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文化祭

僕も詳しいことは分からないが、結局あの後、二人で話し合って事なき事を得たらしい。僕が教室にいなかった間に田中があの女子を説得してくれたらしい。しばらくするとあんな出来事がなかったかのようにクラスは元の陽気を取り戻していた。そういうことで一日を終えた先日だったが、今日はいよいよ文化祭が開幕するらしい。昨日は気づかなかったが、体育館へ歩いて行く道のりも明らかにいつもとは違う。天井にはアーチが飾ってあって、窓には折り紙の華が飾ってある。女子たちは頬っぺたにキラキラを貼っている。何がいいのやら......。

体育館にもシートが轢いてあって、いつもとは一味違う空気が漂っている。

まあ関係ないか......。

僕は自分の席を見つけて迷う事なく腰を下ろす。

所詮ただの文化祭だしな。

『文化祭、一緒にまわりたい』

そうだった。

だが今日はまだ、彼女の様子を見ていない。休んでいるのだろうか。

......。

なんとなく落ち着かない気持ちになった。


僕の学校の文化祭は二日間開催され、学年ごとに出し物が異なっている。一年生が合唱、二年生が展示と模擬店、三年生が劇だ。一日目の目玉は一年生による合唱で午前中はずっとそれ聞いていた。しかし僕は音楽に疎いのでどのクラスが上手とかよく分からなかった。

「それではこれにより、一年生の合唱を終了します。気を付けてご退場ください」

アナウンスが流れると同時に一気に体育館が騒がしくなる。

人混みに呑まれそうになりながら移動している最中に考える。

合唱中にも彼女の様子は見られなかった。席は出席番号順で決まっているため、見落としている可能性はない。じゃあやはり休みだろうか......。ならば仕方がない。

休みの理由なんか考えても分からないしな。

それに彼女とまわる必要も無くなった。

これでいい......。

虚無な一日だった。


文化祭は二日間開催する必要がないのではないか。

アナウンスを聞き流しながら考える。

大して面白くもないし、もう昨日だけでいい。もういらない。

文化祭みたいなのは一日だけだから特別であって二日間開催しても特別感が薄れる。そうに決まってる。

「ではご退場ください」

昨日と同様一気に体育館が騒がしくなる。

鬱陶しい人混みに紛れながら移動する。

また長い一日が始まってしまう。

なんというか本当に面倒くさい。

はあ。

そういえば彼女はどうしたのだろうか。

今日も休みか?

......。なんかもうどっちでもいいか。


いろいろと面倒だ。


「私は約束を守る女だよ」

「!」

慌てて後ろを振り向くと顔にキラキラした物をつけている女がいた。

「顔にゴミがついてるよ」

「はー?これはゴミじゃないし!可愛いでしょ?」

ノーコメント。

「本当に僕とまわるの?」

「私は約束を守る女って言ったでしょ?」

「僕とまわっても楽しくないよ?」

「もうその返答には慣れたね。ほら行こっ」

「はあ。分かったよ」

早足で駆けていく彼女の髪にはリボンが巻かれていた。


なんか、文化祭なんだな。


そう思った。

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