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45話 高速商船

翌日、ルシェナが商船を手配してくれた。


「もう使えないからって持ち主は快く売ってくれたわ。だいぶ砲撃を受けているらしいけれど」

「かまいません。ありがとうございます」


「それで、その商船をどうするつもり?」

「おとりに使って海賊をおびき出します。接近したところで迎撃、船長の船を急襲します」


「ちょっとハルミチさん!あなたにそこまでの重荷を背負わせるつもりはないの。ここを奴らが襲わないようになればいいのよ」

ルシェナが眉をひそめた。


「俺の計画は船長のみの確保です。手っ取り早いでしょ?商船には研究中の特殊技術を使います。成功すれば、おそらく最速の船になります。仮に不利でも、逃げるのも最速です。――今の自分にできるすべてを使います」


「……わかったわ」

ルシェナは小さく息を吐いた。


「でも結局、結局一番難易度が高い気がするんだけど。そこまでの覚悟をさせてごめんなさい。頼んだ私が軽率だった。でも――絶対に死なない計画にして」

「はい。彼らの航路の傾向など、分かっている情報をいただけますか?」


「用意するわ。ほかに必要なものがあったら言って頂戴。街にあるものはこれで調達して」


ルシェナから彼女の名前と肖像が彫られているゴールドのカードを借りた。


「お借りします」


レネイ、アルマと3人で商船の置いてある港に来た。


「うわぁ。。ボロボロだね」

「浮かんでるだけマシかな。中も見てみよう。足元気を付けて」


当然、海戦なんてやったことはない。

俺にできるのは――錬金、のような何かだけだ。


この船は三層構造の木造船で、マストが4本。

最下層に貨物、二層目には護衛用の大砲が並んでいた形跡がある。構造自体はシンプルだ。


「じゃぁ、魔法でちゃっちゃと直しちゃいましょうか!アルマ、レネイ、俺の傍にいて」

「う、うん」「は、はぃ」


俺はメインデッキに手をついてイメージ。


まずはこの船体を修復。木造部分は素材はFRPに変更、木造ペイント、見た目は元通りに。

原型があるのでどう直せばいいかイメージはしやすい。

この大きさの船にFRPは使うのか?知らん!


「ドレイク!」


ギギギギギ……!


船体が軋みながら再構成されていく。

――が、その直後。


「ひぃい!」

「うわっ!ハルミチさん?!」


アルマとレネイが俺にしがみついてきた。軽くなって浮き過ぎたのか!やばい!


「アクア!」


最下層に水を満たすイメージを叩き込む。どうだ!


ジャバジャバジャバ……


「下がり始めた!」

「沈みすぎないといいんだけど……」


やばいやばい。こんな浅知恵であいつに勝てるのか?

しかも“積荷満載の商船”を装わなきゃいけない。

ちくしょう!せっかく軽くしたのに仇となるとは。


まぁいい。次だ!


「レネイ。お待たせ。君の出番だ」

「な、何すればいいんですか?」


「これだ!」ゴトンッ!


しまった!これだ!という呪文で出してしまった。ダイヤの大きなスクリュー。

この世界はまだダイヤの価値が分かってないので、利用方法としてはこんなもんだ。


「これは、ガラスの羽?」

「ガラスじゃないんだ。とても硬い石なんだけど」


説明用に小さなスクリューを出して、指にはめてクルクル回した。


「水の中のお尻に取り付けて、こうやって回すと船は前に進む」

「なるほど。造形も終わっているし、動きはシンプルなので簡単です」


「硬ければ力は増すんだよな。これを速く、強く回したいんだ」

「はい、可能です」


舵の構造も確認する。

舵輪からロープが滑車を経てラダーへ。これは前世でもこんな感じなのか?


「レネイ、このスクリューを船底につけるんだけど、魔方陣はこの舵輪に掘って操作できるか?」

「……命令する魔方陣とその命令を受け取る魔方陣の2つに分ければ可能だと思います。」

「なるほど、とにかくやってみるか」


船底の船尾をカットして、ラダーの手前に軸受けとシャフトをセットしてベアリングをはめて

スクリューをつけてストッパーをはめる。スクリューに魔法陣を刻むので、一旦シャフトまで作る。


よし!イメージ!


「バスコ!」


メリメリッ!ゴゴンッ――!


このスクリューに魔法陣を刻む、が塗料が水の中で消えてしまう…

いや、その上からコーティングすればいいのか。


「デサキ!」

紙と鉛筆をだした。


「この羽に刻む魔法陣をこれに書いてくれ。この羽根固いから俺が掘るけど、それでも行けるか?」

「はい、おそらく行けると思います」


レネイが紙に書いた魔法陣を、俺がスクリューの羽に刻んでいく。

刻んでいくといっても能力でレーザーのように彫る。


その間、レネイはゴリゴリと木の操舵輪の中央に魔方陣を掘りだした。


アルマが座り込んで俺の作業を見ている。


「ごめんなアルマ、退屈だろ?」

「ううん。知らないこと見てるの、楽しいよ」


この作業が戦いになるとロスでもあるな。確かに戦い向きじゃない。

レネイには高額報酬を出すという約束で手伝ってもらった。なので結構協力的だ。


「できました!」

「よし、俺もできた。これで合ってるか?」

「……はい、大丈夫だと思います」


スクリューと舵輪に掘った魔法にピンク色の塗料を流し込む。

スクリューの魔法陣が消えないようにコーティングする。


このダイヤスクリューを、船尾のシャフトにはめる。


「よし!テスト航行だ」


係留ロープを外し、舵を握った。


「では起動します。 クオーク!」


クオークは主電源。

舵の中央に彫ってある魔法陣がピンク色に光った。かっけー


「動かします。カリガ!」


ココココ……ブオーー!


なんか回ってる音する!

まえにすす・・後ろに進んどるがな!


「レネイ!ストップストップ!」

「はい!グルーオン!」


「スクリューが逆だったゴメンw」

スクリューの向きなんてわかんねーよ。


「あ、反対の回転にすればいいですか?」

「できるか?」


「はい、ちょっと魔法陣を掘り足します。」

臨機応変に対応してくれる便利魔法。


「今度俺が指示してみていいか?」

「はい」


「カリガ!」

ブオオオオオオ!!!!

前に進みだした……ぉぉぉおおおヤヤヤバイ!早い!


「わぁあすごーい!」

「レネイ!回転落として!」

「ハ、ハイイ!アルガ!」


馬力ヤバい!コレ、燃料なしでこの出力!アルマはのんきにはしゃいでいる。

もっさりした商戦が、前世のクルーザーみたいな加速だ。


「凄い!すごいぞレネイ!ありがとう!お前の能力ヤベェ!」

レネイの肩を掴んでブンブン振る。


「え、あ、はい」

「うふふ、ハルミチさん、子供みたいにはしゃいで!」


生前は海なんて興味なかったが――


「海っていいな」

「うん。風が気持ちいいね」


赤毛を海風でなびかせているアルマが美しい。


その後、沖合で何時間か指令の出し方と操縦方法を練習した。

出力が高すぎるため、竜骨は鉄鋼化。スクリュー周りの船底もすべて鉄鋼で補強。

舵のロープはワイヤーに変更し、滑車やラダーも強化した。


「お、おおろろろろっ……」

レネイが口から液体ゴーレムを出している。完全に船酔いだ。


ダイヤモンドのスクリューを搭載した高速商船――


その名も、


【コルベットコンゴウ】


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