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№ 003 ケレス、夢の舞台に辿り着いて知る

 ケレスは夢だったイザヴェルに到着した。

 そこで行きたかった場所の一つに行く事となる。

 すると、そこでもケレスはまたトラブルに巻き込まれてしまう。

 だが、それはこれからのケレスの運命を変える出会いだった……。

 ケレスはイザヴェルの駅のホームに降り立った。

 やはり、王都イザヴェルは何もかもが凄い。

 イザヴェルの人、声、アナウンス等々、その全てが田舎暮らしのケレスには恐怖に感じた。

 そして、またジャップに付いて行く事しか出来ないケレスは足がふるえている事に気付いた。

「ちょっと待ってくれ!!」

 その足のふるえを隠す為、ケレスは止まってジャップに声を掛けた。

「どうした、ケレス? 忘れ物か?」

 足を止めたジャップは振り返ってくれた。

「そうじゃないんだけど……何か緊張しちゃって……」

「そっか、すまんな。まあ、そんなに緊張しなくてもいいじゃないか!

 これからお前はここで一人で生活するんだろ? すぐに慣れるさ!」

 苦笑するケレスにジャップは陽気に笑う。

 ここで一人で生活!? 無理無理!!

 ジャップのその笑顔はケレスの不安を煽っただけだった。

 ケレスの昨日までの自信はもうどこにもない。

「大丈夫、ケレス君! 何かあったら私達がいるよ。いつでも頼っていいから!

 こんな所で立ち止まらないで、夢を叶えてよ!」

 温かいラニーニャの目と言葉だった。

 ケレスはまた歩き出せそうになる。

「あっ、ケレス君!? ちょっと待って!!」

 が、即座にラニーニャから止められた。

 なので半歩だけ前に踏み出せたケレスは眉を顰める。

「何だよ姉ちゃん?」

「髪が大変な事になってるよ! 何とかしなきゃ!」

 ラニーニャはおろおろしていた。

 そう言えば、さっき兄貴が滅茶苦茶にしたんだった……

 ケレスはジャップを睨みながら髪を整えた。

 そして髪を整え終わったケレスはまた迷路の様な道を辿り、

ホームから改札口までの道をジャップに続き人を掻き分けながら進んだ。

 そうやってケレスは無事に開札口を抜ける事に成功した。

 だが、開札口を抜けても人が縦横無尽に行き交っており、

そこは店が数えきれない程連なっていて、駅を出るまでは程遠そうだった。

 うえぇ……まだ、駅を出るまでにどれだけ時間がかかるんだ?

