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№ 79 ケレス、再度、蛇の夢を見る

 ミューを無事にヒロに託し、ケレス達はラニーニャに会いに行くべく剣の国へ向かおうとした。

 だが、そんなケレス達を乗せたリゲルが蛇の夢に包まれてしまう。

 その蛇の夢の中でヨルムンガンドが現れ、ケレス達全員を始末しようとするのだが……。


 メイサと談笑しているケレスを睨んできたのは高杉だった。

 その高杉は何故か無言でケレスを睨んできたのである。

「先生? 何か用か?」

 その高杉を不思議に思ったケレスが聞いても高杉は無言でその場を去ってしまった。

「何なんだよ、さっきから……。 感じ、悪いなっ!」

「ほほっ。ケレス様もその内、高杉様のお気持ちがわかる様になりますよ」

 そんな高杉にケレスは眉を顰める。

 すると、そう言って扇子で口を隠したメイサから、チラッとケレスは見られた。

(うっ……⁉ あの顔、何か企んでる⁉)

 そのメイサの仕草でケレスの左口角がピクピク動くと、メイサは扇子を閉じた。

「さて、そろそろ宝珠の国に到着いたします」

「は、はい! わかりました!」

「私も全力であなた様方を支えます。ですので、必ず、勝ちましょう!」

 それから静かにメイサは話し始める。

 それに対しケレスが気合いの籠った返事をするとメイサの声にも力強さが宿った。

 そして、メイサの言葉に勇気をもらったケレスはミラの港付近の海辺まで帰ってきた。

 それからケレス達は皆、リゲルの甲板に集まる様に言われたので、

それに従いケレスは甲板へと向かった。

 だが、リゲルの甲板に出たがリゲルの甲板から見える景色は薄暗い空に海しか見えず、

ケレスは宝珠の国に帰還した実感は全く沸かなかった。

「で、これからどうするんだ?」

 そんなケレスが誰にでもなく聞くと、

「ここに、迎えが来るみたいだ……」

と、アルトが静かに答え、

「こんな海の上でって……。ま、まさか⁉」

と、ケレスが言ったその時、薄暗い空が茜色に染まった。

「これは、殿下⁉」

 そして、その茜色の空の正体がわかったケレスが叫ぶと甲板に紅蓮の炎の球体が落ちてきた。

 すると、その中からヒロが姿を見せる。

 そのヒロは眉を顰め口を真一文字に結び、ケレス達を無言で見つめてきた。

「……ミューは?」

「ヒロ殿下。こちらです」

 静かに問うてきたヒロに静かに答えたアルトは船内にいるミューの所へ案内した。

 そして、意識のないミューを見たヒロは無言でミューを抱き抱えゆっくり甲板に戻り、

ケレス達に背を向けた。

「世話になった……」

 そんなヒロ達は紅蓮の炎に包まれ、クリオネと茜色の空へ浮上して行く。

 それを見送ったケレスの上空はまた薄暗いものへと戻った。

「ミュー……。無事でいてくれ! 俺達、必ずお前を助けるから‼」

 そんな空を見上げ、ケレスがそう言うと、

「さて、ケレス。行こう!」

と、アルトが言ったその時、

「何処にだい?」

というヨルムンガンドの声が何処からともなく聞こえ、

「ヨルムンガンド⁉」

と、ケレスが叫ぶと甲板は黒い霧に包まれ、辺りは一瞬で闇の世界へと変わった。

「これって、蛇の夢⁉」

「おやぁおや? もう、我の術の名を知ってるとは、驚きだ……。

 だがそれだけで、どうする事も出来まい?

