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56話 つまずき

あれから一か月ほど経っただろうか。

海辺の町はすっかり冬に染まり、吹き抜ける風が骨身まで冷やす季節になった。


これまで割とちゃっちゃと物を創造してきたが、今回はいろいろとつまずいている。


最初は、火薬を使わず圧縮空気で徹甲弾を飛ばす方法。

――これはまったく飛距離が出なかった。


次に試したのは、空気を限界まで冷やして使う方法だった。

冷えた空気は重い。うまく使えば威力が上がるはずだ。


……理屈では。


実際に撃ってみると、すぐに問題が出た。


「あれ、動かない」


砲口が凍りついていた。空気中の水分が一瞬で氷になる。

数発撃つたびに氷を溶かさないといけない。


さらに、冷却状態を維持するために砲弾の弾薬倉を二重構造にしてみた。

……結果。弾がやたら重くなった。


しかも数分もすると、もう冷えていない。おまけに弾倉の中は霜だらけだ。

装填機構まで凍りつきかけている。


結局俺は何がしたいかというと、『火薬を使わない』方式で弾を飛ばしたかったのだが――


「……結局、普通の火薬式砲弾に戻ってしまった」


まぁ、俺のイメージ不足だ。

コストを無視できるのをいいことに、ロマンを詰め込みすぎた。


自分の創造コストが増えるばかりで、量産には向かない。素材の基礎知識もない。

できるものならば、『火薬』や『爆発』の技術を使わずに、前世の技術を凌駕したいのだ。


だがこれは警備隊が運用する装備だ。尖りすぎたオーパーツはよろしくない。

あれだけルシェナに大見得を切ったのに、結局わりと普通の兵装に落ち着いてしまった。

……とはいえ、この世界には存在しない武装であることは確かだ。


砲身にはマズルブレーキのような機構を備えた。

発射時、砲身が後方へスライドして反動を吸収する。


火薬はバリスタイトを生成。

この反動制御機構に、ずいぶん時間を取られた。


それでも三連装砲となると反動がすごい。

いくら反動を抑えても、今の船体で耐えられるかどうか……。


チタンの三連装砲に徹甲弾。

弾頭には魔法陣を刻み、物理的に開翼。

発射した兵士が捕捉している目標へ誘導可能だ。


発射水平角60度くらいまでなら、ほぼ命中させられる。

高く打ち上げ、直上から甲板を貫く戦法も可能。


魔法陣は型を作り、弾体へ直接焼き入れできるようにした。


砲弾は何度も手作業で組んできた。

火薬込みで“一発分”のイメージ生成も可能だ。


――と、こんな具合に試行錯誤を重ねている。


「ま、いいや! 一旦これで、明日実戦テストだ!」


この期間で、レネイは索敵用ギミックと弾頭ホーミング魔法を完成させた。


カナハは毎日のようにテスト船で海を走り回り、ついでに釣りを楽しんでいる。

もう操船技術は俺より上だ。


町では、

『警備隊の帆を掲げた漁船が、いかれたスピードで走り回っている』

と、もっぱらの噂だ。


「ハルミチ様、お食事ができました。レネイさんを呼んできます」

「ありがとうございます」


「ただいまー! 見て!」

カナハが、謎のでっかい赤い魚を抱えて帰ってきた。


「でっか! それ食えるんですか?」

「わかんないw 食べてみよう! ミレイユ、さばいて!」


「とても大きいですね。紅腹鯛こうふくだいです。食べられますよ。白身でとても美味しいです。明日お出ししますね」


「うん! じゃあみんな席について食べよう」

「はい、いただきます」


メイドさん3人も一緒にテーブルについた。

オレを含めた今いる3人は、何か夢中になると家事炊事とか一切やんなくなるので、


エルネさんとミレイユさん。


ルシェナのブラックカードで二人のメイドを雇った。

メイドはギルドから給与が振り込まれるシステムらしい。


――明日は、ルシェナを船に乗せて防衛装備の展示会だ。


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