 舌を出したケレスは早く駅の外に出たかったので、ジャップの背だけを見て進み、

やっとの思いで駅の外に出る事が出来た。

「うーん! やっと、ここまで来た!! やっぱ、王都は凄いな!!」

 人や車が行き交うビルが多く立ち並ぶ一角で体を伸ばすケレス。

「さっきまでのお前はどこに行ったんだか……まあ、元気になってよかったがな!」

 そのケレスの左肩にジャップはポンッと右手を置き、

「さて、悪いが、俺はここまでだ。後は頼んだ。姉貴!」

と、言い残しジャップはケレスの前から去ってしまった。

 ああ……そうか。兄貴は、王宮に行くんだっけ……

 名残り惜しみながらケレスがジャップの背を見送っていると、

ジャップの姿は人込みの中に消えてしまった。

 そして、これからどうするのか相談しようとケレスがミューを見ると、

ミューは俯いたまま何か深刻な顔をしていた。

「ミュー、大丈夫か!? 顔色が悪いぞ? どこかで休むか?」

「大丈夫! それより、何処に行こっか?」

 ケレスは心配したがミューはクリオネを抱いたまま顔を上げて笑った。

「俺、アカデミーに行きたい!」

 空元気にも見えたがミューの推しに負けたケレスが一番行きたかった所をリクエストすると、

「そう言うと思った! じゃあ、お姉ちゃん、お願いね!」

と、言ったミューがラニーニャを見るとラニーニャは頷いたのでこれから行く場所は決まった。

 アカデミーは数ある交通手段の中でバスを使って向かう様だった。

 まずは数階建てのバスターミナルに入ったが、

ここでもケレスはラニーニャに着いて行くだけで精一杯だった。

 そして、アカデミー行きのバスが停留するバス停で待つ事となった。

「姉ちゃんもどうしてスムーズに進めるんだ? まさか、全部ルートが頭に入ってんのか!?」

「そんな訳ないよ。行くところを決めてるだけ! ケレス君も全部覚える必要なんてないから。

 まずは自分の必要なルートだけを覚えてね」

 その待ち時間で聞いたケレスにラニーニャから意外な答えが返ってきた。

「そんなもんでいいのか!?」

 ケレスは都会で生活するコツを一つ学んだ気がした。

 それからケレス達はバスに乗り、アカデミーまでの一五分間比較的に空いていたバスの席に座った。

 そのバスの中で、ケレスはビルや車が写る車窓を眺めながら過ごした。

 そして車窓の景色が変わり、都会にしては自然が多くなり制服姿の人が目立つ様になると、

「ケレス君、もうすぐ降りるから準備してね」

と、ラニーニャに言われた。

 うわっ!? もう着くんだ!!

 ケレスの心の準備が出来ないままバスは止まってしまい、降りる事となった。

 バスを降りるとバス停付近はまるで一つのアート作品の様に色鮮やかに装飾されており、

ニョルズでは絶対にお目見え出来ない造りだった。

 そのアート作品の中を歩いて行くと、今度は対照的な歴史を感じさせる古めかしい大きな門が現れ、

制服姿で楽しそうにいる人が多くなった。

「スゲエッ!! ここがアカデミー!!」

 ケレスが目を輝かせているとラニーニャはその様子を幸せそうに見ていた。

「ねえ、お姉ちゃん。何であの人たちの制服って、ちょっと違うの?」

「本当だ!? ネクタイの色や形、それに、ズボンの人もいればスカートの人もいる?」

 ミューの一言で制服姿の人をまじまじと見ながら言ったケレスの声は大きくなった。

「アカデミーでは上はブレザーで共通なんだけど、下はズボンかスカートを択べるの。

 そして、ネクタイの色で学科が、形で学年が分かる様になってるんだ」

 説明するラニーニャ。

 さすがに詳しかった。

「じゃあ、ケレスがいく学科はどんなやつなの?」

「ケレス君はねぇ……あっ! あの若草色のネクタイを付けた三年生の学生さんのと同じだよ」

 興味津々なミューの言葉にラニーニャはある学生を見た。

 その学生はライトグレーのブレザーに着いている金色の釦をきちんと二つとも掛けており、

ブレザーの内側からは真っ白のワイシャツがピシッと光って見えた。

 そして、首元には若草色のネクタイが締められ、

そのネクタイには銀色のタイピンが付けられていた。

 さらに下はブレザーと同じ色のズボンスタイルで、茶色のローファーを穿いていた。

「あれか! でも、何で三年生ってわかるんだ?」

 今度は興味津々なケレスが聞く。

「さっきも言ったけど、ネクタイの色で学科は異なってね。

 ケレス君がいく学科は特殊能力部、時読み科になるから、あの色なんだ。

 ちなみに特殊能力部は紫色から緑色のネクタイを付けるんだよ。

 えっと、それでね、アカデミーでは一年生と二年生は釦でとめるタイプのネクタイをして、

二年生はネクタイに白いラインが入るの。

 そして三年生以降になると締めるタイプのネクタイに変わって、

タイピンの色で何年生かが分かるんだ」

 また詳しく説明するラニーニャ。

「お姉ちゃんのは何色だったの?」

「私のはね……うーんっと、近くに同じ色のはないな。私は藍色のネクタイだったよ」

 そんなラニーニャにミューは興味津々な目を向けたがラニーニャは少し残念そうにした。

 俺も、あれを着るんだ!!

