戦いの終わり。。
翌日。天宮は2人から改めてこの世界の事や今までの経緯を聞いた。そして決めた事を言っておく。
「帰還は約1ヶ月後。決着は明後日の夜明け。その予定で心構えしておいてね。」
「・・・、はい。」
「・・・。 決着って? アンフォーンがもう来なくなる方法が見つかったのか?」
「ううん。すべて退治する事になった。っと言っても俺1人でやる訳ではないけどね。そのことをこれから吾妻社長さんには話に行く。」
「分かりました。なら俺も行きます。」
全て退治する。それは簡単な事ではない。1つの世界で一丸となってやっても叶わないのだから。自分たちの世界に来ないだけでも解決となるだろうが、存在している以上は一時しのぎでしかない。
今回は天宮と彼の伝によってやると言う。説明はシンプル。この世界と外側で挟み撃ちすると言う。その伝の方が割合が多そうだが、本人がやると言うのだからここは恩義もあるし、社長は一度任せてみることにした。成功の是非はどちらでもいい。この戦いが終わるのは実感出来ないが、天宮は確信を込めて言っていた。余程信頼に足る伝なのだろう。そんな事が出来ると言うだけでも凄いが。。
あれから引き続き警戒されるなか、決行当日を迎えた。
まだ暗い空、東の方は薄っすら明るみが出ている。
天宮たちは開けた場所に立っていた。今回は布池も誘われて一緒にいる。
「ねぇ、こんな時間に来て僕たちは何をするの?」
同行をお願いされただけで内容は何も聞かされていない井ノ原たち。
欠伸をして聞く彼に森原は言う。
「時間はともかく、一見の価値ありだよ。一生の内でもそう見られないようなものだから。 あえてやる事って言ったら、多分葵さん倒れると思うから、その運搬要員だね。」
「え。。」
たったそれだけの為に。と思う。
やがて東の地平線から太陽が見え始める。
そろそろか。 そう思うと同時に強い風。
見ると天宮が力を放って更に光っていた。力強いのにキツイ光ではなく、暖かみのある包み込む様な輝き。光の衣を纏っているように見えた。
圧倒的な存在感。
天宮が一振りの剣を出し、それを地に突き刺すと、そこから波動が伝い広がるのが分かった。地の底までも行き渡り、地と水の繋がる全てに広がるかの様に。。
時間の感覚を忘れ見ていると、今度は剣を引き抜き上空へと飛ぶ。
見上げた先から、程なく光の波紋が音の速さで広がり、幾重にもなる。
まるで舞っているかの様。 静かなのに光だけで奏でられるそれは、気付けば心弾かれ温かくなり、涙するものだった。。。
世界中が光に包まれたその時から、アンフォーンを見る事はなくなった。
世界中の人々が脅威から解き放たれた時だった。
それは驚嘆するべき事なのだが、なにせ50年以上続いた戦いに信じる者は少なく、これから恐る恐るテリトリーを広げていく事になるだろう。
そして異能力者は今後の未来を考えていく事になる。彼らを守る政策も打ち出されていく事になるだろう。これから産まれて来る子たちの為にも。
長い歴史からみれば、この60年足らずの事は一つの時代で纏められるが、その内容は大激動である。地図は変わり、世界の在り方も変わってしまった。
これからの事はこの世界の人々が決めて行く事。大変ではあるだろうが、明るい未来を作っていって欲しい。
様子見の為に1ヶ月の期間を設けた天宮と森原と布池は、その間アドバイスなどを求められながら過ごした。一般人に政策なんてサッパリ専門外な事なのだが、意外と意見は出るもので、特に天宮のアドバイスには社長は乗る気だった。フットワークが軽い社長は早速西側の社長と話し合い、国に掛け合いながらメディアを使い、異能力者が社会に溶け込める環境を作っていく方針に切り替えた。
そして1ヶ月後。
3人は元の世界へ帰る。
「長く、と言っても過ぎれば短く感じますが、お世話になりました。」
「そうだね。 しかし無事にこの日が迎えられて良かったね。感謝するのはお互い様だ。」
「寂しくなるねぇ。 まぁ、帰ったら大学生活を楽しみなさい。」
「はい。 安藤さんもちゃんとご飯食べて下さいよ。」
「ははは、まぁ善処するよ。」
「君たちの就職先が広がるといいね。」
「国の監視下からは外れないと思いますがね。」
「それでもいいじゃない?繋がりは大事だよ。 例えそれぞれ旅立つ事になっても、その先々で出会う人がいる。周りの環境が君たちを決めるんじゃない。どう付き合うも、学ぶも、自分の未来は自分で選ぶんだよ。 君たちがより良い道を、心強く歩めることを願ってる。」
それぞれと言葉をかわした後、魔法によって黒い空間の中へと3人は飛び込んでいなくなった。
布池は 「え。ちょっと待ってここに入るの?・・」 と躊躇していたが、森原によって引っ張られてGO。天宮もお辞儀をしてから彼の手を引いてGOING。
黒い空間が閉じられるまで布池の叫びは聴こえた。
「いや待って心の準備がぁ~~~~~~~~~~~~~~~っ!!?」
きっと帰っても彼らは元気で過ごすだろうと思われた。
布池君はやっぱり最後までツッコミがよく似合う。




