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父親の家をしらない娘

「あれ買って」

「ええで~ってちゃうねん!!自分、ここがどこか分かっとん!?」


 そういいながらも元・魔王こと、アヴニールは買ってくれる。はぁ、私が父上と喧嘩し、家出してダンジョンに行ったばっかりに‥‥。そんでまあ、色々あってアヴニールと買いものに来ているのだ。


「それはそうと、自分、ホンマに俺の娘と会うきなんか?」

「そうだよ!かくいう私も現在進行形で父上と喧嘩してるけどね!謝ったことないんだけどね!安心して!」

「安心できへんなぁ‥‥」


 アヴニールはまた不安そうにため息を吐いている。そんなに安心できないのか?私が協力してやるって言ってるのに‥‥。これでも人を救う一国の姫。惨めな奴がいたら魔物でも人間でも助けるのだ!


「せやけど、どないして会わせてくれるのさ」

「ふっふっふー、それは次にやるお祭りでのお楽しみだよ~。私がある一言言えば魔王と会える会える」

「‥‥安心できへんなぁ‥‥」


 ‥‥え、そこまで?まだ会って数時間くらいなのに。私の信頼度低くない?


「ま、いいか。ねぇ、あれも買って!」

「ええで~」



「ホンマにしばらく居候すんの?」

「当たり前じゃん。帰れないんだから。それよりお前の名前何?帰った後でも魔界に来るかもしんないから教えて」

「え、また来んの‥‥?それはちょっと‥‥」

「‥‥あ?」

「あーあー!なんでもありませぇん!それよりもうちの名前はリュミエールや!気軽にリュミって呼んでもええんやで」

「あい分かった。リュミ、そもそもお前の父親はどこにいるんだ?」


 場所が分からないとどこにも行けないし。さすがに場所くらいは分かるだろ。


「え~と‥‥それはぁ~‥‥」

「‥‥まさか知らない?」

「‥‥はい‥‥」

「え、あ、じゃあ俺は一体どうしろと‥‥?」


 さすがにロベリアも混乱している。じゃあ俺は帰れないってことか?マジか‥‥ホントここまで来ると逆にすごいな。


「な、なんか、ごめんな。でも実際おとんは隠居してるんや」

「隠居ぉ?」

「そんな顔で見つめんといてー。‥‥魔王がウチに代替わりして、おとんの役目が終わった瞬間。今までの部下も全部置いて‥‥旧・魔王城にいるんや」

「一人でか?」

「そうや。しかも旧・魔王城は誰もどこにあるか分からん。元部下でさえ、分からんかった」


 ふむ‥‥さすがに分からないはありえないと思うんだが‥‥、いや、記憶を改ざんされたのか?だったら元魔王はリュミよりも強い‥‥。場数は相当踏んでることになる。ま、これはあくまで俺の妄想だが。


「リュミ、元魔王はどういう奴だ?」

「おとん?おとんは、歴代魔王の中で一番最弱言われてたで」

「!そうなのか‥‥」


 じゃあ俺の仮説は間違ってたな。そしたら何で部下の記憶が‥‥。


 コンコンとノックされる音が聞こえた。


「魔王様~。今度の祭りのことですが」


 ■


 あ、やべぇ!隠れないと!


「ここに入り!」


 リュミに引っ張られてデスクの下に入る。ちょうどそのタイミングで部下の魔物が入ってきた。


「魔王様~。この企画どう思います?」

「あ~そうやな。やったらこの隙間に花火でも入れとき」

「素晴らしいです!ありがとうございます!」

「ほな~」


 魔物が去っていく足音が聞こえた。デスクの下にいた俺は這い出る。


「‥‥お前ホントに魔王なんだな」

「どういう意味や」

「それよりも祭って言ってたけど~」

「それがどうしたんや」

「俺も行きたーい」


 断られたら無理にでも行けばいいし。


「え?え?それ、ウチに拒否権ある?」

「え~、何言ってんの。あるわけないじゃん」


 こうして、祭りに行くことが決まった。



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