表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブラック転生~神からもらった杖の性能が最強でした~  作者: 弓藤千人
第1章 ギルド入会編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/19

第5話 マスターにご報告

 未知なる力によって吹き飛ばされた魔獣の残骸を指さして先輩戦士のダルクさんが言う。


「タナカ。これお前がやったのか?」


 正直自分には判断できかねる問いであったが、周囲の状況からするに俺以外にあり得ないだろう。

 だって、杖を構えた方向、50mほど先まで地面は(えぐ)れており、衝撃波で周囲の木々がなぎ倒されているんだもの。


「はい......。おそらく僕です」

「あ、あり得ない。お前、見習い魔導士じゃなかったのか?」

「えっと...。自分でもわかりません」


 ダルクさんはこれ以上俺を問いただすようなことはせず、今後の手続きに関して話始めた。


「ひとまず、一件落着だ。村長さん、討伐対象はあの魔獣で間違いないですよね?」

「え、えぇ...」

「では、こちらにサインを」

「は、はぁ...」


 任務遂行後は、依頼主のサイン又は押印を求めなければならない。

 あとから依頼の不履行を訴えられることを防ぐためだ。

 まるで宅配便の制度だな。


「では、依頼完了ということで我々は帰ります」

「あ、あぁ...」


 村長さんは、呆気にとられた様子で、言葉と言えるような声を発することはなかった。

 それもそのはず、村史上最大級の危機とも言える魔獣の蹂躙。

 その元凶を一瞬で消し去ってしまったのだから。


 討伐に成功し、和気あいあいムードが流れてもいいところなのだが、居合わせた人物全員が微妙な空気を醸し出している。もちろん、俺も含めてだ。

 気まずくなった俺は、村長さんとは言葉を交わさず、ペコリとお辞儀だけして、ダルクさんを追うように現場を後にした。


「ダルクさん...」

「いや〜、びっくりしたよ。まさか大物だったとは」

「ほんとですね!B級だと思ってましたもんね!」

「違うよ!大物ってのは君のことだよ。A級魔導士くらいならポンポンいけちゃうんじゃないかな笑」


 流石のダルクさんも苦笑いだった。

 出来損ないだと思っていた後輩くんがエリートかもしれないから複雑な思いだろう。

 心中お察しします。


 ダルクさんもまだ状況を整理できていないのだろう。

 往路とは違い、あまり言葉を交わすことなく拠点へと辿り着いてしまった。嫌われちゃったかな?


 ギルドに帰ってからは、受付へ報告に行くのが決まりのようだ。


「お疲れ様でした!初クエストはどうでしたか?」

「無事?帰って来れてよかったです...」

「何かあったのですか?」

「それなんだけどさ、ララちゃん。マスターって今いる?」

「はい。マスタールームにいらっしゃいますよ」


 受付嬢のララさんに案内され、マスタールームに赴く。

 名前の通り、このギルドのリーダー的存在なのだろうが、どんな人なのだろうか。


 ————コンッコンッ


「...入れ」

「失礼します。ダルクさんと新加入のタナカさんをお連れしました」

「そうか、ダルク一体何用だ」


 マスターはハードボイルド系だ。

 リーゼントが長すぎてちょっと垂れ下がってしまっている。正直面白いが、絶対に笑ってはいけない空気が流れていた。


「今日行った任務なんですけど、マスターにも報告すべき点がいくつかありまして...」

「聞こう...」


 マスターに促され、ダルクさんが報告を始めた。

 1点目は、B級クエストとして出されていた依頼の内容がその枠に収まっていなかったこと。

 2点目は、不測の事態に対処したのは、見習い魔導士のタナカであるということ。


「そうか。まずはすまなかった。君たちを危険に晒すことは運営側(こちらがわ)としても本意ではない」

「早急に見直しが必要かと」

「あぁ。すぐに取り掛かろう」


 マスターが次は君だと言わんばかりに俺に焦点を合わせた。


「タナカ......と言ったか。ギルドマスターのガルド・バロウズだ」

「ガルドさん。今日からお世話になります」


 このギルドで最も偉い人。前世で言うところの会長、社長に近い存在だろう。

 ここでお世話になる限り、この人には忠義を示していく必要があるだろう。

 俺は深々と頭を下げた。


「マスターでいい。顔をあげなさい」

「はい...」

「早速で悪いんだが、ダルクでも苦戦する相手を君が仕留めたというのは本当かい?」

「はい...。ただ夢中で...。自分でも何をやったのかはっきり分かってはいません」

「いや、いいんだ。君が仕留めたという事実確認をしたかっただけなんだ」


 その後は、俺とマスターの会話にダルクさんの証言も混ぜながら現場で起こったことの解像度をあげていった。


「今日はもういい。疲れただろう。また気になることがあったら聞かせてもらうとする」

「承知しました。では、失礼します...」

「失礼します...」


 俺とダルクさんがマスタールームから出ようとしたところで、マスターが受付嬢のララさんに何やら指示をしているようだ。

 なんだろう?「タナカのランクを見直せ」ととかかな?それだったら嬉しいな。


 マスタールームを出ると再び受付へと戻り、規定の手続きを進めていく。

 先ほど依頼主からの受け取った署名の書類を差し出し、依頼完了証と報酬を受け取る。


「では、こちらが任務完了証と報酬になります。1袋1,0000リースずつ入っております。金額をお確かめください」


 この世界の通貨はリースというらしい。

 人間界出身の俺からすると、少し嫌悪感がある。

 自分の働きによって得た対価が、リース(借り物)なのだから。


 カウンターに出されたのは10,000リースの袋が2袋。

 1リースにどれくらいの価値があるかわからないが、それはこれから調べるとしよう。

 まぁそもそも、俺の分前があるかもわからんし。


「では、受領証にサインをお願いします」


 ララさんはそう言うと、受領証を2枚こちらに向けて差し出してきた。


「え、僕も書くんですか?」

「はい!1袋はタナカさんへの報酬になります!」


 なんと!!??

 自分名義で依頼を受けたわけではないのに、思わぬところで初報酬をゲットしたのであった。

 棚ぼたってやつだな。


「これ、貰っちゃっていいんですか?」

「はい!マスターの計らいなのでお気になさらず!」

「やったじゃねぇか!タナカ!」


 魔界に来てからというもの、人の優しさに触れることが多い気がする。

 前世と違って意外とイージーモードなのかも?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