その18:追跡する呪い。新たなる争い
――そしてそのころ学園では…
「まだ呪いが足りないか。」
学園長ドップエは考えていた。
メリストスとその友達によるとサラダを二口、三口と
食べられるようになっている。
しかしだ。
サラダや肉を一口や二口など、我が娘が可哀そうすぎるではないか…!!
おのれアントワーヌ、追放してからそろそろ一か月か…呪いを見守り
祈り続けたというのに。
あの呪術集団の木の札も一枚また一枚と倒れていくのを
楽しみに見届けていたというのに。
よく見たのだがあの札には様々な条件が一つ一つ書いてある。
置いて行かれた利用手引きによると、倒れた札が更なる条件付けとなり
アントワーヌを追跡していくらしい。
倒れた木の札が追跡しやすい条件付けの記載となる。そう書いてあった。
少女、魔法使い、遠隔地、冒険者…
おのれ、おのれ、呪いから逃げまどいおって。
…返却された資金、あれを使って
更なる呪術師を呼び寄せるか。
あれにかけた大金の8割は帰ってきたからな。
止めの一撃位、少し低い等級の呪術師でも問題なかろう。
よし、善は急げだ。
さっそく、手配させよう…
――お父さんの呪術の事…
「フィエル様に伝えたほうが、良いのかしら…」
相談できるならしたい、でも仲は最悪。
それどころか、フィエル様と話したい女子たちに
私の足元に唾を吐かれたりすることもある始末。
「メリストス、呪いが何だっていうのですか。
だから弱い呪いをベースにしたのでしょう?
誰かが食事を食べて気絶したら
問い詰めて止めさせればいいのですわ。」
カロン、ありがとう。
「…でも、後ろめたくて。
私は今となって、アントワーヌを天才だと思っています。
その子を苦しみから解放するのが
私の償いではないかとも思いましてよ。」
「あら、メリストス…」
祈りを捧げるメリストスは、以前とはまるで別人だった。
余りに痛く苦しい教訓だったのだろうと
誰もが一目でわかるほどにだ。
「メリストス…私が伝えましょう。
それでもいいですこと?」
「カロン…?そこまで」
呪術師集団の意見を同じく聞いたうえで
カロンはメリストスに助言をしていた。
その上で足まで動かしてくれようと。
それは…したくなかったのに。
「随分大人しくなりましたことね。
私うれしくってよ、この程度なら働きますわ。」
如何に自分が周りを見ていなかったのか。
これ程の親友がいたというのに。
それでもこの親友を信用しきって良いのか疑心暗鬼も思い浮ぶ
自分に、嫌悪しながらも安堵した。
「カロン。お願いできるでしょうか。」
そして頭を下げ、自分なりに丁寧に頼み込んだ。
――そして…
「呪いなのは知っていた。だが…
今もなおそれを強化しようとしていると。」
俺の予想外だった。
以前俺が追跡に利用しようとした方法と同じだが
対象がもう探知できないというのに強化しようというのか。
それとも知らない何かがあるのか。
「ええ。学園長を止めぬ限り
アントワーヌが何処に居ようと苦しむのではないかと。
見ていますでしょう?
私の親友が、ずっと安息の祈りを捧げている姿。」
…確かに、最近はそうだ。
俺の冗談を真に受けたって段階は超えてる。
視線に映るたびにほぼずっと祈っていた。
「見えていた。それは。
だが…幽霊に呪いを使おうと罪にも問えないじゃないか。
逆に壊せば…俺の方が罪に問われてしまう。
が、止めたいな…」
まただ、アントワーヌのこととなると頭と感情がごっちゃになる。
ネルに煽られたせいだ。くっそ。
そんな年じゃないが他の女子よりは…アントワーヌが…
頭を切り替えた。
混乱しても5秒で思考を断ち切る練習した癖を使った。
よし。考えよう。
「呪いを急に止めると対象が変化することがある。
だから間違いなく準備は必要なんだ。
"呪い返し"の危険性も想定してなるべく抑えたい。
メリストスが食えないこと自体が、呪い返しの一種かもしれないしな。」
以前あいつと学園長が許せなかったが、少なくともあいつに関してはもういい。
じゃあどうするかっていうと、学園長を反省させることだよな。
鍵ははもうある。
メリストス自身だ。
可愛い娘を傷つけていたのが自分という事であれば、
十分ではないが少しは心に来るものがあるだろう。
そしたら、アントワーヌを探してやる方が優先だ。
もしそれが終わったら、学園長を本格的に調べよう。
鍵で扉を開けてから、何が出てくるか…
ガードが緩くなれば他を調査して徹底的に問い詰めるだけだ。
メリストスが不利になるなら…それも仕方ないだろう。
性格さえ治れば、一般人でもやっていけるはずだ。
あんなことをしておいて、業務での不正がないとは思えないしな。
「方針は決まった。
止める、だが根回しや知見が必要だ。
カロン、力を貸してくれないか。」
「分かりました。仰せの通りにフィエル様。」
コイツ、結構強かだな。
次から話す時は気を付ける様にしよう。
――「呪いは…」
一方クサダ側。
ヤハリ―が言葉を発した。
「もしかすると継続して強化されているのかもね。」
「え?」
私、まだ追われてるの?
自由になったと思ったのに。
「ほら、家の名前も無くして、名前も服装も変えたんでしょ?
まだ呪いが追って来てる。
だとするとすっごく危険だわ、クサダ。
あなたを苦しめるのが目的ならまだしも…」
まだしも?
「草原に放置してきたんでしょ?相手は。」
「そうです。呪いにかけられた後
助けが来ないうちに草原まで運ばれて…」
そのまま、ミミズとかを食べて…生き延びた。
「じゃあもし、相手が死んでいないと分かったら?
相手の立場ならどうするかしら?」
ヤハリ―さんが虫の杖の顔を正面に向けてきた。
その虫の気持ちになって考えた。
「致死性の…呪いにする…」
パンしか食べられないどころじゃない呪いが来る…!!
すぐに手を…手を打たないと。
「あくまで仮定の話。
1か月放置されてるからね。でも…」
怖い。
「残念だけど、暫くこの村を離れるわよ。
アンタの追放された地域と学園丸ごと…
経路で山が障害になるような地域に逃げる。
ここだと未だ近いみたいだから。」
そんな、でも仕方ない。
「あと、行動規範を変えて見ましょう。
口調とか、戦闘方法とか…
ほら、剣や投石だけで戦うとかね。」
剣…魔法少女が。
「確かに魔法が使えないのは痛いけど、呪いから逃げるのが最優先。
訓練には付き合うわ。
本職剣士のGATIまで来てくれるかは分からないけどね。」
”こういう口調はどう?真似て見て。”
「「了解、ヤハリー隊長。」」
"これは軍隊物で…ごにょごにょ。"
「行くわよ、ヤハリン2番。
っぷ。
私はヤハリン1番。隊長よ。」
ともかく、緊急避難。
様子を見ながら…もっと人の多い都市に
向かうことにした。
"ヨシ!今から自認は黒騎士アサコだ。
進め!うちの黒騎士!ヤハリン2番!”
「ラジャー!黒騎士アサコ、ヤハリン2番。
ついていきます!」
この時は、そうやって終わりだと思っていた。
思っていたのに…想像以上のことが
私をすぐに待ち受けているなんて。
ごめんなさい、ミス多くて修正しました。
何かあったら教えてください…気を付けます。




