62話 首都アウレグリフ
「すごい!こんなに早く着くなんて、こんなの初めてですねルシェナ様!」
「そうね。あなた、いつになくハイテンションね」
「失礼しましたルシェナ様」
「いえいいわ。私も寒い思いしなくてよかったからごきげんよ」
ルシェナとメイドのカティアの機嫌がいい。
通常8日で着く予定だが7日で着いた。いつもはいろいろあって1日2日はずれ込むそうだ。
今回も2日はずれ込む予定で組んでいた。
「つまり会議まで3日もあるんですか・・」
「早く着いたら着いたで考え物ね・・・冷めた街だけれどもゆっくりしましょう」
「お城へ行かなくていいんですか?」
「いいわ。あんなところできるだけ居たくないもの」
ヒューズ王国。古くからある北方の雪に覆われた大陸の軍事国家。
大陸の端に位置するため他国との交流はあまり盛んではない。
侵略者が及びにくい寒冷地である。
首都『アウレグリフ』
山の麓に堅牢な城がそびえ、そこから扇形になだらかに広がる平地には高い建物が立ち並び、同じような建物、街の看板は景観を乱さない様、質素なものと制限されている。
街のはずれから広大な農地が広がり、小麦、大麦、芋などが栽培されている。
「ルシェナ様、宿にご案内いたします」
本来は城敷地内にレマールの家があるのだが、そこには息子夫婦が住んでおり、ルシェナが到着したことがバレてしまうため、敢えて会議の日ギリギリまで城下町の宿に泊まることになった。
「みんな、長い旅路お疲れ様でした。明日から3日間休暇よ。退屈な街だけれどもゆっくりして頂戴」
「は、ありがとうございます!」
「というわけでピーター!あなたは休みなしよ。明日から私の警護をして頂戴」
「え?」
俺とメイドのカティアはルシェナのお付きとして休みなしだ。
カティアが意味ありげに俺に微笑んだ。
バシィッ!
「痛った!」
「頼むぞピーター!」
ホンモノの護衛さんからすごい力で背中をたたかれた。
いろいろな感情がこもっているたたき方だった。
明日から警護としてのアレコレを知らない俺がルシェナの護衛につく。




