58話 ルドリック・エーゼル
《封印が一つ、解かれている……》
ヒューズ王国首都アウレグリフ某所。
冷えた重厚な石室。 海図と星図が重なり合う壁面。
「スカッドの艦隊が全滅しました。ヒューズナセル内に収監されているとのことです」
「全滅だと?」
低く、静かな声。
「奴にはそれなりの艦隊を渡していたはずだ」
「……申し訳ございません。彼を甘やかしすぎました」
「よい。お前の責ではない。調子に乗って遊び過ぎだあの愚か者めが。だが……あの港町に奴の艦隊を殲滅できる力はなかったはずだが」
「はい。現在、確認のため審問官を向かわせております」
暖炉の炎が揺れる。
「……ルシェナを見誤ったか。あの女には黙して我が国の金贄として絞られ続けてもらえばよかったものを」
「ルドリック様の側室の件も断りましたね。馬鹿な女です」
「おいおい、蔑むのはよさぬか。私はまだあの女と港を諦めておらぬ。スカッドを退けるとはなかなかやりよる。美味しそうに熟しているではないか。あの女はまだ産める。私の側室になればあの女の息子の身分も安泰になるだろうに」
「中央騎士団のレオナルトですね。父親似の一本気な男です。学者の娘もおります」
「まぁよい。スカッドの言い訳を聴こうではないか。いずれまたルシェナもこの国に来よう」
「次の定例枢議会は54日後です。出来るだけの情報を集めておきます」
「たのむ」
審問官一行がヒューズナセルに向けてスカッド一味を引き取りに向かった。




