問題は向き合うよりも、投げ出すのが楽だよな?
展開に詰まりました( ̄▽ ̄;)
扉を開くと…
やせいの近衛があらわれた!
近衛の「たいあたり」!
きゅうしょにあたった!
ダークは倒れた!
近衛は 1 のけいけんちを もらった!
とまあ、茶番は置いといて。
部屋の中には、ソファに腰かけた国王、国王に何かを訴えていたのか?何故か詰め寄っていた宰相、それから俺に体当たりしてきた近衛。
3人しか居なかった。
あれ?隣国の使者は?
『「勇者様」の機嫌を損ねずに、追い払おうって魂胆だろうな』
「こんなタイミングで、隣国の使者が来るわけないじゃないですか。勇者召喚した直後ですよ?他国に奪われたら元も子も無くなります」
「勇者様、飛び出して申し訳ありません。廊下で物音がした為、確認をせねばと…。おや、御二方は一体…?」
『そこの、御託は要らん。迅速かつ丁寧に、ダークへ資金と装備を渡せ』
近衛をガン無視した覇王が、国王に命じる。
「貴様っ!最大の王国、レオスの支配者たるディルク様に対しその様な態度…無礼であろう!」
当然の様に、宰相がキレた。
俺や女神ならまだしも、覇王に怒鳴るとは…無知って恐い。
『自らの都合で勝手に呼び出した、全く無関係の相手に自国の都合を押し付けている立場だろう?呼び出された側からすれば、貴様らの貴賤など関係無い訳だ。つまり、勇者とその関係者には国王だろうとも礼を失する事など有ってはならない。そして俺は勇者の関係者だ。にも関わらず高圧的な…ダークよ、やはりこの国は滅ぼすべきだと思うのだが?』
「覇王さんに対し、露骨に喧嘩売ってますね…ギルティです」
覇王のストッパーが居なくなった。
当然、女神を止める奴も居ない。
覇王は俺に気を使ってくれているが…女神は俺が見えてないな。
「この威圧感、只者ではないな…。王よ、お下がり下さい。勇者様以外の2名から、濃密な殺気が!」
おーい。
『どうした?』
「ダークさんも、コイツら殺りたくなりました?怪力の加護を差し上げますので、思う存分引き千切ってください!」
覇王と女神の発言を聞き、警戒したのか…国王達も俺に意識を向ける。
「勇者殿、刃傷沙汰は互いに不利益になるでしょう。剣を収める様、口添えしていただけませんか?」
「勇者殿、この御二方とはどの様な関係で…?」
「勇者様、誠に申し訳ありませんが…この状況をどうにか収めていただきたく」
覇王は意外と冷静、女神はアウト。
てか、加護…?魂云々の話は!?まさか、俺が壊れるという事を度外視してるなんて言わないよな…?
て、それは置いとこう。
国王は「様」から「殿」に戻ってるけど、まだ大丈夫そう。
宰相からは面倒臭そうな匂いがする。
近衛の人は、戦っても勝てないと分かってるらしい。一番下手に出てるな。
覇王、国王に聞きたい事があるから通訳頼む。
『オッケー』
魔人○ウに破壊された地球を元に戻す時のノリ!?
まあいいや、問題なんて先送りしときゃ自然消滅する(筈だ)。
『下手に出る必要など無い、舐められるだけだ。事実を、端的に伝えるだけで良い』
わかった。
先ず、魔王との戦いはいつ頃から?
『国王とやら、勇者の言葉を伝える。貴様等が魔族に手を出したのは何故だ?』
覇王?俺の発言と、覇王の伝えている事が若干異なるような…。
「何を…」
『魔物はともかく、魔族が貴様等人間を襲う理由が無い。あるとすれば報復だ。魔族に襲われたと言うならば、先に人間が魔族を襲った以外に考えられん。昨日は、魔王率いる軍が云々と誤魔化していたようだが…貴様等人間が毎回魔王城に辿り着く事無く全滅するなど、魔物のみならず魔族すらも敵に回しているとしか考えられん』
「何故その様な事を仰るので…?勇者様、その方に何か吹き込まれたのですか?」
国王がこちらに対する警戒を強める。
どうでも良いけど、「様」か「殿」かハッキリ決めてくれないものかね?
宰相は女神により、物理的に「お口にチャック」されている。
痛そうだが、覇王はスルーしてるし俺もスルーしよう。
近衛の人は、命を捨ててでも国王を逃がそうと考えてるのかな?
何かの覚悟を決めた顔だ。
まあ、確かに情報は覇王から聞いたのを全面的に信じてるけど…俺を拉致ったアンタ達より、直接俺に協力してくれている覇王の話の方がよっぽど信頼出来ると思うのは当然だろう?
まあ、仮定の話として進めよう。
魔族を襲ったとしたら、その理由は?
どうやったんだ?
