現・魔王の上に堕ちました
「いやー、まさか罠があったとは」
ロベリアは落ちながら状況を把握する。まさに今、イリスと同じ罠に見事引っ掛かり、落とし穴に落ちて落下中なのである。
それにしても長いな…どこまで落ちる気だ?魔術で帰る事も可能だが、先があったら面白いので、態勢を整えながら衝撃に耐えられるように、一応浮遊魔術もかけておく。と、下の方にボンヤリと光が見えた。
「お?来た来…ゲッ!」
まずい、着地地点に誰かいる!でももう間に合わな――…
「ひゃあああああっ」
見事に俺らはぶつかった。慌てて体を起こす。ヤベー死んでたらどうしよー。てか相手の悲鳴的に多分女…の子…。
「やっ…ちまった…」
俺が落ちたところには女の子が見事に倒れていたのである。
「だ、大丈夫ですかー…」
…返事が、ない!!ヤバい、俺はなんて事を…。
「大丈夫なわけあるわけないやろ!!」
「ハァ~、良かった死んでない~」
「話聞けや。てか勝手に殺すやないわ。まあ、ウチを倒したことに関しては相当な罪になるわな」
「え、お前ツノ生えてんじゃん。魔族だったんかよ」
「何言うとんねん。お前も魔…」
相手はやっと俺が人間であることに気づいたらしく、物凄い勢いで遠ざかられた。
「ア、アンタ人間やん!なんでこんなところにおんねん!」
「落ちてきた」
「落ちてきたぁ!?そんなことが…ま、まあいいわ、泣き叫ぶんだな。アンタがこれから死ぬことを!」
魔族はロベリアに向かって手を伸ばした。
■
「へえー、お前魔王なんだ。で、ここが魔界の魔王城だと」
「はい‥‥そうです‥‥」
「ま、いいか。ねぇ、ここにもう一人女の子とか来てない?俺の姉なんだけど」
「知らへんなぁ。あ、そや。この縄ほどいてくれんなら探してやってもええで。てかホンマに抜けへん。なんなんこれ」
あー、ここにも姉さんはいないかー。でも姉さんは方向音痴だからなぁ。きっとあの気持ち悪い迷路みたいな道も姉さんが作ったものだろう。
「帰る‥‥ん?俺が落ちてきた穴無いんだけど」
「こっちの質問に答えろや」
「はぁー?あ、縄?この縄は俺の国が生み出した研究用魔族捕縛縄だ。魔王にも効くんだな」
「そうか。わかった。お前の国はやばいところなんやな。じゃあ次はこっちの番や。多分お前が落ちてきた穴は昔の魔王が作った魔族用転移装置やなんやあれへん?魔界から人間界に向かう時によう使われたって教科書に書いとった」
「‥‥教科書って‥‥。でも俺は落ちて来たぞ。転移もクソもないじゃないか」
「知らへんわ。超昔のことやもん。技術が追い付かへんかったんちゃう?」
「えー、じゃあ帰して」
俺はとにかく姉さんを探さなくちゃいけないのに。こいつの相手なんかしてられないに決まってんだろ。そういえばカルミアに悪いことしたなぁ。今頃大捜索か‥‥それか俺と同じように罠にかかってこっちに来るか‥‥あ~、考えんのめんど。
「知るわけあらへんやろ。あ、でも‥‥」
「でも?」
「うちのおとんなら知っとるかもしれへん」
「じゃあ今すぐ会いに行こう」
何だ、知ってる人がいたのか。これで早く帰れるな。
「無理や」
「何でさ」
「うち、おとんとそんな仲良くないねん。だからちょっと気まずいというか・・・」
「‥‥‥‥」
もう、何でどいつもこいつも父親と仲が悪いんだよ!ハァー・・・とため息を吐く。
「俺はストレス溜まんのが一番嫌いなんだよ。だからストレスが溜まるものはちゃんと消してきた」
「あ、そぉ‥‥」
いじける魔王の頬を片手で挟む。
「むごっ」
「今のお前見てるとストレス溜まる。だから消すためにさっさとお前の親父んとこ行くぞ!」




