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74話 後日談

ヒューズ王国定例枢議会の後日談。


まず――

ヒューズナセル領主ルシェナは、夫の死後に子爵へと降格されていたが、このたび正式に復格。

侯爵、すなわち辺境伯の位へと戻された。


『刃の錆びた飛び地』と揶揄されていた辺境が、海賊撃退に加え、魔神討伐という大功を挙げた。

その報は、軍事国家を称する王国全土にとって、久々に明るい話題となった。


海賊スカッド一味は極刑。

――おそらくは、ルドリックの隠れ蓑として利用されたまま、口を閉ざされたのだろう。


一方で、御神木に細工を施し魔神を呼び起こしたのは宰相ヴァルトである、との告発があった。

ルドリックの息のかかった神官によるものだ。


だが証拠は乏しく、逆に神官のほうが厳しく詰問される結果となった。

疑念だけが議場に残り、真相は闇の中へと沈んだ。


魔神が遺した言葉――

『・・・この地を荒らしておるのはウヌらであろうが』


それは、魔法肥料によって土壌が汚染されていた農地を指すのではないか、との解釈が広がった。


王国の農政は大きく揺れる。

有機農法では生産量が足りず、王国全体の食糧を賄えない。

だが一方で、有機農法のみで十分な収穫を得ている村も存在する――農業省はその統計を握っていた。


議論は紛糾し、結論は各省議会へ持ち越しとなる。


そして軍事が張り子のトラ状態だった件。

自分たちは強いと思っていた戦力が魔神に一掃されたのだ。

対人戦の装備、訓練が対魔神戦には全く歯が立たなかった事。


上層部への軍事演習披露会の為の演出も仇となっていた。


表向き派手な魔法なだけであって、火力が伴っていない。騎士の剣技も然り。そして装備の脆さ。

そんなことはないと言い張る軍事省内局長官、議会はあわや一触即発の雰囲気となった。


ルドリックは今回、遊ばせていたスカッド一味も失い、

さらに自身の派閥であった騎士団、魔導部隊の半数以上を失った。

失脚こそ免れたが、発言力は明らかに弱まった。


対して宰相ヴァルトは、政治的影響力をさらに強め、貴族院も取り込まれ行くことになる。

穏健派である王の思惑とは裏腹に、王国はより軍事へ傾いた方向へと、静かに舵を切りつつあった。


ルシェナ含め、俺たちは彼らに取り込まれる事態はなんとか防げたと思うが・・・


――いずれにせよ、泥を泥で拭う権力争い。ヒューズ王国の未来が、そう明るいものとは思えなかった。


結果的には、ルシェナには何事もなく終わった。

魔神の出現のせいなのか、それを倒した騎士がいるからなのかは分からないが

とにかくそれどころではなくなったのだろう。


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