表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/105

№ 81 ケレス、白き霧を抜けた先の世界で思わぬ人物と再会する

 やっとの思いでケレス達はアマテラスの使いを小さな光る花の下へ送り届けた。

 だが、そこでアマテラスの使いは呑気にある事を続ける。

 その光景を大人しく見ていたケレスだったが痺れを切らし、ある事を口走ってしまう……。

「これって、雪桜だ!」

 アマテラスの使いが入って行った焼け焦げた大木の隙間。

 そこに生えていた植物は小さくとも紛れもなく雪桜だったのだ。

 その白銀に輝く小さな雪桜を見たケレスは思わずそう叫んだが、

その雪桜の花にアマテラスの使いは止まり、優雅にその蜜を吸っていたのである。

 そして、暫くケレス達はその様子を見ていた。

 だが、

「……アマテラス様の使いは何がしたかったんだ?」

と、痺れを切らしたケレスの口から言葉が漏れてしまう。

「その花の蜜が吸いたかったみたいだね」

 ちなみに、アルトは一心にアマテラスの使いを見ていた。

「まさか……、こんな事の為に俺達を振り回したんじゃないだろうな?」

 そして、高杉は不機嫌さを前面に出している。

「ま、まっさかぁ……」

 この状況にケレスの左口角がピクピク動き始めた時だった。

「キャワアァーーーーン!?」

 悲痛なハリスの声と、ドサッと何かが倒れる音が響いた。

 その声の方をケレスが見ると炎の壁は消え、ハリスが倒れている姿が目に飛び込んで来た。

「ハリス!?」

「さて、番兵は倒れた……。

 お前達、どうするかね?」

 哀れな姿で倒れているハリスの隣でヨルムンガンドは静かな声でケレス達に話し掛けてきた。

 そして、ズーーン、ズルルと音を鳴らしながら徐に近づいて来る。

「ど、どうしよう……」

 ケレス達は万事が窮してしまった。

 だが、ケレスがそう言った瞬間、ケレスは目が開けれない程の眩い光に包まれたのだ。

(これって、フェンリル山に連れていかれた時と同じだ!?)

 そう思ったケレスが目を開けるとそこは鼻が痛くなる程の凍てつく寒さと、

ほとんど周りが見えない程の白い霧に包まれていた。

「アルト! 先生! ハリス! みんな無事か?」

 その霧の中でそう叫びながらケレスが辺りを見渡していると薄っすらと人影が見えた。

「おーーい! 誰か返事を……」

 そして、ケレスはその人影に声を掛けながら近づいたが、命の危険を感じる程の寒さを感じる。

(な、何だ!? 寒い……?

 いや、そんなんじゃない!! 駄目だ……。し、死ぬ……)

 その寒気にケレスは死を覚悟したが、

「駄目だボス!!」

と、ケレスが意識を失うその間際、聞き覚えのある声がケレスの耳に残ったが、

白い霧の中で死を覚悟したケレスはそのまま意識を失った。

▲▼

「ん? ここは……何処だ?」

 それからどのくらいの時間が経ったのかは定かではないが、ケレスは意識を取り戻した。

 そして、そう呟いたケレスが目を開けると白い天井が見え、そこに一体のp?が浮遊していた。

 そんなケレスは何処かの部屋のベットの上で仰向けの状態でいたのである。

「これって、p?だよな!?」

 そのp?を起き上がったケレスがまじまじと見ると、p?は、ピココと音を鳴らし、点滅した。

「は、はい?」

「ふんふん。目が覚めたみたいだね……」

 ケレスがその音と光に戸惑っているとp?から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 その声にケレスはp?を睨みつける。

