には神に選ばれた人間に従う使い魔という種族がいるとか。
「でも私達全員、君のこと見えるよ?それは何で?」
「さあね、国自体が神に好かれてるんじゃない?」
「んなわけないだろ、神なんぞ国が信仰してないんだぞ」
「じゃあ知らないわ」
んっとに役立たずな使い魔だな。今まで何してたんだが。
「あの、ロベリア様。そろそろ国王に挨拶しに行かないと怒られるかと‥‥‥」
「‥‥‥マズイな」
「よっこらせ」
グンッと体が引っ張られた。見るとグラジオラスがイリスとロベリアを脇に抱えていた。
「わぁ~」
「少し飛ばします。気を付けてください」
という声と共にイリス達の姿がその場から消えた。
■
「到着です」
あまりの速さに目を回してる内に着いたらしい。目の前には城の門があった。
「はっや、十数秒くらいしか経ってないんじゃないか?」
「えー!楽しかった!もっかいもっかい!」
ザッ‥‥
音がして周りを見ると、たくさんの騎士がイリス達の周りに刃を向けて立っていた。
「ん?」
「あれ?」