 この場の雰囲気とラニーニャの説明でケレスには自分がアカデミーの制服を着ている未来が見えた。

「絶対、ケレスなら似合う!!」

「そ、そっか? 何課照れるな……」

 そのケレスの心が見えたかの様にミューは嬉しそうにし、ラニーニャも微笑みながら頷いた。

 そんな二人にケレスは頭をかいいてしまった。

 すると、

「そんな事は、まず受かってから言うんだね」

と、冷たく、馬鹿にする様な声がした。

 その声の方を見るとケレスと同じくらいの身長で色白のベージュ肌の青年が立っていた。

 その青年は青色のくせっ毛が腰下まで伸び、その髪は光が当たっている所は透き通って見え、

当たっていない所は彼の瞳と、先程の言い方の様な冷たい色をしていた。

 そして、彼はアカデミーの制服を着ており、結ぶタイプのネクタイの色は藍色だった。

 さらにタイピンは金色で何かの美しい装飾がされていた。

「あっ!? あれって、お姉ちゃんのと同じだ!」

 ミューがその青年のネクタイの色に気付く。

「僕と同じ? 君が? 君みたいな何も出来そうにない奴なんて、見た事ないけど?」

 その青年はラニーニャを横目で見て、ふっと笑った。

「お姉ちゃんは治癒術に優れていて、アカデミーにいってたんだから!!

 あなたなんかより、ずぅーーっと凄いんだから!!」

「ミューちゃん!? 私は大分前に辞めてるし、彼は院生だよ! 

凄く頭が良くて才能がないといけないんだ!! 私なんかと一緒にしちゃ駄目だよ!!」

 眉を顰めたミューは透かさず反論したが慌ててラニーニャがミューを宥めた。

「辞めた!? 卒業すら出来なかったんだ。ダサいね」

 それでもまだその青年はラニーニャを馬鹿にする事をやめなかった。

 さらに、

「君さぁ……友達の前で恥を掻きたくないからって言って、嘘つくなよ。色々と調べても、無駄さ。

 正直に除籍になったって認めなよ」

と、その青年は続けたので、その行為はケレス達を怒らせた。

「何なんだ!! お前、姉ちゃんを馬鹿にするな!!」

 頭に血が登っているケレスはこの場が騒然とする程、怒鳴り、

「あなた、失礼よ!! 院生か何だかしらないけど、お姉ちゃんに謝りなさい!!」

と、同じ状態のミューも怒鳴った。

「何で謝らないといけないのかい? 僕は思った事を言っただけ。それに図星だろ?」

 その青年は謝るどころか、まだラニーニャを馬鹿にする事をやめない。

 ケレスは、さらに頭に血が登っていくのがわかった。

 自分が侮辱されるよりムカついたのだ。

「ふふ、んふふふ!」

 その時、ラニーニャが急に失笑した。

「ね、姉ちゃん!? どうしたんだ?」

 一気に気が抜けたケレスの顔は鳩が豆鉄砲を食った顔になった。

「だって、ケレス君達の気持が嬉しくって。つい……」

 ラニーニャは一粒の涙を拭いながら笑った。

「姉ちゃん……何だよそれ……」

「もう、お姉ちゃんたら! お姉ちゃんの為に怒ったんだよ?」

 ケレスとミューの怒りは何故か静まっていく。

 それからミューが笑い出し、ケレスも何だかおかしくなって笑ってしまった。

 そしてクリオネも楽しそうに飛び跳ね、

その上にしがみついていた たぬてぃは落ちない様に口を真一文字に結んでいた。

「な、何なんだ!? 急に笑い出して?」

 その青年が困惑すると、

「こら!! そこのあなた達!! 何してんの!!」

と、今度は若い女の注意する声がして、

「サキ!」

と、言ったラニーニャはその声の主に笑い掛けた。

 サキと呼ばれた女は歳は二十代半ば、身長はラニーニャより少し低め、

薄桃色の髪は耳下までのショートヘアー、ベージュ色の肌に、

膝上十センチメートルのスカートは軍服の上着と同じ深みのある赤色だった。

 そして、膝までの黒色のブーツがバッチリ決まっており、

黒淵眼鏡から凛々しい緑色の瞳がケレス達を睨んでいた。

 さらに軍服の左上腕部には如何にも豪華な金色のふさふさした腕章を付け、

その腕章には宝珠の国の守り神である番犬のシルエットが黒色で刺繍されていた。

 その腕章を何処かで見た事がある気がしたケレスは思い出そうとしていた。

「ここで喧嘩はやめなさい!! さもないと、アカデミーに報告します!!」

 サキはその青年の方だけを睨みつける。

「ど、どうして僕だけなんですか? あの人達だって……」

「彼女は私の大親友です。その彼女が何かしましたか?」

 困惑しているその青年の言い分を全く聞こうとしないサキはもう一度睨みつけた。

「そんなの、ありなんですか?」

 すると、サキの睨みからその青年は逃げる様にこの場を去って行った。

 そして、サキは睨む相手をラニーニャに変える。

「こおら!! ラニーニャ!! 私がいなかったら、どうするつもりだったの!?

