78話 国王、帝王は犬猿の仲
よろしくお願いします。
カツッコツッ.....
薄暗い通路に響き渡る1つの足音。だが、見える影は2つである。つまり、一人は浮いているのだ。その二人は通路を歩きながら話をしている。
「創造神め。どこまで我の邪魔を......!」
「だから私を御呼びになられたのでしょう?閻魔様」
「.....で?その我に協力してほしい事とはなんだ?」
「流石、閻魔様.....話が早くて助かります。私めは甦らせる.....いや、生み出したい者がおります.....」
「勿体ぶらすな。名は?」
すると浮いている影は途中で立ち止まりゆっくりと、と言った感じで口を開いた。
「名はありません。しかし、仮に付けるのであれば.....ヘイト──邪神 ヘイトでございます」
「邪神.....ヘイト......まさか、そいつに倒させるのか?──創造神を.....」
それには言葉で答えずただ首を縦に振った者の顔は歪んだ決意で満ちていた。だが、邪魔な創造神が居なくなるのは閻魔としても好都合。乗らない手はないので片手を前に出して握手を求める。
「分かった。協力しよう──デモゴルゴン」
「フフフッ......懐かしい名前で呼びますね。ヤマ様」
「さっ!そろそろ出発しますね!青龍様」
「ウム、気ヲ付ケルノダゾ?小僧ノ旅ニ幸多カランコトヲ」
「えぇ、青龍様も海の異変があると言っていましたので御体にはお気を付けて」
「ウム、海ハ我ノ棲ミカ。異変ハナントカ見ツケ出シテミヨウ。デハナ」
フィルスは青龍とそれ以上は言葉を交わさず、頭を下げて砂浜を後にし、馬車へと乗り込んだ。
「流石はフィルスだね~。その人を引き寄せる力は帝王でもビックリだよ」
「え、い、いやそんなことは....皆さんが優しいだけですよ」
【謙遜も一人前だね~】
〈それは完全に貶してるよね!?それに!謙遜じゃなくて事実だし!〉
そんな声がサティウスに届くわけもないのだが、言っても言わなくても何も変わらないだろう。
フィルスはため息を吐いていつもの事だと苦笑する。馬車は目的地へ急ぐために走り出した。
この時から王都に着くまでは一週間程かかったがその分、帝王や執事のマークリウス、近衛兵達とも仲良くできたので疲れてることはなかった。
道中で「帝国第一騎士団に入らない?」と帝王から言われたが残念ながら救いたいのは帝国ではなく世界なので丁重にお断りしておいた。落ち込む帝王にクレプーを作ってあげるというと、治りはしなかったが渋々了承してくれて、改めてクレプーの効き目の威力を知ったフィルスであった。
「ダジリア王国国王ってどんな人なんですか?」
「あー、もう、がみがみ五月蝿いおじさんだよ!国の王たるもの!とかなんとか言ってさ~.....!面子ばっかり気にするろくでなしなんだよ!」
「そ、そうなんですね......」
本当に嫌いなようでぶつぶつと口を尖らせて文句を呟いている。だが、そんなことをいってる間にも王都は近づき正門まで来てしまった。
商人の行列は相変わらずであるが帝王であるハーリスがいるため、順番待ちなどはせず、追い抜かして門を通してもらう。あっさり通った門を抜けて王城へと馬車を走らせた。
ありがとうございました。
次回は国王が登場します!お楽しみにっ!




