ライキード家(物理的に)ボッコボコやん
「ライキード家壊しに行くぞ――!!」
元気に破壊宣言をするロベリア。女の服装と女っぽい名前のせいでいつも女の子と勘違いされるが、こいつはれっきとした男なのである。
「馬車で参りますか?」
ティーセットを持ち優雅に行こうとするアホはロベリアのメイド、カルミアだ。
一言でいうと何考えてるか分からない、超やばんな人だ。ちなみに怒らせるとやばい。
「何でだよ。魔術で行くに決まってんだろ」
その手には杖が握られている。魔術師は自由に杖をしまい取りできるらしい。
「私魔術使えません」
置いていく気ですかとにらまれる。
こいつ本当にメイドの教育受けたのか?
「おまえはその脚力で俺の飛行魔術に追いつける」
カルミアは化け物だ。
魔術が人間に負けることに疑問を抱くくらいに化け物だ。
「では、競争しましょう」
「今この状況理解してるのか?バカ」
‥‥というわけで今何故かカルミアとどっちが早くライキード家に行けるか競争している。
「いや、ありえない。やべえよ。おかしいだろ」
なぜそう思うのか、不思議に思うかもしれない。
魔物の群れに当たった?ライキード家に向かってることがバレた?
いいえ、違います。メイドが足で俺の最高スピードの飛行魔術に勝っていることです。
ありえない話なのである。現代風に言えば、人間が最高速度で走ってる車に勝ってるということだ。
一向に追いつけないまま、ライキード家に到着した。
「私の勝ちです」
自慢気に言ってくるが、その意味がどういうことか分かってほしい。
「はあ・・・、じゃ、行くぞー」
ボソボソ‥‥詠唱する。
『灰炎』
ゴオオオオオオ‥‥
庭全体が炎の海になる。自分たちが通る道以外は。
「詠唱というのはつくづくめんどくさいな」
呪文を唱えることにロベリアは不満を抱いているらしい。
ザアアアアアア‥‥
どこからか水か出てきた。火が消えてく。
なるほど、この家には腕の良い魔術師がいるのか。
「このまま強行突破するぞ!」
俺たちが走り出したときのことだった。
ドゴーン
突如、家の壁がこちらに吹っ飛んできたのである。
「うおぉおぉぉお!?」
とっさに早口で詠唱し、吹っ飛ばし返してしまった。
壁が魔術師たちがいるところに飛んで行った。
なんか悲鳴が聞こえるけど、‥‥聞かなかったことにしよう。
「ていうか、何!?罠!?」
砂埃が舞ってるせいで全然見えない。
一体どうしたら‥‥
「待って!イリスちゃん!!」
どこからかイリスを引き留める声が聞こえた。
ビンゴ!やっぱ姉さんはこの家か!
慌てて声を作る。
「お姉さまーー!!どこにいるのですかーー!!」
となりでプッと笑い声が聞こえたが、ふざけんなよクソメイド。
「ここ」
ビックリしすぎて思わず固まってしまった。
何とすぐ隣にイリスがいたのである。
「え、アッ、お姉さま!ご無事ですか!?お‥‥わたくし、お姉さまがいないと思ってメイドに聞いてみたら、ライキード家の婦人と一緒にいたと聞いて‥‥慌ててやってきたのです」
へー、とイリスは興味ないのかあるのか分からない返事をする。
「わざわざ二人で来るなんてすごいね」
「しかも魔術で来たんだ?」
ん?魔術?自分の手元のは杖が握られている。
やばい!姉さんは俺が魔術使えないと思ってるんだった!
「馬車もないし」
あ~~、はっず!
なるほどな!カルミアが馬車で行くって言ってたのはこういうことか!
となりですんごい笑いこらえてる声がする。漏れてんぞ。
「じゃあ、帰りましょう!馬車はそこら辺から呼んで――‥‥」
「待って」
声が聞こえた方を見ると、ソフィアが息を切らしながら立っていた。




