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堕ちた先は元魔王


「外にたどり着けぬ…」


 とりあえず一キロぐらいは掘り進めたと思うが、外どころかダンジョンの正規ルートにすらたどり着けない。


「休憩しよー」


 床に座り、手をついた‥‥時のことだった。

 カチッと手で何か押す音が聞こえたとき、イリスが座っている床に大きな穴が開いた。




「おわわわわわ~!!!」


 イリスはすごい勢いで落ちていく。底など無いのではと思わせるほどの深い穴だ。意識が飛びそうになる中、下の方から淡い光が見えた。


「うぎゃあああああっっ」


 ドンガラガッシャーン―—‥‥爽快な音を立てイリスはクッションの上に落ちた。


「いったーい。ここどこ‥‥てかさっき悲鳴聞こえ‥‥た‥‥」


 恐る恐る下を見る。そこにはクッションではなく誰かがイリスの下敷きになっていた。


「し、死んでる‥‥」


 急いで飛び降りる。人間として私は一番してはいけないことをしたのでは!?証拠隠滅するしか‥‥?


「あ、でも待って、こいつの頭、ツノ生えてない?」


 ‥‥倒れている奴が人間ではないことを確認するとイリスの口元には笑顔が戻った。


「う、う~‥‥いってて‥‥」


 ハッ、マズイ‥‥起きようとしている!いや、でもこいつから帰り道教えてもらうか。


「ねぇ、帰り道教えて」

「お~帰り道か、ほんなら――って誰が教えるかっ」


 なんだこいつ、一人でボケて一人でツッコンだぞ。


「ていうかアンタ人間やないか!どないしてここに来たんや!」

「なんかね‥‥ダンジョンを掘ってたら罠にかかってここに来たの」

「ほ~ん‥‥ま、別にどうでもいいんやけど、アンタ名前なんていうん?」

「イリス。イリス・ネオ・ハスライム」

「ハスライムゥ?人間の国で一番敵に回したらあかんところやん」


 えぇ、うちの国って‥‥


「その身なり、見るとこに貴族やろ。もしかしたらお姫様か?」

「そうだよ」

「かあ~っ、やなこっ‥‥ん?アンタ今姫言うたか?」

「うん」


 もの凄い顔してる。どうしたんだろう。


「い、やぁ‥‥こりゃ参ったわ」

「何が?」

「あぁ、僕はアヴニール。この世界の元魔王や」



「父上っ!」


 焦った口調でロベリアが報告する。宗教勧誘から数時間‥‥姉の姿を一度も見ていないロベリア達が父上に報告したところ、喧嘩したというのでまたもや調査中なのだ。


「冒険者ギルドがお姉さまを依頼に出したと…!」

「な、何ぃ?」


 父上がショックそうな顔をする。本当にコイツイリスのこと嫌いなのか?逆に大好きそうだが。


「そもそも父上が悪いのでしょう。父上にホラを吹いたメイドが泣きながら話してくれましたよ。やっぱお姉さまは悪くないのです」

「ぐぬぅ…」


 今回はかんっぜんにお前が悪いな。バカな親だろ。姉さんの脳内は常にえげつないに決まってんだろ。


「なので姉さ…お姉さまが向かったダンジョンに行って参ります」

「その格好で?」

「いや…さすがに女装でドレスはやめときますよ…」



「んだこのダンジョン…」


 俺、ロベリアとカルミアはダンジョンを見上げる。


「これホントにダンジョンですか?こんな…こんな…」

「こーれは、俺にも分からんな…まさかダンジョンの壁が破壊されてるなんてさ」


 本当にこの中に姉さんはいるのか?と疑問を抱きながらダンジョンに入るロベリア達だった。


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