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魔力暴走


 ハッ、目を開ける。

 え、俺寝てたんか。今何しとったっけ?


「オラァッ!」

「うおおぉぉおぉお!?」


 いきなり誰かが何かを振り下ろしてきた。慌てて結界を張る。

 しかしと、パリーン‥‥アヴニールの結界が割れる。そのまま相手がアヴニールに向かって突っ込んできた。


「むぎゃっ」

「起きたか!?」

「お~、今の殺す勢いだったね」

「おとーーん!!」


 リュミがアヴニールに向かって飛びつく。二度寝(気絶)しそうになったアヴニールもギリギリで意識をとどめた。


「大丈夫やったか!?今の攻撃で後ろの壁全部粉々やで!」


 え‥‥?アヴニールは後ろを振り向く。

 するとついさっきまであったはずの壁が消えていた。

 

「け‥‥結界がなかったら危なかったかもしれへんな‥‥」

「せっかく俺らの帰り方会議してたのに、寝るなよな」

「そうだよ、よくないよ」

「す、すまんな‥‥」


 似てる。あの勇者に二人は似てるんや。というか二人の性格合わせたらあの勇者やな。

 

「そういえば、思い出したことがあるで。人間界から魔界に来るには世界の裏側に行くしかないんや」

「「「裏側?」」」

「せや、世界の裏側。アンタら聞いたことあるんちゃうんか?『魔の森』に行くと人が消えるみたいなこと」

「「‥‥ある!」」

「それや。『魔の森』には世界の裏側‥‥魔界に行ける手段があるっちゅーことや。ま、後は魔界への亀裂を運よく見つけることや。ほとんどの勇者は後者やろうけど」


 ‥‥勇者(アイツ)は違そうやけどな。


「でもよ、それは人間界から魔界に行く方法だろ?俺らが知りたいのは魔界から人間界に行く方法なんだが」

「‥‥‥‥さあ~?魔界に来た人間は全員帰らず者になったから前例がないんちゃう?」

「嘘つけ。さっきから思ってたけど、お前大事な部分喋らないよな。微妙にはぐらかすって言うかさ~」

「そうやでおとん。さっきの事だってホントは最初から知ってたんちゃうんか!?」

「そ、そんなことないで~‥‥全然ないで~‥‥ほら、俺もうじじいやし、記憶も曖昧なんや」


 嘘や。ホントは全部覚えとる。ただ言いたくないだけや。何故かは、自分でもわからへんけどな。

 さっきからモヤッとする自分の心を落ち着かせる。なぜや。イリスとロベリアが合流してから自分の何かが落ち着かない。

 あとちょっとで、制御ができなくなりそうな―――‥‥。


「‥‥でも、人間界で魔王軍と戦かったって歴史にあるよ?」

「「‥‥は?」」

「姉さん。それは本当ですか?」

「うん。ていうか人間界で勇者が先々代魔王打ち取ったってあるし。しかもその勇者、うちの―――」


 コンコン、ガチャ


「魔王様~。相談が―――」


 シュパッ、部下の魔族が真っ二つになった。そのまま床に崩れた。


「何が起きたんや!!」

「‥‥っ、やめてくれ‥‥それ以上は、その勇者の話はやめてくれ‥‥。体が、反応する」


 ボゥオッ!!

 アヴニールの体から、今まで隠してきた魔力量が放たれた。


「おと――」


 アヴニールに近寄ろうとしたリュミをロベリアが自分の方に引き寄せた。

 さっきまでリュミがいた場所に穴が空く。


「——っ床が」

「音もなく見えない攻撃か‥‥さすが600年以上生きてきたことだけはあるな」


 こんなチートみたいなことができるのか?それに、あのアヴニールの様子は‥‥


「魔力暴走だね」

「‥‥姉さん!!」


 結界を張っている。どうやら、死んだ魔族の死体を見ていたらしい。


「え、魔力暴走‥‥?」

「君たちのところではあんまり聞かないか~。教えてあげよう!魔力暴走って言うのはね、トラウマとか、怒りによって魔力が抑えきれなくなることだよ!」


 強いて言うなら感情によって魔力が暴れてしまう事。魔力が多いものはいつでも冷静でいれるように今は教育されるのが普通なんだけど‥‥600年も前のことだ。そんなものがあったとは言えないしな~。


「さぁて、これからどうしようね」


 


 

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