第八十五話 覇界棍メテオスラスター
次に作る武器についてだけど……やっぱり物理的な近接武器ってなると剣が思い浮かぶ。
剣なら長めに作れば攻撃範囲はディスコラプサーより広がる。ただ、よくよく考えると空中にいる状態でそういう武器を振るったところで踏み込みみたいなものが存在しないから威力出ないのでは……?
シダがロボット系のアニメだとビーム状の剣とか使ってることが多いっていうのもそういうことなのかな。物理的な破壊じゃなく高出力で焼き切るみたいな。
それができない以上、武器にも何かしらの出力が必要になってくる。
剣ならそれこそギュスターヴの連鎖剣みたいにチェーンソーみたいな機構にするとか。ただその場合、ドリルと若干方向性がかぶるような気もする。
相性の良さを考えるのなら……ディスコラプサーは弱点特攻が高いから、装甲破壊の高い武器で弱点を作り出す動きは強いかも。ディスコラプサー自体にも付いてたけど、他の数値も見た感じ打撃武器ならもっと高い数値になるはず。
「ロボットの打撃武器と言えば何があるかな?」
『ハンマーとか?』
『打撃は腕部武装が多い感じはある』
『トンファー!』
『巨大な剣とか斧で圧する感じは実質打撃武器かも』
『普通に棍みたいな長物とか?』
「モーニングスターとかもありますよ!」
ハンマーは方向性としては悪くないけど打撃部分がデカくなりすぎる。背負うことを考えると難しいかも。
腕部武装はガントレットみたいな感じかな。トンファーも似たような物だけど、ドリルより広いレンジで戦う想定なのでこれもなし。
巨大な剣とか斧で実質打撃武器、みたいなのはアリフラのシステム的にも行けそうではある。見た目と武器種が違う武器は作ったことあるし、そういうロマンも分かる。剣みたいな鉄塊振り回す主人公とかカッコいいし。
ただ、どうしても武器種と形状が離れると運用に癖が出てしまう。結局武器の形はその用途に最も適した形になるわけだから……。
それでいうと棍はそこそこいい感じかも。無骨な感じもあるし、リーチも長くできる。
モーニングスターもいいけど、扱いの難しさを考えると棍の方がいいかも。
「棍に[噴射]のUNITを並べて加速させれば威力関連も解決するかな」
『なるほど~』
『棍いいよな』
「モーニングスターの鉄球部分にスラスターを付けるとかどうですか?」
「それ使いこなすの難しくない……?」
シダのモーニングスター推しがすごい。確かにそれはロマン感じるけど鉄球の移動方向が読めなさすぎて自爆しそう。操作するプレイヤーが上手ければ行けるのかもしれないからもし今後また作る機会があったらそのときは試してみてもいいかも……? 少なくとも初期武装としては難しすぎる。
というわけで、背中に装備する武器は棍にする。
イメージは機兵の全長と同じくらいの長さを持つ、巨大な六角柱状の装甲棍。そこに噴射装置を組み込み、強制的に加速させる感じ。
「まずは本体の素材かな」
棍本体に必要なのは、単純な硬さよりも折れにくさと衝撃への強さ。装甲を叩き割る武器ではあるけど、打撃のたびに武器本体が歪んだり折れたりしたら意味がない。
素材一覧から候補を探し、高靱性構造鋼と高密度白鋼から作られる重靱構造合金を選択。高靱性構造鋼をベースにして、そこに高密度白鋼を加える。棍としての粘りを残しつつ、打撃武器に必要な重さと硬さを足すイメージだ。
「で、これを六角柱状に成形」
形状設定で六角柱を選び、長さを機兵の全高とほぼ同じくらいに指定する。
完全な円柱ではなく、角の立った六角柱。丸い棒よりも打撃面がはっきりしているし、装甲を叩き割る武器としてはこっちの方が似合う。
実行すると、格納庫の方で大きな駆動音が響いた。
まとまった量の金属が消費され、格納棚の奥から長大な六角柱状の素材がゆっくりと運び出されてくる。同時に机の上にも縮小モデルが表示された。
『でっか』
『もう柱じゃん』
『武器というか建材』
『これを振るのか……』
コメントの反応もまあ当然だと思う。実際、まだこの段階では武器というより巨大な構造材にしか見えない。
まずは中央部分にグリップと接続用の加工を施す。機兵が両手で持てるように中央を少し絞り、滑り止めのような凹凸を刻む。背中に装備するためのマウント部も必要なので、片側面には収納時に固定するための溝を作っておく。
その上で、全体のバランスを調整。特に先端に行くほど少しずつ分厚くなるように。六角柱のシルエットはある程度維持したまま、重量を調整していく。
次に、打撃面。
六角柱の一面を主打撃面として設定し、そこだけ分厚く補強する。積層装甲材を重ね、その上からさらに高密度白鋼を重ねる。
「こっちが殴る側。で、反対側に噴射装置を並べる」
棍を回転させ、主打撃面の反対側を表示する。ここに、[噴射]のUNITを組み込んだ推進器を一直線に並べる。振り抜く瞬間、この噴射装置が一斉に火を噴き、棍を打撃方向へ加速させる仕組みだ。
方向がわかりやすいようにUNITを組み込むパーツは噴射口を模した形状にしておく。噴射口の素材には噴射時の高熱に耐えられるよう耐熱ニッケル合金を使う。さらに周囲を積層装甲材で覆い、補強する。
机の上で位置を調整すると、格納庫側でもマシンアームが巨大な六角柱へ推進器を組み込んでいく。棍の片側面に噴射口が一直線に並んでいく。かなり無骨だ。飾り気はほとんどないけど、それが逆にいい。
こうして棍の先端からある程度のところまで噴射口を設置。[噴射]は先端ほど強くなるようにすることで機兵を中心に遠心力を利用する想定で設定していく。
そして、打撃面の面の左右に小型の噴射口を設置。別のUNITとして設定することで、軌道を安定させたり振った後の制御に使うことができる。こういうのをあまり増やしすぎても操作が大変だし、出力は低め、数も少なめに設定。
最後に全体の補強を行い……。
「よし、こんなところかな」
細部の干渉チェックを行い、背部マウントに収めた時の状態も確認する。機兵の背中に沿わせると、棍の長さはほとんど全身と同じくらいになる。かなり目立つけど、装備としての収まりは悪くない。
最後に名前を付けて完成だ。
「壊天槍ディスコラプサーに合わせる感じで……覇界棍メテオスラスターにしよう」
――――――――
覇界棍メテオスラスター
武器種:棍/機兵用武装
攻撃力強化+4580、打撃強化+760、装甲破壊+680、防御貫通+440、衝撃拡散+260
機兵用多重加速棍。
幾重にも重ねられた推進炎が、振り抜かれる棍身に壊滅的な威力を与える。
落着する隕石にも似た一撃は、大地も装甲も等しく砕き伏せる。
――――――――
比較的レンジの長いメテオスラスターで装甲を破壊し弱点を作り、近距離まで詰めてディスコラプサーで弱点特攻の乗った連撃を叩き込む。
かなり理想的な組み合わせになったんじゃないかな。
これでひとまず完成ということで、試運転を見せてもらおう。
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