55話 タコのと戦い
タコの足がバタバタしてるだいぶ手前で船を止めた。
「護衛さん、船は操縦できますか?」
「ああ」
「よし!レネイ!動力の出力を調整してあげてくれ。ゆっくりな。舵は護衛さんにあずける」
「わ、わかりました」
「この船でここから離れてください。足がここまで延びる可能性もありますので」
「わかった」
「あなたは?」
「ここから走ります」
「は し る?」
「いってきます!――アイゼン!」
バシャッ!ザシュザシュ・・
俺は自分の周りの足元だけ海を凍らせて、靴にアイゼンを出し、
海の上を走ってタコのほうに駆け寄った。
頭が見えないな。足しか出てきてない。
「うわぁっ!」
壊された漁船の漁師がタコに巻き付かれている。
「兼光」
ブンッ、と刀を一本生成する。
「破邪!!」
大きく振りかぶりながら、さらに刀身を伸ばし、タコの足を切る!
タコの足まで遠いが、どこまで刀を伸ばせるか!
ムニュッ!
届いたが切れない!そうか・・タコだもんなぁ・・
「うおっっとっと!」
アイゼン出してても踏ん張らないと足元が滑る。
足元の氷も切らさず、滑らないように気を付けないといけない。
マルチタスク苦手なんだよ・・・
そうか!凍らせるか!
俺はタコの足まで走って足をつかんだ。
うわキモッ!イメージ!
「全部凍れ!本体まで凍れっ!」
バキバキバキバキバキバキッッッッッ!!
よし凍った!
ズモモモモモ・・・バシャァアアアッ
凍った本体が海面から持ち上がる
!でっっっっか!
足だけで20メートルほど。本体は直径10メートルほどか?
ザクッ!
凍った足を切って、漁師を助けた。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ助かった!ていうかオレどこに立ってんだ?」
「そんなことよりあの漁船に避難してください」
漁師を担ぎ、残っていた漁船まで運ぶ。
「助かったぞあんちゃん!あんたなんで海の上に立ってんだ?」
「魔法です。離れていてください。奴は凍ってるだけなので生きている可能性があります」
凍ったタコはめっちゃ赤くなっている。
さてどうしようか・・タコの急所は眉間だったか?
こいつも同じだろうか・・まぁやってみよう。
「ガトツ!!!」
ザシュッ!!うおっ!硬ったい!
氷を突き破って一応軟体までは届いていると思うが、
足元凍ってて踏み込みが足りない・・もうこのまま燃やすか
「インフェルノ!」
ボゥッ!!
「キュウウウゥウッ・・・」
タコが一気に白くなった。やったか?
「ハルミチさん!大丈夫?」
俺の船を護衛さんとレネイが操縦して迎えに来てくれた。
「多分終わりました。戻りましょうか!」
船に乗り込むと、ルシェナがそっと手を握ってきた。
「あなたの戦いを初めてこの目で見たわ。ほんと規格外ね。民を守ってくれてありがとう」
「あの。ルシェナ様。俺の手イカくさいんで、あまり触らないほうが・・」
「フフフッ!タコでしょ?」
ルシェナの手が俺の手を握ってヌチャヌチャしてイカ臭くなっている。
なんでタコ臭いと言わないんだろうか・・
俺たちは無事、港へ戻った。
――このあと、むちゃくちゃタコをもらった。




