戦い方
「うおっ」
見えない攻撃がロベリアを襲う。ギリギリ結界で防いだが、結界にはヒビが入った。
厄介だな、あの攻撃。でもどういう構成してるかは気になるな~。
「アンタら、何で走って逃げるんや!魔術使え魔術!!」
「え~、でも魔力ってものがこの世にはあるからさ。無駄遣いしたくないんだよね。節約だよ節約」
「‥‥‥‥いや、しなくてもアンタの魔力は尽きないと思うで」
魔王がドン引きしている。
しかし、魔王自身はロベリアに担がれてるんだから気楽なもんだ。何といっても父親があんなことになって力が出ないとか。
「ていうか‥‥なんで走りで逃げれるん?普通追いつかれないのどうかと思うんやけど」
「そう?何か大したことはしてないと思うけど」
「あー、あれじゃないですか?『呼吸』の仕方じゃないですか?」
「あ~確かに!記憶から抜けてたけど習ったね!」
「呼吸の仕方?」
どんなに走っても、どれだけ動いても、つらくならない呼吸の仕方がある。この呼吸は体中の血の巡りを速くさせ、脳を活性化することによって筋力を強くするのだ。
「一言でいうと、体を強化させるための呼吸の仕方だよ」
「へー、そんなのがあったんや」
「そう!この呼吸の仕方によって私たちの先祖は戦に勝ってきたんだよ‥‥!」
「そ、そんな歴史が‥‥!」
「姉さんたち、おしゃべりはそこまでにしといた方がいいですよ。新しい攻撃が来る」
後ろを振り向くと、アヴニールの頭上にはたくさんの水球があった。
「行け」
アヴニールの合図と共に水球たちがこちらに飛んできた。
「さすがにまずいね」
イリスとロベリア(ついでに魔王)は水球がぶつかる直前に魔術で飛んだ。
水球が地面にぶつかると共に地面が溶けた。
「‥‥酸!?」
「あれにぶつかったらまずいで!」
‥‥酸?確か、前殺した魔族も同じような攻撃をしてきたような‥‥。
ジィ‥‥と溶けた地面を見つめる。と、溶けた地面から何か水の膜のようなものが膨らんでいるのが目に入った。
■
あれ‥‥俺は何してるんや‥‥?何で皆逃げるん、逃げんなや。
「ア‥‥ア‥‥」
声が出ない。何でや?ていうか俺は何して‥‥
あぁ、そうや。俺は暴走したんやな。バカや、これじゃ親父と一緒や。
もう自分ではどうしようもない‥‥、魔界が滅びるか、俺が死ぬか‥‥そうやないと俺を止められへん。
せめて、俺を”殺せ”と伝えられたら‥‥
頑張ってくれ‥‥『神の寵愛』を受けたアンタら一族なら‥‥
■
「伏せろ!!!」
『炎結界』
イリスは叫ぶと同時に、結界を展開した。ただの結界ではない、炎の結界だ。
思い出した。前に酸とか水とかを扱う魔族と戦った時に火を使って蒸発させたんだった。
膨らんでいた水の膜が破裂した。拍子に、前にも受けた酸の雨が降り注ぐ。
「‥‥酸の雨、ですか」
「うん。もろに当たったら溶けてたね」
ジュウウウウウ‥‥結界外のコンクリートや壁に穴が空く。
「これ程までとは‥‥本当におとんは最弱やったんか‥‥?」
「お前はこの魔術、使えないのか?」
「使えるで、やけど、ここまで強くは‥‥」
「へー‥‥」
‥‥魔術に強い弱いあるのか?もしくは魔力を込める量によって変わるのか?それとも――
「姉さん!考え事は後です、早く逃げないと死にますよ!」
「いや、ちょっと待って。魔王ちゃん、さっきアヴニールが使ってた魔術をアヴニールに向かって撃ってくれない?」
「え、え、おとんに向けてなんてできへん」
「いや、いいから」
「でも」
「いいから」
魔王がアヴニールに向かって酸の雨を降らす。周りの建物は溶けるがアヴニールは無傷だ。
それに穴が少し空いた程度で全然溶けていない。
「ほれ、見たやろ。おとんとは全然違うんや」
「そうだねぇ」
単にアヴニールが一つ一つにかける魔力量が多いのか。
「じゃ、私たちは別のやり方で酸を強くしてみようか」
「そ、そんなことできるん?」
「ふふふふふ。ここからは、科学の時間だよ」