『地力に劣る貴様等が、わざわざ魔族を狙った理由は…魔石か?魔石に込められた魔力は、強い魔物程多い。魔族ともなれば、上位の魔物から獲た魔石数十個分にも相当するだろう。だが、魔族相手に人間が正面から勝てる道理も無い。つまり…不意討ち。それも数の暴力で押し潰した。違うか?』
「そ、それは…」
図星だったのか、国王が言葉に詰まる。
『計算外だったのが、魔族の結束力という訳だな?貴様等人間の一人と、魔族の一人の価値は大きく違う。魔族は魔王の下、全員が固い絆で結ばれている。しかし貴様等人間は住む場所が、見た目が、信じる物や者が違うだけで仲違いをし、殺し合う。その程度の繋がりしか持たぬ種族が、他種族の結束を読み取ろうとした事が過ちだったのだ』
…国王に聞かないで、素直に覇王に聞けば良かった。
てかさ?俺の通訳、最初の一言だけじゃね?
それも、大した意味無かったし…。
覇王の問いも国王から情報を聞き出したというより、事実の確認と同時に俺へ説明していた様な感じだし…あれ?魔王と人間が戦争する火種、というか直接の原因が人間側の強欲って極秘情報なんじゃ?
「当然です!覇王さんがその気になれば、隠し通せる事なんて無いんですから!」
何故に女神が誇らしそうなんだ?
何かイラっとしたから、後で女神の頭を撫でくり回そう。
丁度良い位置にあるんだよな。
頬を引っ張って遊ぶのも良いし…悩むな。
「はっ!何故か嫌な予感がします…」
気ノセイダヨ、何モ企ンデ無イヨ?
「何デカタコト…?」ジトッ
「……何が望みなのだ?」
あ、そいえば国王居たのな。
静かだったから忘れてた。
で、望みを聞く理由は?
『武力では返り討ちになる、権力も効かない、あと貴様が頼れる物は財力くらいか?そんな物はどうでもいい。貴様に出来る事は唯一つ。大人しくダークに装備と資金を渡す事だけだ』
覇王、そろそろいいんじゃないか?
国王…オッサン、もう涙目なんだけど。
声も震えてるし、威厳の欠片も無い。
オッサンの涙目とか、誰得だよ…。
『そうか?元々はダークに対する無礼を詫びさせようと始めた事、お前が良いならそれで良いが…』
「え?何を言っているんですか?まだまだ足りませんよね?ダークさんはともかく、覇王さんに対しあの様な態度…!」
俺はともかくて…あれ?女神、何か雰囲気が…?
「もっともっと、いっぱいいっぱい苦しめましょうよお!!!」
いつの間にか、宰相だったモノは風穴だらけのハニカム仕様になっていた。
女神…目が逝ってるんだが。
「女神ちゃんマジ(キチ)女神」
とタグ付けられても文句は言えまい。
「はい?ああ、そこにも国王がありますねえ。コレが動かなくなって、退屈してたとこです 」
女神は宰相の成れの果てを蹴飛ばし、怯えて一歩も動けない国王の下へ、一歩、また一歩と、ゆっくり近づいていく。
覇王!一刻も早く女神を止めてくれ!!
理想郷に送り返して構わない、何でもいいから止めてくれ!
『お、おう…』
女神の姿が消え、動かなくなった宰相だけが残った。
覇王は戸惑いながらも、女神を理想郷へ送り返してくれたようだ。
あ、焦った…。
流石に国王殺されたら、国王から装備を受け取るというテンプレが出来なくなってしまう。
それだけは避けなければ!
その一心で覇王に呼び掛けたが、応えてくれて良かった。
女神はキレると、いつもああなるのか?
『いや…あの様な姿は初めてだ。ダークよ、よくぞ呼び掛けてくれた。俺ともあろう者が、気圧されるとは…』
いや、自分でも反応出来たのが不思議なくらいだ。
女神、恐すぎるんだが…。
次会ったら「女神さん」と呼んでしまいそうだ。
呼び捨てなんて無理だし…「駄女神」なんて、あの姿を見たら口が裂けても言えない。
『ダークよ、女神のバラ撒いた「憤怒、憎悪、狂気」これら負の感情により、人間が変質した「獣」が動き出したようだ。範囲は城内のみ故に、城ごと消せば万事解決だ。どうする?』
ケダモノ…?でも、国王は変わらずそこにいるぞ?
『それは例外だ。お前が「国王」に拘っている様子だったろう?故に害を阻む障壁を張っておいた』
ナイス覇王。
宰相が死んだって、国王にある程度のカリスマがあれば持ち直せるだろう。
あれ?そこの近衛さんは?
『コイツは入れたか…?ああ、適当に張ったからな。たまたまそいつも範囲内になったのだろう』
…覇王?
『何だ?』
その汚染された奴等って、浄化出来ない?
『天に還せ、という訳だな。任せろ!』
じゃなくて!女神の影響で汚染したなら、それより強い力を持つ覇王の影響で、正常な状態に上書き出来ないか?
『出来るが…それでは面白くならないぞ?』
普通で良いから…。
あ、それより良い考えが。
もうさ、初めて王に会った時点まで時間を巻き戻せない?
色々ややこしくなったし、まっさらな状態でやり直したい。
『可能だ。しかし、お前の記憶は消えるぞ?時間軸の操作により生じる影響は、人間の力で如何にかなる領域では無いからな』
じゃあ、記憶の引き継ぎもよろしく。
『はあ…支配者使いが荒い奴め。暫く目を瞑っていろ』
言われた通り目を瞑る。
『終わったぞ』
何も感じなかったけど?
まあ、覇王の言う事に間違いは無いだろう。
俺は思いきって目を開いた。




