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65話 交渉決裂

騎馬隊が魔神に対峙していた。後ろに弓馬兵、対魔物用の陣形を整えていた。


騎士団長が魔神に問いかけた。


「魔神とお見受けする。この地に何用か!」

『……我はウヌらなんぞに用はないが。ウヌらこそ何用じゃ』


予想とは裏腹に、魔神は何とも返しようのない言葉を発した。


「この土地を荒らさんとするものは、排除せねばならない」

『……この地を荒らしておるのは、ウヌらであろうが』


ゴゥッ!!紫の炎が一回り大きくなった。


「くっ!この地から引かぬと申すか!」


『相変わらず傲慢な奴らじゃのう。そも、ウヌらの地ではない』

騎士団長は、ゆっくりと剣に手をかけた。


「私は騎士団長ルディオ・ハイゼル。どうかこの地よりお引き取りいただきたい」

『何度も言わすな、ウヌらの地ではない。ウヌらが去れ』


盾の騎士団が前方に、魔導部隊も後方に到着した。すでにすさまじい量の魔法陣が展開されている。


「もういい!交渉決裂だ。団長!覚悟を決めろ!」


かみ合わない会話に副団長がしびれを切らし、口を開いた。


「くッ!盾!――構え!!」

盾の騎士団が盾を構え、槍を前に突き出した。


『理も謝もないまま、剣を振るうか……』


「突撃ぃいいいい!」


-----------


「はぁ……はぁ……やっと街から出られた!むだに広すぎんだよこの街……」


ここから戦闘が見えた。視界の先で戦火が上がる。

おそらく御神木があったであろうはずの場所だ。


以前戦った個体とは比べものにならない巨躯の魔神が、騎士団を蹴散らしていた。

近接の騎士たちは、子供が放り投げたおもちゃの人形のように地に転がっている。


バババババッ!

後方から無数の銃弾が放たれる。

続けざまに、魔導部隊の魔法陣が閃光を放った。


炎、氷、雷撃――色とりどりの魔法が奔流となって魔神へ殺到する。

……めっちゃかっこいいじゃん!花火大会のフィナーレだな。


轟音が重なり、土煙が舞い上がる。


しかし、銃弾は当ってはいるが、跳ね返っているのか効いてないのか、魔神はピンピンしている。

魔法は紫の炎に触れた瞬間、音もなく掻き消えた。


「き、効いておらぬぞ! 次弾用意!」

「あれだけの魔法を炎だけで?」


『・・・・・弱すぎる。大地を食らいつくして、この程度か』


低く響く声が、戦場を凍らせた。

魔神が前脚を踏み込んだ!次の瞬間、銃兵の列に影が落ちていた。


ボァアアアアアアッ!!!ガァアアアアアッ!


銃兵が紫の炎で燃やし尽くされた。残るは、魔導部隊のみ。

「うゎぁああっ!」


魔神は、弓馬隊の背後に陣取る魔導部隊へ、悠然と歩み寄った。

次の瞬間、横薙ぎの一撃。


バババキッ!ゴッ!ドスッ!

魔法陣ごと、陣形が吹き飛んだ。


「ぎゃぁああああっ」

ヒューズ防衛部隊は物理的に全滅した。



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