問題が起きた。。
途中から視点変わります。
(*暴力的な話が入ります。)
次の日は言われた通り、ドナドナ~っと連れて行かれて研究員の手に渡された。
「あら~、お久しぶり~。 楽しみにしてたわ。」
そこにいたのは貧血で倒れた時に来ていた麻ちゃん、と言っていた女性。
テンションが高いまま、あれよあれよと台に寝かされる。
「ちょっ!? せ、説明はっ?」
「今から脳波とかを調べるからそのまま動かないでね~。」
と何やら頭に付けられる。
「大丈夫なのかっ?」
すると森原が布池の手を握る。
そしてさも安心するように言った。
「大丈夫、俺もすぐに追うから。」
。。。
「それどういう意味で言ったっ? 大丈夫じゃないセリフだよなっ?」
「はいはい落ち着いてね~。」
心の準備もないまま進められた。
その結果は・・?
「んん~。 普通ねっ!」
「・・・・・・無駄に疲れた。。」
ちょっとぐったり。。
一方森原は。
「興味深いわ~。 もっと実験したいっ。」
「遠慮します。」
「え~?そんな事言わずに~。ね? ね?」
懐かれた?
そんなこんなで日は過ぎていって。。
「出来たよぉ。 試作品№3!」
2人がこちらに来てから1ヶ月以上経った。
使い心地やアイディアで改良され、使用可能なとこまで出来た。
試し撃ちをしてみる。
「うん、イイ感じ。 反動も軽いし連射もスムーズ。 後はどの程度効力があるかだね。」
効く事はもう分かっている。鉄の棒だけでなく、コンクリートの石でもやってみたし、この道具なら牽制だけでなく攻撃として通用する。
「カプセルの方はどうです?」
「あぁ、そっちも順調だよ。 テストはしてるけど、本番で上手くいくかは確認できないからねぇ。」
「そこはちょっと賭けるしかないですから。 取りあえずこれ、使ってみます。」
「あぁ、感想聞かせてね。 予備でもう一丁作っておくから。」
「はい。」
撃ち慣れしておくのと、相手に不自然に思われないようにする為持って出ている。
その時警報が鳴る。
「! 招集ですね。早速行ってきます。」
「レベルが高いのが出たか。 気を付けてね。」
「無事に帰って来いよ。」
「うん、了解。」
気負いなく走って行く。
見送るのは毎回不安だ。何かあったらと思うと。。
そんな風に思いながら信じて待つ布池。
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それから2週間後には手紙を送るカプセルも完成し、森原君は巡回にも出るようになった。 護衛の彼らは交代して誰かがつく。そうして大分この生活にも慣れた。
「ただいま~。」
「おう、お帰り。 どうだった?」
「んん~。今回もハズレ~。」
森原君は自分の世界に繋がったら分かるらしく、その機会を窺っている。
しかしそう上手く運は巡っては来ないようだ。
「ねぇお腹空いちゃったよ僕ぅ。 どっか食べに行こー。」
「そうだな。」
「俺たちも一緒にいい?」
「えぇ、いいですよ。」
護衛の彼らとはちょっと交流が出来た。全員の戦っている所を見た事がないので詳しくないが、佐端さんが20代で一番年上。斥候とか隠密な行動が得意で情報収集役。狐面だった人だ。効率的に考える几帳面な人。
後は皆10代の少年で。井ノ原君、リーダーシップをとっていて、頭脳派。鳥の面をつけている。
日田君、犬面の子。アタッカータイプの攻撃を担当している、性格がツンとしてて面倒くさがり。でも素直な所もある。
広山君、一番普通に会話が出来る子、支援タイプだが接近戦闘もいけるらしい。イタチ?の面。
峰岸君、遊撃タイプ、正直なんだが反感を買いそうな物言いをして、気まぐれな性格。前に会った猫面の子とはまた別の猫のお面をしている。
最後は三影君、オールラウンダーでそつなくこなす何でも役、とにかく無口で最低限しか話さない。お面は豹だ。