「その声は、アルデバラン!?」

 そう、その声はあの時、氷月ビンユエの隣にいた女性の声だったのだ。

 しかも、ケレスが意識を失う直前に聞いた声でもあった。

「あれ? 何で、あんた、アタシの名前を知ってんの?」

「そんな事はどうでもいい!! ここは何処だ!!」

 怒鳴るケレスに対しアルデバランは不思議そうな声で応対する。

 そのアルデバランの声にケレスの眉間にしわが寄った。

「そんなに興奮しなさんなって。アタシが停めなきゃ、あんた達、みんな、殺されてたんだから♪」

「何言ってんだ!? 何で俺達が殺されなきゃいけねえんだ!!」

 p?から聞こえてきたアルデバランの声は明らかにケレスを揶揄っていた。

 なので苛立ったケレスの声はさらに大きなものとなる。

「……それはね、あんた達が入っちゃいけない世界に入ったからよ」

 だが、次にp?から聞こえてきたアルデバランの声は静かで冷たいものだった。

 その声にケレスは息を飲んだ。

「入っちゃいけない世界だって!?」

「そんな事より教えてあげるね。

 ここは、エルシャマリにある留置所。悪い事をした人を置いとく所なんだ♪」

「何で、俺はそんな所にいるんだ?」

「言ったでしょ? 入っちゃいけない世界に入ったからよ。

 だから、刑が確定するまで、大人しくしててね?」

 それからp?から聞こえたアルデバランの声は楽し気なものとなっていた。

 その調子にケレスは乗せられてしまったがとんでもない事を告げられた。

「そんな暇はない!! 早く姉ちゃんに会わせろ!! じゃないと、世界が滅ぶんだ!!」

 焦ったケレスは、p?を捕まえ様としたが逃げられる。

 そのp?はケレスからある程度離れた処に位置を変え浮遊し続けており、

それから暫くケレスはそのp?を睨み続けた。

 すると、

「……今更、何言ってんのよ。知らない訳ないよね?

 あんたのお姉さんは一年以上も前に死んだのよ……」

と、p?から怒りにふるえるアルデバランの声が聞こえたのである。

「嘘だ!! わかってるんだ!! 冗談言ってる場合じゃない!!

 早く姉ちゃんが救わなきゃ、世界はヨルムンガンドに滅ぼされる!!

 それにヨルムンガンドが姉ちゃんを狙ってるんだ!!」

「話にならない。世界が滅ぶ? どうして、そんな嘘を言うの?」

「何 呑気な事言ってんだ!? 世界は闇に包まれてる!! 見ればわかるだろ!!

 それが奴の力で、アマテラス様の力が弱まってんだよっ!!

 だから、姉ちゃんの力がいるんだっ!!」

 p?越しにアルデバランと話しているケレスの語気はどんどん強まっていく。

 一方、アルデバランは怒りを抑えながら話していた。

「訳がわからない。世界は闇になんか包まれてないわ!」

 そんなアルデバランは声を荒げた。

 すると、p?の画面にある映像が映し出されたのである。

 そして、

「う、嘘だ……」

と、その映像を見たケレスは言葉を失った。

 何故なら、p?の画面には粉雪舞う中、楽しそうに笑う人々や、

多くの車が行き交うといった普段と変わらないニーズヘッグの様子が映し出されたからである。

 その信じ難い映像を前にケレスが呆然となると、

「嘘じゃないよ。これが、今のニーズヘッグ! みんな普通に生活してるでしょ?

 わかったら 話は終わり! ん、じゃあね♪」

と、p?から聞こえたアルデバランの声を最後にp?は何も言わなくなった。

(どうしてニーズヘッグは何も起きていないんだ……。

 まさか、さっきの映像は偽物……?

 いや、アルデバランの言い方からして嘘をついているとは思えない……。

 なら、どうして……)

 それからケレスは考えた。

 何故、ニーズヘッグは無事なのかを。

 宝珠の国も水鏡の国も滅びかけているにもかかわらず、どうして剣の国は無事なのかを……。

 だが、その答えは出ず、ケレスは今の状況を整理する事にした。

(とりあえずアルデバランは、あんた達って言ったよな……。

 って事は、俺以外もその入ったらいけない世界とやらに来てたって事になるな。

 なら、恐らく先生やアルトもいて……)

 ここまで考えたケレスは自身の右肩を見つめた。

 だが、そこには何もなかった。

「アマテラス様の使い……、何処に行ったんだ?

