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63話 エンシエントシアトレ

ガチャッ!


「ピーターさん!おはようございます。お着替えくださいませ」

「ふぁ?」


目を覚ますと、カティアが勝手に俺の部屋に入ってきて、勝手に窓を開けた。さ、さむっ!


「ぉ・・ぉはよぅござぃます・・・・」

「今日からルシェナ様の護衛なんですから、しっかりなさってください!」


メイド姿で腰に手を当てて仁王立ちしていた。

「ふ、ふぁい」


俺はよたよたと、制服に着替える。

顔も体もギンギンに若返っているが、精神が老人に方足突っ込んだおっさんなので、

今まで沁みついている行動がなんとも若々しくない。


「もぅ・・身なりもしっかりしてください!」


カティアが俺の服装を正し、髪の毛をちゃっちゃと整髪してくれた。


「あ、ありがとうございます」

「では、ルシェナ様と食堂のほうへ」


彼女がルシェナの部屋をノックした。


「カティアです。ピーターさんを起こしてまいりました」

「どうぞ入って」


部屋に入る。うおっまぶしっ!


「どう?」

「おおおお!すごく・・・かわいいです」


ルシェナがめっちゃ若作りしてる!言い方悪いな。すっごく若くなってる!!


「ありがとっ!カティアのお化粧魔法よ」

「え?」


化粧にも魔法があるのか?


「ルシェナ様、魔法ではございません。わたくしのこの腕でございます」

「フフフッ!そうね!すごいわカティア!」


とても3人の子供を産んだ御婦人とは思えない変身っぷりだ。

まさに魔法だな!女すげぇ!


「変装ついでに私もハルミチさんみたいに若く見られたくなったの!じゃぁいきましょ!」


食堂に来ると、皆一足先に朝食を食べていた。


「おはようござ・・オオオッ!ルシェナさま!お美しい!」

パチパチパチパチパチパチ

ホンモノの護衛さんたちにも若作りルシェナは大好評のようだ。


「ピーター!まかせたぞ!3日間専属護衛とはなんとうらやましい!」

「私をちゃんと守ってね」


聞いたことのあるセリフ。

カナハは大物の魚を追ってこの寒い海で遠洋漁業とかしてないだろうな・・


朝食を終えてさっそく街に出た。

統一された石造建築。統一されたダークグリーンの屋根の色。 看板は木製で色も抑えられている。


「さぁ!心気臭い街だけど散策しましょう」

「そうですね。パッとしない街ですが、ふかした芋くらいはあります」

「そうね。固くて黒いパンもあるわよ」


「ボロクソですね」


確かに、ヒューズナセルのカラッとした雰囲気で、小さいのに何でも揃っているあの街に比べると

この街は広くて人間もたくさんいるのに、行き交う人々にあまり笑顔もなく空気も重い。


ふかした芋も小さく割高?八百屋に並ぶ野菜も小ぶりで数も少ない。単純に寒いからか?

酒を売る露店が多い。テキーラのショットのように一口飲むタイプだ。1杯30オルム。


「アレは蒸留酒よ。寒さをあれで紛らわせるの。強いだけの味のしないお酒」

「結構みんな飲んでますね」

一言でいうとこの街は「疲れた街」だ。


「娯楽とかないんですか?」

「そうね。寒いところだから大衆浴場とか、闘技場とか、魔法コンテストとか」


「魔法コンテスト!」

「この国の軍隊は魔法が強いの。その軍人の卵を見つけたり面白い魔法を披露したりする所よ」

そういえばこの世界に来て、レネイのゴーレムと鍛冶師のボルクさんの火魔法しか見たことない。


「でもスカッドの一味に魔法使いいませんでしたよね」

「使ったらこの国の軍隊ってバレちゃうじゃない。それに魔導部隊はお金のかかる特殊部隊よ」


「ハルミチさん見てみますか?魔法コンテスト」

「見てみたいですね」

「じゃ、いきましょ!」


俺たちは魔法コンテストを見に行くことになった。


≪エンシエントシアトレ≫

割と大きめの石造りの扇状の会場、先端にステージがある。

お客はまばら。ステージに司会者がいて、魔法使いが魔法の披露をしている。日によって演劇も開催されているらしい。


「おお!青い炎!すごいな」

「高温の魔法に見えますけど、実は薬を混ぜて青く見せてるだけだったりします」

「なるほど」


カティアが解説してくれる。このほかに帽子から鳩を出したり、引いたカードの数を当てたり・・

これ手品やん!


「今日はハズレのようね。どうするまだ見る?」


『そこの男性と女性二人組の御仁!あなたたちも参加してみませんか?』

「え?私達?」

カティアが聞き返した。


『そう!今日はハズレばっかりって聞こえましたよ!』


結構後ろで見てたはずだが、あの地獄耳の司会者何者だ?とか思っていると

ルシェナが突然立ち上がり俺をつかんだ。


「いいわ!私の護衛が出てあげる。みんな腰を抜かすわよ!」

「ちょ!ルシェナ様!目立っちゃダメなんじゃ・・」

「いいじゃない!退屈しのぎに一発ドンと披露してあげて!」

俺はステージに立たされた。


『さぁ御仁!お名前は』

「ピーターファンデンホーヘンです」

「ではピーターファンデンホーヘンさん!お願いします!」


すごい!この人俺のややこしい名前を一発で覚えた。

よし!派手なの一発ね!目立っても知らんぞ!


「プロミネンス!」

ゴゥッ!


俺は直径10メートルほどの火の玉を空から振ってくるように出現させた。


プロミネンスといってもただの火の玉だ。

中の球は木とか、なんか適当な燃焼物。その玉はステージ上にゆっくり落ちてきている。


「おおおおおおおお!」

会場がざわつく。


『炎の塊が出た!プロミネンス!なんとエモーショナルな呪文だ!』


やかましい!この司会者絶対馬鹿にしてるだろ。


「村雲!蒼炎!」

ブンッ!

大太刀を両手に二本出現させたと同時に、刀身に本物の青い炎をまとわせた。


「普通の十文字切り!マグナ!」


太陽を十字に切り裂き、そのまま白い炎で爆発させた!火を火で斬った

ビキィイイッバチバチバチ!

「うわぁあああああ!」


周りに火花が飛び散っている!マグナは余計だった!


「やばい!アクア!だめだ!絶対零度!」


バシューーー!パキパキパキッ!

氷で散らばる火の玉を冷やして落とした。


ガシャンッ!・・パリッパリパリッ


氷の破片がステージに落ちた。


「・・・・・」

あれ。会場がしんとしている。危なかったから怒られるのか?


「うおぉおおおおおおおおおお!」

『すごい!すごいぞピーターファンデンホーヘン!圧倒的本日のベストパフォーマンスだぁああ!』


俺たちはベストパフォーマンス賞のメダルをもらった。鉄で量産してそうなちゃちいメダルだ。

軍の勧誘やらあやしい事務所やらスカウトらしき奴らが俺たちに向かってきている。


「フフフッ!にげるわよ!」

「は、はい」

「アハハ!ピーターさんすごい!」


カティアが喜んでいる。かわいい。

俺たちは会場から走って逃げ出した。


挿絵(By みてみん)



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