父親の家をしらない娘
「あれ買って」
「ええで~ってちゃうねん!!自分、ここがどこか分かっとん!?」
そういいながらも元・魔王こと、アヴニールは買ってくれる。はぁ、私が父上と喧嘩し、家出してダンジョンに行ったばっかりに‥‥。そんでまあ、色々あってアヴニールと買いものに来ているのだ。
「それはそうと、自分、ホンマに俺の娘と会うきなんか?」
「そうだよ!かくいう私も現在進行形で父上と喧嘩してるけどね!謝ったことないんだけどね!安心して!」
「安心できへんなぁ‥‥」
アヴニールはまた不安そうにため息を吐いている。そんなに安心できないのか?私が協力してやるって言ってるのに‥‥。これでも人を救う一国の姫。惨めな奴がいたら魔物でも人間でも助けるのだ!
「せやけど、どないして会わせてくれるのさ」
「ふっふっふー、それは次にやるお祭りでのお楽しみだよ~。私がある一言言えば魔王と会える会える」
「‥‥安心できへんなぁ‥‥」
‥‥え、そこまで?まだ会って数時間くらいなのに。私の信頼度低くない?
「ま、いいか。ねぇ、あれも買って!」
「ええで~」
■
「ホンマにしばらく居候すんの?」
「当たり前じゃん。帰れないんだから。それよりお前の名前何?帰った後でも魔界に来るかもしんないから教えて」
「え、また来んの‥‥?それはちょっと‥‥」
「‥‥あ?」
「あーあー!なんでもありませぇん!それよりもうちの名前はリュミエールや!気軽にリュミって呼んでもええんやで」
「あい分かった。リュミ、そもそもお前の父親はどこにいるんだ?」
場所が分からないとどこにも行けないし。さすがに場所くらいは分かるだろ。
「え~と‥‥それはぁ~‥‥」
「‥‥まさか知らない?」
「‥‥はい‥‥」
「え、あ、じゃあ俺は一体どうしろと‥‥?」
さすがにロベリアも混乱している。じゃあ俺は帰れないってことか?マジか‥‥ホントここまで来ると逆にすごいな。
「な、なんか、ごめんな。でも実際おとんは隠居してるんや」
「隠居ぉ?」
「そんな顔で見つめんといてー。‥‥魔王がウチに代替わりして、おとんの役目が終わった瞬間。今までの部下も全部置いて‥‥旧・魔王城にいるんや」
「一人でか?」
「そうや。しかも旧・魔王城は誰もどこにあるか分からん。元部下でさえ、分からんかった」
ふむ‥‥さすがに分からないはありえないと思うんだが‥‥、いや、記憶を改ざんされたのか?だったら元魔王はリュミよりも強い‥‥。場数は相当踏んでることになる。ま、これはあくまで俺の妄想だが。
「リュミ、元魔王はどういう奴だ?」
「おとん?おとんは、歴代魔王の中で一番最弱言われてたで」
「!そうなのか‥‥」
じゃあ俺の仮説は間違ってたな。そしたら何で部下の記憶が‥‥。
コンコンとノックされる音が聞こえた。
「魔王様~。今度の祭りのことですが」
■
あ、やべぇ!隠れないと!
「ここに入り!」
リュミに引っ張られてデスクの下に入る。ちょうどそのタイミングで部下の魔物が入ってきた。
「魔王様~。この企画どう思います?」
「あ~そうやな。やったらこの隙間に花火でも入れとき」
「素晴らしいです!ありがとうございます!」
「ほな~」
魔物が去っていく足音が聞こえた。デスクの下にいた俺は這い出る。
「‥‥お前ホントに魔王なんだな」
「どういう意味や」
「それよりも祭って言ってたけど~」
「それがどうしたんや」
「俺も行きたーい」
断られたら無理にでも行けばいいし。
「え?え?それ、ウチに拒否権ある?」
「え~、何言ってんの。あるわけないじゃん」
こうして、祭りに行くことが決まった。