 あなたはすぅーーぐに変な輩に関わるんだから!! 気を付けなさいってあれ程、言ってんのに!!

 ねえ~え、たぬてぃ?」

 いきなり怒鳴ったサキは満面の笑みで たぬてぃを抱き寄せた。

 そのサキの腕の中で たぬてぃは無表情となる。

 ……嫌がってる?とケレスは思った。

「サキ、ありがとう!」

  くすっと笑ったラニーニャが微笑むと、サキは満足そうな顔をした。

 何だ? この人は姉ちゃんの知り合いか?

 ケレスは唖然となる。

「あっ! あなたが、ケレス君で、あなたが、ミューちゃんね!」

 すると、会った事もないし名のってもないのにサキは、ケレス達の名前を言い当てたのだ。

「何で俺達の名前を知ってるんですか?」

「だって、ねえ?」

 目が丸くなったケレスの前でサキはにっこりと笑ってラニーニャに目を移した。

「ほら! 私を紹介しなって!」

 と、ラニーニャに軽く肘打ちをする。

「えっと、ケレス君。ミューちゃん。紹介するね。友達の……」

「んっんっ!」

 が、ラニーニャの言葉を遮る様に頬を膨らませたサキは咳ばらいをした。

 何が気に入らなかったのだろう?とケレスは思っていた。

「あっ! ごめん。大親友のサキです」

 そして、そう言い直したラニーニャは頬を赤くし、サキは満足そうな顔で大きく頷いた。

「御紹介にありました、ラニーニャの大親友の、サキ・トログスミールです。

 ラニーニャとはアカデミーで同じ学科で勉学を共にしてきましたが、

今は軍の治癒部隊に所属しております!」

 サキは敬礼しながら自己紹介をした。

 そうか! あれは軍の腕章だ!

 ケレスはそれ思い出した。

「あの、トログスミールさん。その腕章って軍のですか?」

 だが、ケレスが知っているそれとはどこか違うので聞いてみた。

「サキでいいよ。弟君。あなた軍に興味あるの? やっぱりお兄さんみたいに軍人になるのかな?」

「お、弟君ですか?」

 口を窄めてにっこり笑っているサキにケレスは動揺した。

 弟君なんて呼ばれた事がない!?

「ケレス君。サキはね、一度決めた事は曲げないから。そう呼ばせてあげてね」

 そこに自身の右肩を たぬてぃの顎枕にされているラニーニャが忠告する。

 大分変わった人だ……と、ケレスは少し呆れてしまった。

「あの、サキさん。俺は軍に興味はないんですけど、その腕章って、普通のと違いますよね?」

「よくぞ聞いてくれました!! これは特権階級の証なのだよ!!」

 気を取り直したケレスの前でサキは鼻高々に自慢してきた。

「特権階級の証?」

「つまり、サキはエリートなんだ。アカデミーでも学科、実技ともに一番で、

それを評価され軍に入隊してさらに、そこでも評価された証があの腕章なんだ!」

 首を傾げたケレスに説明をしてくれたラニーニャをサキは満足そうに見つめていた。

「へぇ、変な人だけど、凄い人なんだ!」

 サキにケレスが感心していると、コツンッとサキの拳がケレスの頭に当たる。

「こらっ! 弟君? 一言多いぞ!」

 そのサキの目じりが上がったので、ケレスは謝った。

「さてさて。私はそろそろ行くね。でも、龍宮のお坊ちゃんにも困ったもんだわ。

 噂通り性格悪すぎ!! 絶対に友達、〇だな!!」

 そして、サキは溜息混じりに話した。

「龍宮のお坊ちゃん?」

「あの青色の長い髪の男の事よ。水鏡の国の名家、龍宮家の長男。名前は、龍宮 アルト。

 今はアカデミーの治癒科の院生で、成績は誰も付いていけない程良いんだけど……。

 性格に難ありって言われててね。治癒術だって、人にはしないし……。

 本当、関わらない方が身の為よ?」

 小突かれた部分を押さえているケレスにサキは先程の青年の説明をした。

「あっ!? こんな時間!! じゃあ、たぬてぃ、ラニーニャ、またね!」

 が、タタッと足早に去って行った。

 そのサキをラニーニャは笑顔で見送っていた。

 変な人だったけど、とても好い人だ! 俺にもああいう親友が出来るといいな!

