ブチギレお姫様
「グアアアアア!!!」
傷がついたドラゴンは、キレてイリスの元へ一直線に向かってきた。
「ん?」
「グオオオオオオッ!!」
ドラゴンはイリスに砲口を浴びせる。
「おわっ」
ゴロゴロゴロゴロ、ガンッ
イリスは後ろに転がり、派手に頭を柱にぶつけた。
「・・・っ」
痛すぎて床に転がり悶絶する。
「何あの鳥~、急に突き飛ばしに来て!」
イリスはカッカと怒っているが、ここでみなに言っておこう。知っていると思うがイリスは化け物だ。
本来あの砲口を受けたら普通に潰れて死ぬのだが、化けも・・・イリスは吹っ飛んだだけで済んでいる。
それは化け物が無意識に防御魔術を使ったからである。それは呪文を詠唱せずに魔術を使える者にしか出来ないことだ。ほとんどの者は唱えてる間にやられる。
なので今、痛ーいと言っている化け物は、ただたんにビックリして自分で転がっただけだ。
「許さぬ。あの鳥・・・」
完全にキレた(笑)イリスは杖を構えた。
『スタフティ』
これも火の系統なのだが、さっきの魔術よりも倍以上強いこの魔術・・・中級魔術なのだが、キレてるお姫様はさっきよりも魔力操作が出来ず・・・本来の五倍の威力で魔術を放ってしまった。
それは上級魔術位の力・・・そんな魔術を受けたドラゴンは悲鳴も出す間もなく、灰と化してしまった。
「けむい」
呑気なイリス。
「?」
後ろに何か箱がある。なんだろーっと不用意に近づき、そのままためらいもなく開けた。
「おっきいハンマー?」
それは、知ってる者なら誰もが欲しいと思う武器・・・。
イリスの手にあるそれは、神器だったのである。
ここは、確かにS級ダンジョン・・・だが、イリスは方向音痴すぎてなんとボス部屋をすっ飛ばして、隠し部屋に来ていたのである。
隠し部屋はどのランクのどのダンジョンにあり、どこにあるのかも分からないのである。
一説によると、神器が持ち主を選んでるという話もあるらしい。
じゃあ、さっきのボスはどちゃくそ強いということで、本来のダンジョンボスよりも何十倍も強い。それをイリスはさっきのドラゴンを二回攻撃しただけで灰にしたということになる。こわ。
イリスは持ち帰ろーっとドアを開けようとする。
ガチャ、ガチャ、ガチャガチャガチャガチャガチャ・・・
「開かぬ・・・」
イラついたイリスはフンッとドアを蹴る。
バキャ・・・
不快な音を立てて扉が開いた。
「あ、これ引き戸だ」
「グルルルル・・・」
唸り声?顔を上げるとおっきい犬がいた。
えー、解説をしますと、これは魔物です。はい。えー、今まではイリスが別ルートを進んでいたため、魔物はいなかったのですが、ドラゴンとの激戦の音を聞いてやってきたのです。
「え、じゃまぁ」
ドンッ
ハンマーで殴ると魔物の胴体が消し飛んだ。
ベチャ・・・
あっちらへんで残りの胴体が落ちる音がする。
「・・・・・・」
「・・・・・・(魔物)」
イリスはハンマーと魔物の死体を見て、にっこりと笑った。
■
パカラッパカラッ
馬に乗り、城の騎士たちはイリスのいるダンジョンへと向かう。
「S級か・・・」
騎士を取りまとめている隊長・・・グラジオラスが意味深な発言をする。
「S級がどうしたんです?」
一人の部下が聞く。
「いや、イリス様はもう死んでいるじゃないか?だってS級だぞ?我らでもたまにてこずるのに・・・それを一人でなんてありえないだろ」
「あー、確かにそうっすね。じゃあ俺らは死体回収・・・いや食われてるか。遺品回収を頼まれただけってことですね」
皆いやそうな顔をする。
そりゃそうだ。今イリスは城の中では悪女と言われるほど評価が低い。てか無い。そんなに嫌われてる姫のために命なんてかけたくないだろう。
「・・・なんか今、悲鳴が聞こえなかったか?」
「そうですかね、案外イリス様だったりして」
ハハッと笑いがあふれる。
すると一匹のゴブリンがこちらに襲い掛かってきた。
バシュッ
すばやく切り落とす。
「なぜゴブリン・・・?」
ダダダダダ
たくさんの足音が聞こえる。見るとそこにはたくさんの魔物が走ってきてた。
「一体何なんだ!これは!」




