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仮面と素顔

「今日はいっぱい楽しみたいな。最後の文化祭だし」

「そうだね」

淡々と答える。自分を落ち着かせるためかもしれない。

「どこまわりたいとかある?」

「いや特に」

「言うと思った」

「分かってて聞いたでしょ」

「そんなことないよー」

「とはいえどもシフトにいかないといけないでしょ」

「確かにそうだね。時間いつだったっけ」

彼女はシフトの時間を調べ始める。

何か話せる話題はないかなと考えていたら一つちょうど良いものがあった。

「そういえば昨日なんで休んでたの?」

彼女の動きが止まる。

「あー......昨日は......ちょっと......検査に......」

「あーなるほど。大丈夫だった?」

「あー、まーうん......特に......」

「それはよかった」

僕の余命が見える能力の中で一番の欠陥といえば間違いなくこれだろう。

僕は余命が年単位でしか見ることができない。

それゆえ余命が一年以下の場合、死ぬまでの詳しい日数は分からない。

ただ「一」と表示されるばかりだ。

「じゃあ行こっか」

「分かった」

その時の彼女の様子に少しでも気づいてあげられてたなら。

そんな後悔は今、知る由もない。






「最初はどこに行くの?」

「そうだねー。じゃああそこ行こっ」

ここはESS部の展示だ。どうやら動物占いができるらしい。どうして女子は占い系が大好きなのだろう。

「では英語で質問が書かれているのでそれに答えていってください」

「はーい。やろっ」

嬉しそうに質問に答えていく。それに続き僕もテンポよく質問に回答する。占い系の質問は自己分析をしなければいけないから好きではない。しかしそんなこと言っても仕方がないため手を動かす。

「結果でた?」

「まだ。多分そろそろ」

英語で書かれているせいで、いくつか質問の意味が分からないものがあったのは内緒だ。

「結果出たよ」

「どうだったの?」

「......ふくろう」

「あはははは、確かに似てるかも」

バツが悪くなる。

「ただの占いだよ。そんな君はどうなんだよ」

「私はね......犬」

「なるほどね。犬か......」

少し解釈が難しい。

「どうかした?」

「いや......なんでも」

「......そっか、じゃあ次行こっか」

「了解」

彼女はこの質問たちを仮面で答えたのか、素顔で答えたのか、それだけが君に問いたかった。

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