森原君と社長さん。。
途中まで森原君視点。
やっと手紙を送れた。
目標を一先ず達成出来たので、後は無事に届く事を願いつつも、この報告を早く伝えようと急ぐ。
安藤さんの所へ行くが、そこにはいなかった。大分前に出て行ったそうだが戻って来ていないので、この時間ならもう帰ったのだろうと。 確かにもう夕刻を過ぎているし、先に帰ったのかもと思い自分も帰る事にした。
夕飯も食べてるかなぁと部屋を訪ねたが、もう寝てしまっているようだ。
今日は疲れてたのかなと残念に思いながらも、報告はまた明日にしようと自分の部屋で就寝した。
俺はこの時、部屋まで入って確認すればよかったと、後で後悔する。。
発覚したのは翌朝。
「布池さーん、おはよーぅ。」
ノックをしたが返事はなく、まだ寝てるのかなと一声かけてからドアを開けた。
思うがここはカギがなくていいのだろうかと。セキュリティとしてもプライベート管理としてもあって欲しいと思う。
それはともかく。
「布池さん? まだ寝てるんですかー? 一緒に朝ご飯を食べに・・・っ!!」
そこで見たのは服のままでベッドに横たわる布池の姿。身を投げ出したような状態でそこにいた。そして、その服やシーツには所々血の跡があった。。
「布池さんっ!?」
余りの姿にショックを受ける。目は開いているが虚ろで気分が悪そう。怪我をしてるのは見て瞭然だった。
思わず駆け寄り手を伸ばした。
「ぅわあぁぁっ!!? あ゛ぁっっ!・・・」
「っ!??」
手を叩かれ拒絶された。俺が分からないのか怯えているようだ。
「・・・。布池さんっ。 布池さんっ?」
痛みに蹲る様子は尋常じゃない。
一体何がどうしてこうなっているのか、ここまでの事態になっているのか、そう思うも、まずは医者だと駆けだした。
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あの後布池は治療され、暫く療養する身となった。
肉体的にも精神的にも傷を負った布池は、すっかり病んでしまったのだ。
今は森原を入れた最低限の人しか出入りしていない。
そして今、いつかの部屋で森原は社長と向かい合っていた。
「今回に対する現状は把握した。念のため護衛を割り当てていた以上、こちらにも非はあると認める。 すまなかった。」
と目を伏せる。
「いえ、謝罪なら本人にお願いします。」
「あぁ、そうしよう。」
「・・・。 ある程度なら、覚悟はしていました。どの様に見られ、噂されても、現状仕方ないと。 でも慣れていけば、人となりが分かってもらえれば、行動で示せば、何れその口も閉じられていくと。。 気を付けていたはずなのに、あそこまでとは俺は知らなかった。 ここまで酷くなったのはそちらの責任ですが、一番近くにいて気づけなかったのは俺の落ち度です。 対応はどうされますか?」
森原は事を深刻に見ており、自分も責めているようだ。
「うむ。 良くも悪くも、彼は暫く外出はしないだろう。その間に伝達し対処する。直接手を出した者達に関しては厳罰を下す事になるね。こちらの常識からしても力による暴力は犯罪だ。認めれば秩序が乱れる。」
「具体的にはどの様な罰に?」
「そうだね。規律を守る為の講習の受け直しと、待遇の降格。後は何らかの仕事による無償労働だろうか。」
「・・・・・・。」
「 不満かね?」
まぁ普通は、一般社会なら逮捕されて拘束、拘置所行きだ。軽く見られる。
だが異能力者であるために、戦闘員を減らす訳にいかない事情がここにくる。
なので人格や性質にもよるが、牢ではなく労働での罰則。相手によっては任務地や仕事内容をキツイものにするのだ。
「 いえ。 あの、その罰に、もう一つ加えてもらえませんか?」
「・・・、なんだね?」
「・・・。 奉仕労働、1ヶ月間です。」
「 奉仕労働・・。 何をさせるのかね?」
「 布池さんの護衛を。」
「!?・・・・・・、 正気かね?・・」