 この空間からお前達では抜け出す事は出来ぬであろう?」

 ケレスの叫び声の後ヨルムンガンドの声が聞え、ケレス達の前に巨大な瞳が出現した。

 それからその瞳はギロリとケレス達を見渡す。

「はてさて、どう始末するか……。お前達はいずれ我の障害となる。

 小さい時にその芽は全て摘まねばな……」

 すると、ヨルムンガンドの不気味な声が響いた。

「んぁあ⁉ ベラトリックスがいやがる‼」

 だが、それはヨルムンガンドの怒鳴り声へと変わったのだ。

「ベラトリックスだって⁉ だって、その人ってアルト達の祖先じゃないのか⁉」

 その声に驚いたケレスが辺りを見渡すとヨルムンガンドのその瞳はメイサを睨みつけていた。

「どういう事だよ⁉」

「ほほっ……。私がベラトリックス様と見間違えられるとは……超越。至極!」

 何がなんだかわからないケレスはメイサに目を転がす。

 すると、そう言ったメイサは不敵に笑い、扇子をパッと広げた。

「貴様‼ 我をこれ以上怒らせぬ事だ‼」

「ほほほ……。全く、あの御方は私までをも守ってくださっていたとは。頭が下がりますわ!」

 それからヨルムンガンドとメイサが同時にそう言うと、

メイサは下げた扇の後ろに玉手箱を持っており、結びの組紐を一気に引っ張り玉手箱を開けたのだ。

「ば、婆や⁉ 駄目だ‼」

 それを見たアルトは血相を変え叫び、メイサに近づこうとしたが、

「お坊ちゃま! こんな破片等、私一人で十分‼ 心配等せず、目的を達成しなさい‼」

と、メイサの怒鳴り声と共に白い霧と黒い霧が打ち消し合いながら玉手箱の中に入っていった。

 そして、ケレス達は元の空間に戻っていたが、

「婆やあぁーーーーー‼」

と、アルトは泣き叫び、そんなアルトの前に既に結びの組紐で封じられた玉手箱だけがあったが、

そこにメイサの姿はなかった。

「どうなってんだ⁉ アルト‼ 婆やさんはどうなったんだ⁉」

 そう叫んだケレスはしゃがみ込んでいるアルトに駆け寄る。

「……あれが、本来の玉手箱の使用法だよ」

 すると、両手を使い自身の体を支えているアルトはふるえた声で答えた。

「意味がわからない‼ 玉手箱は夢の中で何でも願いを叶える箱じゃなかったのか⁉

 どうして婆やさんが消えたんだよ‼」

「俺が説明する……」

 そのアルトの肩にケレスは掴みかかったが、そう言いながら眉を顰めた高杉が近づいて来た。

「先生⁉ 何か知ってんのか‼」

 そんな高杉をケレスが見上げると高杉は玉手箱の秘話を話し始めた。

 玉手箱はアルト達の祖先、龍宮 ベラトリックスの所有物で何でも入れる事が出来、

そして出す事の出来る魔法の箱だった。

 そんな玉手箱を使いベラトリックスは荒野だった地に水を運んだり、

木々を出現させる等をし水鏡の国を建国していったのである。

 そうして水鏡の国は建国されたが、

ある時、大いなる災い、ヨルムンガンドの襲撃を受けたのだ。

 そして、激しい争いの中、ヨルムンガンドは水鏡の国全体に蛇の夢をかけ、

水鏡の国は蛇の夢に苦しみ、滅びかけた。

 そこでベラトリックスは蛇の夢を玉手箱に入れ、強固の力を持つ結びの組紐で封印したのである。

 だが、蛇の夢は決して消えた訳ではない。

 いずれ誰かが玉手箱を開ける事や、蛇の夢の力が溢れてくる事にベラトリックスは頭を抱えていた。

 そんな時だった。

 ベラトリックスの前に、救いの神子が空から舞い下りたのだ。

 そして、救いの神子はその浄化の力で蛇の夢を浄化し、玉手箱の中に夢の力が宿った。

 その夢の力というのがヨルムンガンドの力を享けない蛇の夢である。

 そう、ケレスが玉手箱の中で見た夢……。

 願えばその夢の中で何でも願いは叶うが、

決して覚める事のない夢の世界へ誘われてしまう力が玉手箱に宿ってしまったのだ。

「……俺が知ってるのは、こんな所だが、何か間違ってるか?」

「その通りです……」

 高杉が聞くと俯いているアルトは静かに答えた。

「ちょ、ちょっと待てよ⁉

 玉手箱が何でも入る箱で、蛇の夢も入れられて、夢の中で願いが叶うってのはわかった!

