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物語る。  作者: 桃巴


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物語る。おまけ1・2

おまけ1


「リリアナ」


やっと、口にできた。

それなのに、顔を見れていない。

後ろから抱き締めているから。

それで、抱き上げた。

……胸に顔を埋めやがって。


「ジンジャーティーが飲みたい」


そう言うと、モソモソと腕の中が動く。

リリアナの顔を覗き込んだ。


「っ!」


瞳いっぱいに涙を溜め込んで、見つめてくる。

衝動を抑えきれず、額に唇を落とした。


目を見開いき、パチパチと瞬きしている。

ハクハクと口まで動いている。


「クックックッ」

「……なんで笑うのぉ?」


涙がやっと引っ込み、唇を尖らせている。


「世話のかかる師匠だな、と思って」

「そっちの方が!」


いつぞやの会話のよう。


「小屋に転移するぞ」

「ん、わかった。……ニセッキオ、治さないとだね」


「却下」


問答無用で転移した。




おまけ2


カイトは第一師団塔の前に立つ。

副師団長のセレスも一緒だ。


「封鎖されてますね」


セレスの言葉にカイトは頷いた。


「きゃつめ」

「なんすか、その言い方」


「なんとなく、ムカつくから」

「いやいや、面白がっているでしょ?」


「まあね。ルキオが自分でスカウトして連れてきた白魔女ちゃんを、ひと目拝みたいのに、まさかの封鎖魔法ときたもんだ」

「いや、でも、第三師団長はすでに白魔女さんの鑑定済みで、第一師団配属が適当だって判断したほどの実力だって、通達済みっすよ」


「だからだよ! なぜ、第二師団長の僕が、第三王子でもある僕が、会えてないんだ?」


というわけで、今日も今日とて、カイトは第一師団塔の前で仁王立ちしている。


「ルキオーー! 出てこーい!」


ひと声叫んで、しばし待つ。


「今日も駄目みたいっすね。さ、仕事に行きますよ」


セレスが『ほらほら』とカイトを促す。


「今日の仕事は?」

「第四師団補佐。魔力溜まりに酔った団員回収業務ですって」


ここ最近は、ずっとその仕事である。


「諦めて行きましょう。明日も付き合いますから、ね?」


セレスがカイトを説得する。

これも毎日のことになっていた。


だが、


「あ! 開いたぞ」


第一師団塔の出入口が開いた。

そこから、二人一緒に出てくる。


「……」

「……」


カイトもセレスも、ポカンと口を開けている。


ルキオが手を繋いでいるからだ。

それも、優しい眼差しで。


「おい、毎日うるさいぞ」


カイトとセレスを向いた瞬間には、さっきまでのあれが幻覚だったのではないかと思うほど冷ややか視線である。


「あ、カイ……じゃなくて」


白魔女さんが口を開いた。


「あ、かい? 赤いじゃなくて?」


カイトは復唱した。


「あ、快晴だな……なんて」


白魔女さんがアワアワしながら、空を見る。

カイトも空を見た。

どう見ても、どんより曇り空である。


「頑張りすぎて、目が疲れているんだ。今日はもう休もう。ジンジャーティーを淹れてやる」


ルキオが白魔女さんを気遣った。


「だめ、それは私がする」


イチャイチャ


なんだろう、僕は何を見せられているのだろうか? とカイトは思った。


「お初にお目にかかります。私は、第二師団副師団長セレス。ルキオ師団長に次ぐクランツ二位の美丈夫がこの私。やっと、会えましたたね、恥ずかしがりやのうさぎちゃんに」


雰囲気お構いなしで、セレスが白魔女さんの手を取ろうとするが、ルキオの凄まじい視線で石のように固まった。


「あの、はじめまして、私はリリアナです」


白魔女さんがカイトとセレスを見て名乗った。


「僕はカイト。第三王子で第二師団長を務めているよ」


やっと、名乗り合いが終了した。


「それで、これを調合してたの」


リリアナ君が小瓶を十本ほど差し出してきた。


「これは?」

「酔い止め魔法薬。魔力溜まりで酔った人に使って。本当は、もっと調合するつもりだったんだけど、ルキオが邪魔してくるから……」


リリアナ君が、頬を赤らめる。

どういう邪魔かな? ルキオ君、と視線を向けた。


「調合を間近で見てるだけだ」


シレッと返される。


「セレス、固まっていないで受け取れ」

「クスン、ありがとう、可愛いうさぎちゃん。ゲッ」


また、ルキオの視線がセレスに突き刺さった。

可哀想に、セレスの手が酔い止め魔法薬を受け取ったまま本当に石化していた。

もしや、さっきのあれで石化魔法を修得したのかよ。ルキオ、恐るべし。


「第三師団長に無効化してもらえ」


つまり、ちゃんと酔い止め魔法薬を鑑定してもらって来いってことを隠して言ったわけ。

リリアナ君の魔法薬に保証をつけるためだね。

よくわからない新参者の魔法薬になるからさ。

でも、大丈夫だって知ってるって……ん? わかるって。


ルキオがこれだけご執心なんだからさ。


ってか、この小瓶どこかで見た……あっ、あの『万能薬』の小瓶と同じだ。


なるほど……そういうことか。

ちゃんとルキオに万能薬(リリアナ君)は届けられたってことだよな。


「今日のところは退散するね」と僕。

「じゃあ、また明日、うさぎちゃん」とセレス。


そう言い逃げして、第三師団塔に転移した。





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