51話 私の使い道
シャッシャッシャッ!
お掃除ゴーレムが、私の部屋を淡々と掃除している。
床を擦るたび、細かな埃がふわりと舞い上がった。
海賊襲来後の港の片付けや、ハルミチ氏の商船改造を手伝ったおかげで、
久しぶりにまとまったお金が手に入った。
そろそろ次の地へ向かおうか・・・
研究室の室員である私は、定期的に研究報告書を学院に送っている。
この街の件を報告すべきか否か迷っている。
ちなみにもらっているのは、肩書だけで給与はもらっていない
彼、「フタマタセ」の言う“魔法”。
大地のエネルギーを利用して発動するという理屈らしいが、
それを魔法と裏付ける根拠が見当たらない。
しかし私の魔法と近い性質を持っているのも確かだ。
ベルデ村の大樹の件は報告したが、ひとまずはその検証と考察の報告書を書きためて小出しに送ろう。
あの後、ハルミチ氏は本当に海賊と戦ったのだろうか・・
コンコン!
「レネイ、いるか?」
「はい、どうぞ」
ハルミチ氏だ。
「お前の宿を教えろ」と言われ、私のいる宿を彼には伝えていた。
最近私はこの人のいいなりだ。怖いというのもあるが、この人の力も気になる。
ドサァ!
「レネイさんこんにちは!たくさん買い出ししてきましたよ。お茶しましょう!」
「あ、はい」
「おお!ゴーレムは掃除もできるのか!すげぇな!……埃っぽいけど」
「窓を開けましょう。レネイさんいいですか?」
たくさんのお菓子を持ってアルマさんと二人で私の部屋に押しかけて、許しも得ず窓を開けた。
……この二人、どういう関係なのだろう。すごく気になる。
「海賊はどうなったんですか?」
「ん?倒したよ。レネイのおかげだ。ありがとうな」
「あの船だけで倒したんですか?」
「最後は羽が壊れて船が動かなくてやばかったけどな」
この街に海賊が襲来した時、私は部屋にこもっていた。
窓から見た砲撃と、その後の残骸はすさまじいものだった。
あんな奴らをあの船一隻で倒した?
「はいどうぞ」
「ありがとうございます」
アルマさんがお茶とお菓子を用意してくれた。
「お前、お金ないのか?こんな所に女子泊ってたらやばくね?」
「いえ、いい報酬をいただいたので、そろそろ出ようかと思っていました」
「なるほど。もっといい報酬が入る話があるんだけど」
「え!ほんとうですか?いえ、うまい話にのせて、私をいけない店に売りとばすとかじゃないですよね」
この人は油断ならない。
「安心しろ。そんなニッチな需要のためにわざわざお前を攫ったりしない。」
「ハルミチさん!失礼だよ!」
くっ・・なんだろう、この言い得ぬ敗北感は・・・
この二人とカナハという師匠の劣情を書くプランが生まれた。早くまとめたくなった。
「出元は領主様からの相談だ。この街の警備の船の改修。これはお前の魔法が重要になってくる」
私の魔法はたいてい気味悪がられたり、立派な図体の割には役に立たなかったりする。
学院の教導科目としては誰も習得出来ない特殊な魔法で、教師としても使ってもらえなかった。
おまけにこの性格であまり私には人が寄ってこない。
私の魔法は軍事に使えるのは誰でも分かるが、実際に魔法陣を作る時間の長さや、
魔法伝導塗料のコスト、そしてなによりこの人間性が使えないという点で
そもそも興味を持ってくれない。
だが、この人は違う。
私の魔法を必要としている。
子供のように目を輝かせて褒めてくれる。
そしてまた私の魔法の使い道を思いついたようだ。楽しそうな顔をしている。
「……お話、伺ってもいいですか?」
「ありがとう。これは継続的にお前の力がお前とこの街の利益になる話だ」