 けど、アルトの婆やさんは何処に消えたんだ⁉」

 そんな二人にケレスは声を荒げる。

「玉手箱の中だよ」

「何でだ⁉ 俺が玉手箱を開けても、俺は玉手箱の中に消えなかったじゃないか‼」

「……それは、結びの組紐を君達が握ってたからだ」

 ケレスと話しているアルトは俯いたままだった。

 そんなアルトは一度深呼吸してから結びの組紐の秘密を漏らす。

 その秘密にケレスの目は丸くなった。

「結びの組紐だって⁉ だって、それは読心術の為じゃなかったのか?」

「その為でもあったけど、君が玉手箱に入れられない為でもあったんだ。

 結びの組紐はこの地に留まらせる力を秘めた紐でね、彼の地から戻って来る為の秘具だったんだ」

 すると、アルトは虚ろな目をケレスに向ける。

「ちょ、ちょっと⁉ 何だそれ⁉ 何で、最初から言ってくれなかったんだ‼」

「言ったよ? 無事に帰る為のお守りだって……」

 そのアルトにケレスは動揺したがアルトから軽く首を左に傾けられてしまった。

「そんなのは、言ったとは言わないだろ‼」

 それからケレスが両肩を上げて怒鳴っても、

「だって、本当の事を言ったら君は玉手箱を開けなかっただろ? 怖がってさ……」

と、言ったアルトは平然としていた。

 そんなアルトにケレスはまだ文句を言い掛けたが、

「今、そんな下らん事を言ってる場合か‼」

と、高杉から怒鳴なれてしまう。

「先生ぇ……」

「すみません。高杉殿……」

 すると、ケレスは悲壮な顔を高杉に向け、アルトは頭を下げた。

 そのケレス達に高杉は深い溜息を漏らす。

「いいか! メイサ殿の意志を無駄にするな‼

 俺達はどんな事をしてもヨルムンガンドより先にあの馬鹿に会わんといけないんだ‼」

「でも先生。アルトの婆やさんは……」

「ケレス! 高杉殿の言う通りだ」

 それから高杉は声を荒げ、ケレスの眉は下がった。

 すると、そう怒鳴ったアルトの瞳には深い悲しみの色が宿っていたのである。

「アルト……」

 そんなアルトの瞳を見たケレスは胸が締め付けられ、それ以上何も言えなくなった。

「しかし、困りました……。

 この船は婆や達の力で動いていたのですが、どうやって剣の国まで行けば良いのか……」

「えっ⁉ それってマズイじゃん‼ どうすんだよ⁉」

 それでもアルトは平然としており、焦ったケレスが大声を出してしまうと、

「おい! いい加減に出て来い‼」

と、薄暗い空を睨んでいる高杉はその空に向け怒鳴ったのだ。

「せ、先生? 誰に言ってんだ?」

 すると、そう言ったケレスの前に意外なものが姿を現した。


 あわわっ⁉ メ、メイサちゃんがぁ……。

 あぁ……もう何かやる気なくなった。

 メイサちゃん、お気に入りのキャラだったのになぁ……。

 まあ、ケレス君はケレス君でがんばってくれたまへ。

 次話も結構スリリングな展開みたいだしね♪

 そんな次話のタイトルは、【ケレス、光よりの使者に従い、輝く花の下へ向かう】だ!

 と言う事は、あれが来てって事でぇ……。

 でも輝く花って何?

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