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絶望転生令嬢 血パンの味と本の虫  作者: 和琴
冒険者としての歩み
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17/19

その17:草田とクサダが呪いを把握するまで

――そして…


「ギルド初依頼完了!カンパーイ!!!」

何て楽しいんだろう。


黄色くランプで照らされた

どこか薄暗くにぎやかなギルドの中で、

煌めく杯が交差した。


数時間の探索を終えて、魔物の討伐と

宝箱の回収を終えた後の祝福だ。


ダンジョンはこの後も、

闇の霧の魔物が発生し、

もし人里に来るようなら討伐が必要になる。

けど、暫くは問題ないはずだ。


「クサダちゃんやるじゃない!

なかなか気分いいわぁ…」

私と肩を組んでヤハリ―さんが撫でてくれた。

鎧越しとはいえ最高、思わず体を預けてしまった。


「あー、すまん今まで酔ってた。

俺の名前はGATIじゃなくてクローソンな。

酒飲むといつもこれだよ…」

と言いながら杯を傾けるGATIさん。

もうあだ名GATIさんでいいはずだ。


「クローソンさん、酔っていても為になりました。

ありがとうございました。GATI!」


「やっぱり服装と違和感あんなーその目の保護の奴、

外したらメン―ニみたいにお目めくりくりなんだろ?

はぁ―――世の中わっからんねぇー!!」


そうかな、その感覚がよくわかんない。

”私も奇抜だと思う、男の人のしかもかなりかっこつけた見た目。”


「魔法少女クサダ!!ただいま見参!!」

もう一度、叫んでみた。


””ハハハハハハハ!!””


そんなにおかしいかな、もう。


「何か食うか?」

私は飲み物として雪解け水をろ過したものを頂いていた。

でも…


「ごめんなさい。私…

奇病なんです。普通のものを食べると気絶してしまうんです。」


空気が、一気に止まった。 


「GATI?」

数秒立ってGATIさんが聞き返してきた。


「GATI」

真剣に返した。

村の人も数人来てたけど、黙って私を見つめていた。


「食物拒絶症…余りにも大変ね。

冒険者として…どんなことになるの?」


そうだ、客観的に見たら冒険者として致命的だよね。


「本当に、豆を欠片食べただけで気絶してしまって。

起きるまでに何時間もかかって、大汗をかいていて…」


私はスープで試した時のことを話すと、ヤハリ―さんは

私の体をぎゅっと引き寄せたままこう言った。


「それ呪いよ。多分。

息苦しさの前に意識が消えるんでしょ?

しかも5分で。」


やっぱり…感染症とは違うと思っていた。

教科書の呪いに近い…でも医者という権威に

真っ向から反論が出来なかった。

不思議な奇病で通されてはどうしようもなかったから。


「うすうす、感じていましたけれど…まだ分かりません。

お医者さんの話を検証ができないので納得をしてました。

軍閥貴族の家を追放される直前に起きたんです。」

そんな事をしそうな人は、私の記憶の中だと…


「お父さんが…私を…」

それを学園と協力して演技し、追放した。

フィエル君と深く関わるその前に。


そう見えた。


「なら見ててあげる。

危険そうなら医者も呼ぶからちょっと食べて見なさい。」


ヤハリーさんから目の前に差し出されたのは、ホカホカの煮物

鉱石大根(ミネラルダイコン)の煮物。


全く食べたことのない未知の食品が一切れ。

「黒く、青く輝く鉱石の様な根菜類。

ものすごく弾力が強くてこの村の名物よ。」


でもほかの人が美味しそうに食べている。

食品として認識してしまった。


おそる…おそる…

手が震えて、食器に串を戻してしまった。


「GATIで"あーん"としてやろうか?」


あーんと…

少しだけ、名残を感じて

私は泣いてしまった。


「すまん…」

GATIさん、違うから…


"私が食べる。"

草田さん、私が食べたい。


"分かった。"


「行きます。」

私はもう一度震える手で串を持ち上げた。


歯を当てて…か、かた。

パンの石ばっかり食べてきたから固い。


奥歯で齧るように、少し噛んでみた。

何だろう…これ。

ずるりと縦向きの繊維が削り落ちる食感。


ほろ苦い。

ほろ苦いけど、結構炭っぽい香りだ。

それでもしゃきっとしていて、美味しかった。


ひとかけだけ舌の上にあることを見せてから…

飲み込んで、5分経った。


いつの間にか、眠たくなって…

でも、堪えられるぐらいだった。

フィエル君と話していたのに堪えられなかった

あの時ほどじゃなかった。


「これは…もう2時間様子を見ましょう。

一応それで呼吸し辛くなったり

異常なほどに発疹が出たり、逆にまったく出なかったら

呪いを疑ってもいいと思うわ。」

ヤハリーさんの言葉に少し不安を感じながら…


そうして、談笑をしたりしながら

2時間が経った。


…何も起こらず、ずっと楽しい時間が続いて

その事実に、私は悲しくなった。


「ヤハリ…ね。

これから一緒に冒険しましょう。

呪いの条件から逃げないといけないでしょ?

手伝うわ。」


ヤハリーさんの保護のもとで、私は生活をすることになった。

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