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 繋がる現代ファンタジー   作者: TAREさん
8/18

これは行き違いなんです。。

 2人が今いる所は地下、アンダーグラウンドだ。異能力者とその関係者が暮らしている。訓練校も研究所も司令塔もここにあるし、住居や買い物出来る店に、ハウス栽培している所もある。




 ここで生活するようになって2週間。


「森原君、無茶しないようにな。 ちゃんと帰って来いよ。」

「うん、待っててね。」


現地に行くのは森原1人、布池は留守だ。

森原はこれから、護衛の彼らと見回りと称して共に行く。

彼らからすれば正直迷惑と思われているだろう。実際に会わせて怖い思いでもすれば、その内諦めるとも考えていると思う。上の指示だから渋々といったとこだ。

布池は不安に思いながらも、消えて行った森原を見送った。井ノ原と言う子が瞬間移動の能力持ちだとか。


 布池は指令室で社長らと待つ。そこでは職員たちが情報を統括している。

大きなパネルがいくつもあり、エリア地図が映し出されている。アンフォーンが出現すると表示されるようだ。


布池が物珍しさにキョロキョロしていると、社長が傍に来た。


「一緒に行かなくて良かったのかな?」

「え?あぁ・・。 俺、そんな度胸ないから。 守るのも2人より楽だろ?それに、 ・・俺がついて行っても腰抜かして終わると思うしな。」

正直に言う。

「それで彼だけで行かせたと?」

「・・・。俺だって始めは止めたんだよ。今だって心配だし。。でも・・・、行ってみないと分からないってさ。 俺が行っても役に立たないし、それに森原君の案だしな、自分で出来るか確かめたいんだよ。」

ちょっとだけ皮肉な言葉に感じたが、布池はそう返した。

「・・・。 森原君はきもがあるね。 交渉力もだが。」

「うん。 俺が情けないくらいには社会人に思える。」

「おや、布池君にも良い所はあるだろう?」

「ん?   まぁ、人並みにはあるんじゃないかな。」

社長は布池の事を見下してはいなかった。ただその人柄は分かりやすく、心に素直な所は擦れていなくて、だからこそ噓がない事に会話が楽と思う。

そしてまぶしい。

だからなのか、ポロっと口から本音が出る。


「私からすると、君たち2人はうらやましいくもねたましい。」

「え?」

「 戦う事のない子供時代を過ごし、この様な所に来ても私たちの方を選んだ。 偏見もなく。 目的があるとは言え、逃げずに立ち向かおうとする。こちらの一般人ならない事だ。 ・・・長い年月がここまで差を作ってしまった。」

「・・・・・・。」

布池は、社長の印象が最初と変わっているのに気付いた。少しだが冷たさや厳しさがない。

「んん~。それは、上の情報操作だろ?国が国民をコントロールする為にさ。仕方ない部分もあるんだろうし。 でも批判ばっかじゃ嫌になるよな。あれ自分の事だったらグレるって。 今からでも少しずつ変えていかないと、この戦い終わった後どうすんのって思うよな。大変だろ。いきなり180度変えられないんだからさ。」

そう言うと、社長は以外そうな様子で聞く。

「 この戦いが、いつか終わると思うかね?」

「ん? その為に戦ってるんだろ? 研究だってしてるじゃないか。無駄になんかならないよ。」

と事もなげに言う。

「終わりが見えなくても、進んでる事は間違いないんだからさ。 自信持ってよ社長さん。」

彼だからなのか、その言葉はスッと社長の胸に入ってきた。

何も知らないはずの異世界から来たと言う民間人なのに。おかしなことだ。

「フッ。   自信がないと言った覚えはないがね。」

「おぉ・・。 それはすみません。。」


 社長は時々指示を出したり、報告を聞いて職員と話している。そして布池とも言葉を交わす。アンフォーンについてとか、国や世界の現状の事もちらっと出る。出たとして別に解決する訳ではないが。