 ケレスは親友二人を温かい気持ちで見守っていた。

 それからケレス達はアカデミー見学をスタートさせた。

 と言っても、軽くアカデミー内を見る事しか叶わなかった。

ー●

「ねえ、次は何処に行く?」

「俺、姉ちゃんの職場を見たい!」

 アカデミー見学を終えミューに聞かれたケレスはリクエストした。

「えっ? 私の職場!? そんな所見ても、おもしろくないと思うけど?」

 すると、ラニーニャから断られた。

 しかも、その後も中々良い返事はもらえなかった。

「お姉ちゃん。お願い。ケレスの言う通りにして!」

 が、ミューにかなり甘いラニーニャはミューの潤んだ瞳で即了承した。

 こうやって次に行く場所は決まったのである。

 そういう事でラニーニャの案内でバスに乗った後、地下列車に乗る事になり、

またケレスがラニーニャに連れられ初めて乗る地下列車はその名の通り、地下にあった。

 地下に敷き詰められた線路はイザヴェル中に拡がっていて、それを利用する人は勿論多く、

その人達を掻き分けながらケレスは改札口を抜け、地上よりかは楽に乗り場まで来る事が出来た。

 そして、ある地下列車に乗り、三十分程で目的の駅に着く様だった。

 その地下列車の中でケレスが地下列車の、当たり前だが何もない車窓の景色を見ていると、

退屈になった。

 するとケレスは、ふと地下列車内に貼られている路面図に目がいく。

 あの路面図って……と、ある事が気になった。

「姉ちゃん、地下列車って秘密基地みたいだな!」

「そうだよ。景観の為もあるけど、有事の時はそう言う事に使われるんだって」

 ふざけたケレスに普通の顔をしたラニーニャから少し怖い言葉が返ってきた。

 えっ!? 有事って何だ? てか、姉ちゃん、よく平気で言うな!!

 なのでケレスは引いてしまった。

「ケレス君。次の駅で降りるよ」

 そんなケレスはラニーニャに連れられ次の駅で降りた。

 そして、地下から地上に上がるとそこはケレスが想像していたのとは違い、

何と言うか、人も建物も少ない静かな所だった。

「イザヴェルにもこんな静かな所があるんだ」

「ここはイザヴェルでも端の方だからね。先生がこういう静かな所が好きなんだって」

 その場の感想を述べたケレスがラニーニャを見ると教えられた。

 ちなみに先生とはラニーニャの職場のボスで、

ラニーニャはそこで先生とやらと二人だけで仕事をしている。

「そう言えば姉ちゃんの先生って、どんな人?」

 ふとケレスは気になった事を聞いてみた。

「うーん……一言で言えば、寡黙な人かな?」

 口に右手の人差し指を当てたラニーニャは少し上を向いて答えた。

 ええっ!? 寡黙だって? どんな人だ? 暗いのか? それとも……!?

 何にせよ、よく姉ちゃんはそんな人と一緒に仕事が出来るな……。

 ケレスはラニーニャの職場見学をリクエストした事を少し後悔した。

 それから一〇分程歩いた。

 すると二階建ての一軒家が見えたがその他に建物が見当たらなかったので

そこが目的地であると思った。

 ケレス君、夢だった場所はどうかな?

 はっ!?

 ジャップが一緒じゃないから、つまらないとな!?

 何と、子供っぽい事を言うんだい?

 でも、そんなに焦らなくともジャップとはすぐに再会出来るよん! 

 この世界の秘密の一つと引き換えにだけどね……。

 さて、そんな世界の次の話のタイトルは、【ケレス、妹の秘密を知る】だ。

 ケレス君ったら!?

 そんな生活になっちゃうのね……。

※この作品は無断転載禁止でございます♪

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