ずっと、愛してる
円香と会う度に、幸せだった日々がもうなかった。
俺は、あの日初めて円香を愛している自分にハッキリと気づいたんだ。
教職者では、いられない。
そんな事よりも、円香に必要ないと言われたらどうしようと思った。
加奈枝の亡くなった日、実はね。
そんなに、悲しくなかったんだ。
って、言ったら円香は怒るかな?
円香が居たから、悲しくなかったみたいなんだ。
でも、俺は、それに、気づかなかった。
気づいた時には、円香と別れろと言われて、円香は同い年の椎名が好きで…。
頭がおかしくなりそうなぐらい、ぐちゃぐちゃで、絶望した。
円香、人間は、光を知ってしまうと、闇に耐えられないって事を知っていましたか?
俺は、円香を失う痛みに、耐えられそうにないよ。
だから、俺の決断を許してほしい。
ペラッ…。私は次の手紙を捲った
俺は、円香が大人になるのをとめたくない。
でも、円香が俺以外と笑っているのを見たくない。
あの日、上條とキスをしているのに嫉妬した日から気づいていた。
愛してる、円香。
俺の傍からいなくなるなら、肉体がない後がいい。
寂しくも悲しくもない。
だから、俺は逝くよ。
向こうで待ってる。
俺を愛してくれてる、円香を待ってる。
さようなら、円香が素敵な大人になれる事を祈っています。
涙が、どんどん流れてきた。
「友作さん、私知ってるよ。光を手に入れたら闇に耐えられない事。私はね、ずっとそうだった。友作さんが、加奈枝って呼ぶ度に、ずっとずっとそうだった。でも、傍に居たかった。友作さんに必要とされたかったんだよ。自ら掘った穴に、自ら落ちるなんて。友作さんは、大馬鹿ね。私は、友作さんが、いれば何もかも捨てられたのよ。伊納の家だって、学校だって…。私には、友作さんとの未来しかいらなかったのよ。」
私は、友作さんの墓地を撫でる。
まだまだ、残る手紙の束の全てを今日1日で読めそうになかった。
「友作さん、私ね。彼氏が出来たの。彼もね、愛する人を失っていてね。私と同じなの。その人しかいらないって…。それでも一緒にいるのは、何故かわかる?光を知ってしまうと、闇に耐えられないからよ。人間は、弱い生き物なのよ。友作さんも、わかるでしょ?温もりを知ってしまうと、知らなかった頃にもどれないのよ。だからね、そっちで待っていて。私は、残りの余生を彼と過ごしてから、貴方に会いに行くわ。それとね、上條も私も先生が思った通りの人になったわ。愛してる」
私は、そう言って立ち上がった。
鞄に、手紙を閉まって歩きだした。
「円香、お話できた?」
「うん、そっちは?」
「出来たよ」
私と彼が出会ったのは、この墓地だった。
「帰ろうか?はい」
「はい」
手を繋ぐ温もり。
好きや嫌いなんかじゃない。
私と彼の関係を理解する人はいないだろう
「今日、何食べたい?」
「ラザニア」
「ハハ、好きだね。それ」
「うん」
私達は、孤独を埋めあった関係だった。
「これ、見て」
「えー。綺麗じゃん」
「やっと、完成した。」
愛する人に、料理を作りたくて料理人になった人
「ラザニア、作るよ」
「うん」
「円香、少しは俺を好き?」
「少しだよ、ほんと少し」
「その指の幅、ボールペンも入らないね」
「そうね、美鶴は?」
「俺も少しだよ」
「同じじゃんか」
「ハハハ、また上條君呼んでよ。試作品食べさせたいから」
「オッケー、言っとく」
私と美鶴は、友達の延長線上の関係だった
もちろん、やる事はやってる。
大人だから…。
でもね、私達、お互いに別の名前を呼んでいるの
それが、条件だったから…。
あの日、二人で約束したから
でもね、全然寂しくないの
むしろ、前より満たされてるの
誰にも、理解出来ないだろうけど
「白ワインのみたいな」
「美鶴の好きなやつ?」
「うん」
「いいねー。買いに行こう」
「ありがとう、円香」
私と美鶴にとっての幸せは、これなのだから…。
友作さん、愛してる。