 俺達を何処に導こうとしてんだ?」

 そんな何もいない右肩を見てケレスはぽつりと呟いた。

 そして、ケレスは辺りを見渡した。

 すると、今ケレスがいる部屋は壁に密着したベットが置かれ一つの水道があり、

そのベットの周りを人一人が歩けるだけの幅がある狭い部屋の様だった。

 さらに壁には窓はなく、扉に小さな覗き窓が付いているだけだったのである。

「本当に、犯罪者みたいだ……」

 そんな部屋を見渡したケレスは眉を顰めそう呟いた。

 すると、p?が斜め上からケレスを監視している事に気付く。

「本当に時間がないんだ!! このままじゃミューは……世界はみんな滅ぶんだ!!

 アルデバラン頼む! もう一度俺の話を聴いてくれ!!」

 そのp?にケレスは必死に訴えたが、何も反応しなかった。

 それでもケレスは頼み続けた。

 すると、部屋のドアをコンコンとノックする音が聞える。

「誰だ!?」

 その音にケレスはドアの方に振り向いた。

「俺だ」

 すると、そのドアの向こうから聞き覚えのある男の声が聞こえ、

「そ、その声は……イェンさん!?」

と、ドアを一心に見つめたケレスが言うと、ドアが開きイェンユエが入ってきた。

 そのイェンユエを見たケレスは一瞬時が止る様な感覚に陥った。

 そして、そんなケレスの時を進める様にケレスの心臓は一度強く拍動する。

 それからケレスの耳に心臓が動いている音がはっきりと聞こえ瑠様になった。

 だが、ケレスは一度深く息を吸い、それを吐いて自身を落ち着かせた。

 それはこのままでは自身が何を仕出かすかわからなかったからである。

 そんなケレスがイェンユエを見るとやはり頭では納得していたつもりだったが、

ケレスの全身からどうしようもない怒りが込み上げてくる。

 ケレスは無言でイェンユエを睨みつけ、顔は段々強張り、唇はふるえ出した。

「……イェンさん。姉ちゃんをずっと騙していたんですか?」

 すると、ふるえたケレスの口から怒りの籠った言葉が出る。

 そう、ケレスはホンと話して、そうではないとわかっていた。

 だが、どうしても頭の片隅にそうかもしれないという事が残っていたのだ。

 だから、言ってしまったのである。

 大切な姉にあんな顔をさせた許せない男に……。

「違う」

 そのケレスの言葉を聴いたイェンユエは眉を顰める。

「じゃあ!! ホンさんはどうなんですか!!」

「俺は最初から、喜蝶の事だけを思っていた……」

「そんなの、信じられない!!」

 怒りを抑えきれなくなったケレスはイェンユエを睨み続けていたが

イェンユエはケレスから視線を外す事はなかった。

 そして、ふるえる拳を握り締めているケレスに、イェンユエは右手を差し出してくる。

「何のつもりだ!!」

 そのイェンユエの手を見て怒りが頂点に達したケレスにイェンユエはある申し入れをしてきた。

 やぁ やぁ、ケレス君、生きててなにより!

 もう少しで君は死んじゃう処だったんだよ?

 ちゃんとアルデバランちゃんに感謝してね?

 アルデバランちゃんは私のお気に入りのキャラなんだから!

 とまあ、お茶ら桁お話はここまで!

 さて……、イェンユエがケレス君に申し入れた事とは⁉

 それがわかる次話のタイトルは、【ケレス、ラビリンスの亡霊に遭遇する】だ!

 ……えっ⁉ ぼ、亡霊……?

ー☆ー

~ここからちょいと宣伝♪~

 いつも【嘘と秘密だらけの世界のかたすみで】をお読みいただき、誠にありがとうございます!

 昨日、自宅の柱の角に額をぶつけ絶賛こぶが出ている紅pでございます。

 えぇ……大した事ではないのですが

活動報告でずっと言い続けてきた番外編がいよいよ来週からスタートします!

 その主人公は勿論アルト君です☆

 

 どうぞ、こちらの方も本編の方もよろしくお願いいたします! 紅pでした☆

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