「元をなんとかするしかないんだろうけどなぁ。 どっから来てるのかも分からないんじゃお手上げだよな。」


例え分かったとしても、こちらから行く事など出来るのか。という問題もある。

倒せば消える相手だ。情報は少ない。人型は言葉を話すようだが会話は成立しないそう。今後どう出て来るのかは不明だし、現状維持をしているだけなのだ。


「 森原君の案が上手くいけば、もう少し動きがあるかもなぁ。。」

と布池が独りちる。

「手紙の事かね? 報告ではその為の物を試作しているようだね。」


社長は正直成功する可能性を低く見ている。

2人が噓を言っているとはもう思っていないが、それでも別次元とコンタクトを取れるかと言うと、その確率はとても低いと言わざるを得ない。

彼らのように来た話は聞いた事がない。隠しているなら分からないが。

それでも彼らはアンフォーンの事を知らない所から来たのだ。繋がったとしてどう対応すると言うのか。たまたま繋がってしまって来た被害者だ。

今度いつどこで繋がり、そこに再びいる確率はどれ程だろうか。

望みの薄さを明白にしている。。

それでも許可を出したのは、彼らを納得させる為でもあり、こちらに関わって来る行動をとると宣言しているからでもある。

別の世界だからと分けて考えているのだろうが、それでも上にも下にも見ず、異物としてもとらえない彼らは、貴重に思う。

ここに馴染めばそれも変わるのかもしれないが、彼らの存在が出来れば良い影響になればと、社長の中で期待が生まれている。だからまだ成長中の子達を傍につけた。

そしてわずかばかり、諦めない心とその行動を、見ていたいとも思った。


「完成には後1月はかかるかもって話です。 一発勝負だと思ってるから後は運任せなとこはあるって。」

「ん? 手紙は一通だけしか送らないのかね?」

「えぇ今のところはかな。 出来るだけ確実に目当ての人に届けたいから、向こうに着いてからの機能を付けるには、運ぶ物は小さくて軽い物に越したことはないって。」

「まぁそうだね。」


人が全くいない所では意味がないし、人がいたとして誰が拾うかも分からない。

そしてそれを拾った者が国に届けるとも限らないのだ。


「森原君に、助けてくれそうな人に心当たりがあるんだそうです。 おんぶに抱っこだけどお任せって感じだから、俺は安藤さんの雑用でもしようかと。」

「そうかね。まぁ好きにしなさい。」

この時社長はそんな重要には思っていなかった。


変わったのは見回りから彼らが戻って来て、報告を受けた時。



「森原君っ。大丈夫だったかっ?怪我は?」

「大丈夫ですよ。守ってもらってたし。」

無事に帰って来て布池はほっとする。


「戻りました。」

「ご苦労。何か変わった事や問題は?」

「いえ、近くに一般人が乗った車がありましたが、問題なく対応しました。」

「そうか。」

すると峰岸みねぎし君と言う子が社長に言う。

「ねぇねぇ社長ー。 異能力者ならそう言っといてよぉー。」

「ん?何の事だね?」

「だからぁ、あの人っ、 異能力者でしょー?」

そこで森原に視線が集まる。


。。。


「え? 森原君、言ってなかったの?」

「え? 知ってると思ってたよ?」

お互い首をかしげる。


社長はこめかみに指を当てる。

「いや、知らないね。。   本当なのかい?」

「はい、そうですけど。」

当たり前に言う。

「そういう事は言ってほしかったね。」

溜息混じりに言う。

「てっきり調査済みかと思ってました。」

「知ってる前提で話してた。」

悪気はない。 行き違いだ。


「・・布池君は違うんだね?」

念のため。

「あぁ、俺はごく普通の平凡な大学生だ。」

と返すと森原が。

「それを言ったら俺も普通の大学生ですけどね。」

と言ったので。

「俺は正真正銘の一般国民だ。」

と言うと。

「安心して下さい。俺も半分は一般国民です。」

「半分はって何? しかも何を安心するんだよ?安心して下さいって言ってる

時点でおかしいからな。」

「そうですか? じゃあ、大丈夫です、俺も正真正銘の日本国民ですから。」

布池は突っ込もうと息を吸ったが、   真実だった。

「・・・、確かに。。」

一体何のやり取りだったのか。。


そこで社長が小さく咳払い。

「森原君、すまないが明日、君の検査をさせてもらえないかな?」

かな?と聞いているが有無を言わせないぞと言っている顔だ。

「えぇーーー。」

森原はなんか嫌そうだ。

「布池君もついでに受けておこうか。」

「えぇーーー?」

とばっちり、いや連帯責任?

「(必要? ついでって完全におまけだよね? 俺受けなくていいんじゃない?)」


「布池さ~ん。」

「・・いや、どうしろって言うの?・・」








これでちょっと格上げされるのか?


ちょっと天然で真面目な森原君と、平凡代表を自称する素直が取り柄の布池君。

2人のここでの生活はまだ終わらない。。


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