こんな化け物、どうしてこうなったの!?
出産から2日経過、
食事を与え静かになるよう眠った…
しかしその束の間に何度も、
『ギャ゛オオオオオーーーーー!!!!グギャ゛アアア゛ア゛アアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!』
ユキ「(え!?また!?もう4回目だよ!?なんで!?)」
ユキ「(いい加減にしてよ!!私を休ませて!!起きる度に身体がとても痛くて辛いのに!!)」
『グオ゛オオオオオーーーーー!!!!ガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーー!!!!』
空腹の度に目覚める赤ちゃんは大きく空腹を訴えるような怒声をあげて起き出し、リビングのソファーに横になって休んでいた私は空腹を訴える赤ちゃんの大き過ぎる図太い獣奇声音を聞いて何度も何度も深夜でも関わらず目を覚ます。
ユキ「(本当は私の母乳で授乳しながらゆっくりと育てていくつもりだったのに。どうして。)ま、待ってて。待って、ね。今ごはん持って行くから…」
『ギャア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーー!!!!』
その度に私は急ぎながらも痛む身体に鞭を打って慎重に起き上がり、キッチンへと歩んでポリバケツの蓋を開けた私は再びもう一人の知らないバス乗車の生存者だった誰かの頭部を掴んで血だらけの皿へと置いた。
食事を持った私はゆっくりと背中を壁につけて壁伝いするよう寝室へ向けて進み、産後の交通事故みたいな凄まじい身体の痛みに額から汗を多く流し激痛を堪えながらやっとの思いで寝室前へと辿り着く。
ユキ「お、お待たせ…。開けるねー」
私は扉の先から大きく怒鳴り声をあげる我が子へと声を掛けて、ドアノブへと触れた私は扉を開けた。
その瞬間、
『ゴガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!』
ユキ「きゃあ!?」
開けた扉の先から猛スピードで伸ばすよう飛ばしたあの変異した片腕の肉の繊維が片手に持った頭部が乗ったお皿ごと鉤爪を用いて鷲掴むよう掴み、そのまま私の手から強奪する勢いで寝室内の血まみれのベッドの上に居る赤ちゃんはお皿ごと乗った頭部を大きく開けた口で噛み付く。
『………。』
ユキ「…。」
あれほど騒がしく騒いでいたのに美味しそうに黙々とお皿ごと人の頭部を食べる姿と、不快な咀嚼によるくちゃくちゃ音を生々しく寝室前の廊下で聞きながら…
ユキ「…気持ち悪い。」
ユキ「…。」
私はゆっくりと寝室前から離れ、再び背中をつけて壁伝いをしつつリビングへと戻る。
私はソファーへと倒れ込むように横へなった後、
ユキ「食べてる間でも…休まなきゃ。」
ユキ「せめて後2日は…休ませてよ。私の赤ちゃん…。」
『ギャア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛アーーーーーー!!!!』
『グオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
ユキ「…。」
疲弊していた私はそのまま深い眠りに落ちるよう、途中大きな怒鳴り声があがっても身体は横になったまま動けず時間だけが過ぎていった。
朝…ある程度時間が経過した頃合いにて、
ユキ「…あ。もう朝…ううん。お昼、だ。」
ユキ「結構、深寝入りしちゃった…。……。」
高く登った陽の光を顔から受けた私は漸く目覚め、私はまず顔を洗うべく洗面所へと向かう。
洗面台の上にあった鏡へと見上げて、今の自分の素顔を見るなり…
ユキ「…なんか……老けた?」
ユキ「私……こんな…老けて、…たっけ?」
ユキ「…。」
元々18歳の若々しい顔をしていたというのに、今となってはおばさんぐらいになるよう顔がひどく老けていて、両目の下に隈ができるほど酷い状態でやつれていた。
まだ産んだばかりなのに酷過ぎる姿だ…。私はとにかく顔を洗うべく蛇口を横へ捻った。
その直後、
ユキ「え…。」
透明の水が出るはずの…血のように真っ赤に染まった液体が勢いよく出てきて、それを見た私は思わず息を呑むよう背後の壁へと後退りした。
私は血のようにいっぱい出ている洗面台の水を見ながら、
ユキ「ど、どうなって…一体…」
目の前の信じがたい光景に混乱していると、大きく目を見開いている私の隣から…
ゲン「驚いてる暇あんならとっとと逃げろよ。結婚詐欺おばさんが。」
ゲン「あんな化け物を今捨て置けばまだ間に合うぜ?なぁ?」
ユキ「!何を言って……あれ?また…。」
見下す姿勢で言い放つ冷酷な表情のゲンが現れ、私は急ぎ声を掛けてきたゲンの方へ顔だけ横に向けるも誰も居なかった。
私は少し乱れた呼吸をしながら、
ユキ「お、落ち着こう。一旦。」
ユキ「ひとまず…リビングへ行って…。…。」
私は赤い水が立て続けに出ている洗面所から離れ、ふらつきながらもリビングへ移動した私は、テーブルの上に置いてあった虹色の飴入りの瓶へと手を伸ばし、入っていた一つの飴を掴んで口へと入れた。
舐める度に色んな果物の味がするほんのひと時を感じながら、
ユキ「(美味しい…。落ち着く…。しばらく、この飴を舐めて過ごすかな。)」
ユキ「(あの子がある程度大きくなるまでは、これで…。)」
全て舐め終わったと同時に満腹感を感じ、私は少し離れた先にあった一軒家で手に入れた透明の水入りボトルを手に取って水分を取る。
その後私は、
ユキ「赤ちゃんの様子…見なきゃ。あの子のママ、だから。」
ユキ「どんな事があっても、あの子を簡単に見捨てたりはしない。しっかりと、育てなきゃ…。」
ユキ「あの子の親だから。母親としての、責任だもん…。ちゃんと…やらないと。」
この時間になってでも静かな寝室の様子を見るべく、私はまだ痛む身体を引き摺ってでも進み、閉ざされた寝室前の扉へと辿り着く。
ユキ「お、おはよう…。よく寝ー」
私は声を掛けながらゆっくりと扉を開けた。
その開けた隙間から目にした…
ユキ「え………」
ダブルベッドの上に佇むようにいた小さな赤ちゃん…。
深夜までまだ赤ちゃんの形をしていた姿が、今ダブルベッドの形になるぐらいに四角い肉塊へとなるよう大きく変形していた。
ユキ「…。」
片腕奇形だった肉の繊維の触手がダブルベッドだった足場からなん本も生えるようイソギンチャクの触手みたいに変形するよう左右に揺れながら伸び出ていて、そのうちの数本が寝室内にあるタンスや照明スタンド、見つけたボロボロのクマ人形へと伸ばす。
ユキ「…。」
赤く蠢く肉の一部から口と飛び出ている片目、トロンと出ている脳の一部が不規則な動きで滑るように現れ、開けた口へと次々と放り込むようタンスも照明スタンド、クマの人形もお構いなしにバリバリと綺麗に並んだ歯茎で貪り食べる姿を目にした。
私は、
ユキ「赤ちゃんじゃない…赤ちゃんじゃない…赤ちゃんじゃない…。」
ユキ「でも見捨てておくわけにはいかない……どうしたら。………。」
音を立てないよう寝室の扉を閉めて、私は産んで経った2日で変異してしまった我が子の現実に絶句するよう立ち尽くした。
続く。




