女王様
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ここはハスライム城‥‥現在、城中が大騒ぎになっていた。
何といっても第一王女と第一王子が行方不明らしい。
「イリス‥‥イリスとロベリアはどこだ!!今すぐ探せ!!」
騒ぎ立てる王を部下たちが必死に抑える。
「‥‥国王様」
「何だ!‥‥カルミアか。そうだカルミア、お前がロベリアと共に向かったダンジョンに何か罠はあったか?」
「いえ、ありませんでした」
「では、何故イリスとロベリアは消えたと思う?」
「‥‥‥‥それは分かりません」
やばい、疑われている。そりゃあの場に残ったのは私だけなんだから、疑われていても仕方がないか。
「だよなぁ」
「へ?」
「え、いや、あのダンジョンをくまなく探しても何もなかったんだから、分かるわけないだろう。すまんな、そなたを疑って訳ではない」
「は、はあ‥‥」
やはりロベリア様の親だな。物事を軽く見れるのはとても珍しいものだ。
それにしてもおかしい。ロベリア様たちはどこへ行ったのか。うーん‥‥王族だけが引っかかる罠があったのか、それとも何か”特別な力”を持っている者だけが行ける何かがあったのか。
ま、これはただの憶測だ。大体神を信仰してないこの国に、『神の加護』とかあるわけないし。
「‥‥なあ、カルミア。イリスとロベリアは今———」
「あなたっ!!」
タタタタ‥‥走って国王の元へ向かう女性が一人‥‥マレリイ女王様だ。
「私の‥‥私のロベリアはどこなの!?」
「おぉ、マレリイ。落ち着け、今街中を大捜索中だ」
「落ち着いていられないわ!ロベリアに何かあったら耐えられないもの!」
一見、子を大事にする優しい親に見えるが、実はこの女王、男片手に外で遊んでたりと色々とヤバかったりするのだ。
「……そう言えば、イリスって子を探しにロベリアは行ったのよね?あの子って、私のロベリアを虐めていたのでしょう?」
「……何が言いたい」
「じゃあ…あの子なんじゃなくて?あの子がロベリアに何かしたんじゃないのかしら?」
何を言っているんだあの女は。どれだけイリス様を悪者にしたがる。
「……なるほど、お前はイリスがロベリアに何かしたという考えか」
「そうよ!それ以外に何があるのよ!?」
「ああ、そう言えば、ロベリアがイリスに虐められてると言ってきたのはそなただったなと」
!、思わぬ情報だ。イリス様を陥れたのはマレリイ様だったのか。
「そうよ。あの子が私のロベリアの物を奪って、挙げ句の果てに毒を盛ろうとしたのよ!」
何て事だ。全てがウソじゃないか。虚言にも程があるだろう。
ジィ……と女王を見つめる。正確には睨むか。と、そこで女王が何かを握っているのを見つけた。
「「なんだあれ……」」
私が呟いた他にもう1人、男の声が聞こえた。
「!、グラジオラス…」
「…カルミア!?」
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「久しぶりですね、グラジオラス。学生の時以来ですか。今は騎士団長をやっているとは驚きです」
「それはこっちのセリフだろ。脳ミソが暴力以外何もなかったお前が今はカルミア様のメイドとか笑えるな。ハハッ」
「今日でこの世ともお別れですね。最後にごめんなさいと言って死んでください」
「うおっ、冗談だって!真に受けんな!」
カルミアに剣をかざされたグラジオラスは、慌てる。
「そんなことはどうでも良いんです。見たでしょう。女王様が握っていたあれは何か分かりますか?」
「分かるに決まってるだろ。あれは『魅惑の魔香』だ」
「ハァー、正解です。『魅惑の魔香花』、古代道具の一つですね。その花の香りを嗅いだ相手はみるみる操られてしまうとか」
「知ってんじゃねぇか」
両方ともつまんなそうにため息を吐く。
「それで、どうしましょうか」
「あー…、古代道具を使えるってことは、なんだっけ?神の加護じゃなくて……『天使の加護』だ。少なくとも何かしらの加護は持ってるってことだろ?」
そう、古代道具を扱うには『天使の加護』が少なからずとも必要だ。
まあ、別に『天使の加護』は容姿でも行動でも何でもいいので天使に気に入られれば誰でも貰えるものだけど。
「そうですね。でも、国王様は操られてる感じはしませんでしたが」
「ああ、あの国王、何か裏がありそうだよな」
「まあどっちにしろ、イリス様とロベリア様がいなければどうにもなりませんね」
ロベリア様はマレリイ様の素行を知っている。知っているなかで見てみぬフリをしているのだ。
それがどんなにツライことか……。
「俺らは何も出来ない、無力な人間だ。なぁ、カルミア。アイツらは帰ってくると思うか?」
「……絶対に帰ってきます。そう、信じていますから」
信じることしか出来ない、無力な人間だけれども。