「気になってたんだけど、何で動物なの?なんか意味があるのか?」
「さぁ、勝手に決められて貰うから理由は知らない。聞いた話だと、名前以外で呼びやすいからとか、認識しやすいとか? 一応上の人が直感で決めてるらしいですよ。」
「ふ~ん。 で、森原君はウサギなんだ?」
「うん。どういう直感なんだろうね。」
「適当だろ。」
彼らは有名らしく一緒にいると注目される。若手のホープって感じだ。
森原君が能力者だからか俺より親しい感じはある。会話はするが聞き役の方が多い。自分でもちょっと浮いてるなぁとは感じる。でも森原君がいるから疎外感まではいかない。
彼らは護衛ではあるが、訓練校に行ったり任務で外れたり、プライベートでいない者とかもいるので、1人になる事はまぁまぁある。知ってる所なら迷子にもならないし、気兼ねしないのでそれはいいんだ。森原君も頑張ってくれているから、俺も自分で出来る事はやりたい。
主にやってる事と言ったら安藤さんの世話だが。掃除に整理に、物を運んだり買い物を頼まれたり。 専門的な事は分からないが、よく話すのでそれなりに親しくなった。
ただやはり、居心地が良いかと言うと違う。誰かと一緒の時はまだいい、1人でいると嫌でも分かる。 嫌な視線、ひそひそ話での陰口。余所者を見る目や無能力者と蔑む言葉。
ここの事を知って、お世話になる事を決めた時に覚悟していた事だ。だから気にしないようにした。これくらいは問題ない。関わらないならそれが普通になる。
しかしそれが顕著になったのは、運が悪かったのかは分からない。
どこにでも柄が悪い人はいるようで、下ほどよく吠えるとは言うものだ。
始めはちょっとした意地悪を仕掛けてくるだけだった。からかわれている内は我慢した。ムカッとするが、こちらも大人だ。困るが宥めるようにやり過ごしていた。
こっちから手を出す事はしない。ただの陰険なイジメだ。
だが人の噂は回るもので、店の対応がおかしくなった。 不親切になったのだ。
対応が適当になったり、無視されたり、商品を雑に扱ったり、文句を言われたり、売れないなんてのもあった。見下されている。。
理不尽に怒りそうになるが耐えた。でも気分が悪くてもう買い物は出来そうにない。
相談しようかとは悩んだ。しかし個人的な事だし、10代の子に助けを求めるとか恥ずかしい。それに危険な所に行ってる彼らと比べたらこんなの些事だ。
安藤さんには気遣われたが、毎回ついてきてもらう訳にもいかない。
平気だと言った。
しかし、それが決定的になったのは・・・。
暴力だった。。
これくらい大丈夫だとでも思ったのか、腹の虫の居どころが良くなかったのか。。
流石に抵抗した。 だが逃げれるものでもなく、サンドバッグのごとくやられっぱなしだった。怖くて身を固めるしか出来なかった。
なじる声、嗤う声、脅す声。 一方的な複数による力の行使は恐怖だった。
何でこんな事をするのか解らない。憤りと惨めさ。無力な悔しさ。
こんな事をしたら死んでしまうかもとは考えないのか。。
気絶してたのがどれくらいだったのかはわからない。
暫く動けなかった。
いつまでもこんな所には居られない。
ゆっくり体を起こし、フラフラしながら何とか帰って来た。
そして、ベッドに辿り着いたところで倒れこみ、意識を失った。。
次に気付いた時、ぼんやりした視界に人が近づいて来るのが分かった。
そのまま手を伸ばされた時、暴力を受け続けたその続きと錯覚して恐怖が蘇った。
思わず声をあげてその手を拒絶した。
その瞬間、体に激痛が走り、力が入らないが蹲る。
近くで名前を呼ぶ声が聴こえるが、もうよくわからなかった。
その誰かはすぐに何処かに行ってしまったようだが、そこで意識が遠のいた。。。
布池君。。。




