53話 久しぶりの我が家
まだ秋の名残が、穂を狩りつくした野を縁どっている。
ベルデ村の朝にも、冬の足音がしずかに混じりはじめていた。
さっき二日酔いを治してあげたカナハがパカラパカラと馬に乗って来た。
「馬に乗れるようなったんですか?」
「フフ-ン。もらった。かっこいいでしょ。メジロっていうんだよ。これで帰ろう」
のこぎりクワガタのようなきれいな茶色の馬だ。これいい馬なんじゃないか?
よたよたとカナハの後ろに乗った。初めて馬に乗った。股痛い。
「カナハ、ハルミチ!またね!」
「ハルミチさん!すぐ帰ってきてね!」
「だんだん!」
「はい、おじゃましました。また!」
もうお土産はホントいらないと断り、それでも押し付けられたお土産をバッグに入れて、
村長一家に見送られて俺たちは家に帰った。
「カナハめっちゃ褒められてましたね」
「フフ・・やればできる子なんだよ」
村人のセリフには『すぐサボってたけど』っていうオチがあったが、
それでもなんか楽しそうに話してるのでまぁ、エンジョイファームしたんだろう。
さぁついた。久しぶりの我が家・・・
「おおお!畑が耕されている!」
「ふふーん!マグヌスが手伝ってくれたんだよ。大根、じゃがいも、キャベツ、玉ねぎ」
「すごいすごい!ありがとうございます!」
「一回帰ってきた時に畑が荒れてたからね。一回り小さくして柵も立てた。気休めらしいけど」
たった10日ですごい成長なんだけど。
俺も追加で畑の周りに大きな堀を掘って対策した。
家に入り、お茶とお土産のカワハギせんべいで一息入れた。
「この家でちょっとやろうと思ってた事があったんですけど、やっぱりまたすぐヒューズナセルに向かいます。海がないと船はテストできませんしね」
「むっ!海!船!」
「はい。一隻プロトタイプ作ったんですけど海賊戦で壊しちゃいまして」
「早く行こう!船乗りたい!海みたい!」
「早速明日にでも行きましょうか!」
今日はカナハが晩御飯を作る。マグヌスのおばあちゃんライラさんから料理を教えてもらったらしい。
根菜たっぷりのだんご汁、辛子レンコン、大樹の実の甘露煮。田舎の味覚勢揃いだ。
「いただきます」
うまい!
「美味い!!うまいぞー!」
「ふふーん。でしょ」
そう言えばアルマの料理と味が似てるな・・・そうか!
ライラさんが料理を教えるのが上手いのか!
「ごちそうさまでした!すごい美味しかったです」
「ふふん。また作ってあげてもいいんだからね!」
「かしこみかしこみまうす!」
突然のカナハのツンデレを可愛らしく思いつつ、
お風呂を洗ってお湯を入れた。
「お風呂どうぞ〜」
「一緒に入る!」
「洗い物するんで、先入っててください」
俺は洗い物をして、風呂に入る。カナハは先に体を洗い、湯船に浸かっていた。
「お邪魔しまーす」
「ヌヌッ!ハルミチ!いつの間にそんなにバッキバキの体になったの!前までしなだれてたのに」
「どこ見て評価してるんですか。海賊と肉弾戦でやり合わなきゃいけなかったから、自分の肉体を再構成したんですよ」
体を洗って湯船に入る。
「ほぉおコレはなかなか・・」
「チョ!カナハっ!ギャハハ!やだ触んないで変態!くすぐったいってw」
カナハが俺の体をワシワシと触って来た。
ちなみに馬に乗ってカナハに抱きついている時から思っていたのだが、
カナハの体が前に比べてだいぶプニプニしていた。




