某王太子の決意
「ロバート殿下、リリアナ嬢がまた!!」
騎士がそう言いながら慌てて駆け寄ってきた。いつものことだ。リリィの王妃教育が始まってから癇癪を起こすことが増え、手がつけられずこうして王太子の僕が呼ばれるようになった。
「またか。ご苦労。今から向かう」
ため息を飲み込み、リリィがいる部屋へと足を進める。
あの婚約破棄から一年が経つ。すぐにリリィと結婚できると思ったのだが王妃教育が思うように進まずまだ結婚できていない。
「リリィ。いるかい?私だ。入るよ」
リリィがいる部屋の扉をノックして入れば涙を溜めてプルプルと震えてへたりこんでいるリリィがいる。
「ロバートさまぁ。私一生懸命やってるんですがこの人がきつい事言うんです」
近くには頭を下げた教育係の人が控えていた。
これで何度目だろうか?数えるのも馬鹿らしくなるいつものやり取りをいつものように口にする。
「リリィ。リリィは国母になるだよ?僕の為に頑張っておくれ」
そっと抱き寄せれば頬を染めしなだれかかってくる。それを一旦受け止め額にキスをする。
「僕はまた執務があるから寂しいけど行くね」
また、頬にキスを落とし部屋を後にする。
扉の両脇に控えている護衛に労いの言葉を残して執務室に向かった。
学生の頃はあの寄りかかってくる姿に全信頼を寄せられているようで嬉しかったのだが今は疎ましく思ってしまう。
長い間、隣にいた元婚約者を信じず一時の感情に溺れてしまった僕は王太子として失格だっただろう。失ってから気づいても遅いのだ。
国王に即位した暁には、もう間違わない。