森原も胸の内で怒っているだろう。だから一体どんな罰を受けさせる気かと思っていたが、予想してないどころか斜め上の内容に、流石の社長も虚を突かれる。
「えぇ、勿論俺も付きますし、井ノ原君たちの護衛も。プラスして見張りがつきますが。 丁度手紙も送れましたし、招集以外は布池さんについている事にします。」
「んん。 しかし布池君からすれば会いたくはないのではないかね?」
「すぐに会う事にはならないでしょう?そちらの処罰の合間でも後でも構いません。出来れば心の伴った謝罪をして欲しいので。例え嫌々でも、やらせますよ。 今後の事を考えても、布池さんの為に必要です。同じ事を繰り返したくないと言うのもありますが、心の問題を解決させたいのが一番です。」
「 荒療治だね。。」
普通は関わらせないようにする。時間をかけてケアしていくものだと考える。
傷に塩のような対応だ。 社長は布池を心配した。
「 まぁ、それが君の要望なら答えるが、あまり無茶はさせなように。」
そう言うにとどめた。
「森原君が巡回に入ると被害が減っているのはこちらとしても有難い。これからも協力して欲しい。 布池君が早く回復してくれるのを願っている。」
「よろしくお願いします。」
心配だが、社長としては森原が長く抜けるのは損失なので、それで復帰してくれるなら、という事。
社長はこの話はここまでと言う事ではないが、話を変えた。
「ところで森原君は軍務でもしていたのかね?動きを見ていると経験があると見受ける。」
「軍・・。んん~。 そう言うイメージはないですが、そうですね。国の機関に入っています。」
「もう長いのかね?」
「そうですねぇ。 11歳の時に入ったので、8年経ってますね。」
「そうかね。」
社長は向こうにも訓練校があるんだと、特に驚かず頷く。
「どんな事を任務にしていたのかね?」
アンフォーンがいない世界で、どういう仕事があるのかと興味が向いた。
「ん~、いろいろありますよ?まぁざっくり言うと警察の手に余る事柄全般ですね。手が足りなくてお蔵入りしたものとか、護衛もそうですし、能力者絡みの事件とか、後は災害レベルの事案とかも。細かく言えば他にも沢山あります。」
「ふむ。 君たちの世界にはアンフォーンがいないそうだが、異能力者がいるのは何か切っ掛けがあったのかね?」
「いえ。いつからと言うのは分からないです。流石に原始時代とは言いませんが、それなりの社会と営みが出来た頃くらいの大昔からではなんて言われてますね。」
「なるほど、それで布池君は私たちへの受け入れに偏見がなかったのかな?」
「あー いえ。 布池さんが知ったのはこちらに来てからです。こちらのように公にはなっていないので。遅かれ早かれ知るのならと打ち明けたんです。別に機密事項ではないですし。 こちらの世界にも受け入れる人もいればそうでない人もいます。布池さんの場合はいろいろショックな事が続いたから、自分の所にも居たんだと言う事実が上手く作用して、受け入れられたのだと。」
「公表していないのは何故かね?」
隠す理由が分からない。活動しにくいのではないだろうか。
「えっと、 今更なのが一番じゃないかって聞いてます。実際その様な人達は少なくはないんですけど、いないっていうのが世界の常識で認識になっているから、と先輩が言っていました。 公開したところで人は元の状態を求めるんです。ここが昔の平和を求めるように。 人外な力は夢物語の中で存在しているんです。例え目の前で見ても現実として有り得ないと。認めても自分の人生には関係ないと。 何か起こった時、ここの様に非難されるでしょう。だから結局、問題に頭を痛めるので、メリットが少ないそうです。 まぁ、逞しいよね、っとその先輩は言ってましたね。」
「確かに、成程と思うね。 状況は違っても共感はするよ。」
社長との会談は程なくして終わった。
森原君は元の日本では国繋がりの活動をしているようです。
その繋がりが今後帰る糸口になるのでしょうか?




