↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
願い星ー宇宙を駆ける王位継承レース  作者: ネコ雲


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/25

宇宙への旅立ち



「そういえば、サクラはどうやって地球に来たんだ?」


 こうきに尋ねられ、サクラは答えた。


「宇宙船で来たの。でも、地球に着いたときに壊れてしまったわ」


「じゃあ、修理するしかないのか……」


 こうきは腕を組んだ。


「宇宙船はどこにあるんだ?」


「こっちよ。人目につかない場所に隠してあるの」


 サクラはそう言うと、四人を連れて歩き始めた。


     ◇


 やがて五人は、東京湾にある倉庫街へとたどり着いた。サクラは周囲を確認してから、一つの倉庫の前で足を止める。


「ここよ」


「こんなところに隠してたのか」


 こうきが倉庫の中を覗き込むと、そこには一隻の宇宙船が置かれていた。


「これがサクラの宇宙船か!」


 ひろきが目を輝かせる。


「でも、壊れてるんだろ? どうやって直すの?」


 ゆきが尋ねると、サクラは宇宙船を見上げた。


「それが……」


 サクラが宇宙船に近づき、そっと手を触れた。


 すると――。


 ウィィィン……。


「えっ?」


 宇宙船が突然、動き始めた。船体に明かりが灯り、内部から起動音が響く。


 五人は驚いて顔を見合わせた。


「ちょっと待て! 壊れてたんじゃないのか!?」


 こうきが声を上げる。


「私にも分からないわ……。確かに壊れていたはずなのに」


 サクラも戸惑いを隠せなかった。


「誰かが修理してくれたってことか?」


 みずきが宇宙船を見回す。


「でも、誰が?」


 ゆきの問いに、答えられる者はいなかった。


「とにかく、これなら宇宙へ行けるわ!」


 サクラの言葉に、ひろきが目を輝かせた。


「よし! いよいよ宇宙だな!」


「でも、準備もなしに出発するわけにはいかないだろ」


 みずきが冷静に指摘する。


「それもそうだな」


 こうきもうなずいた。


「じゃあ、明日出発しようぜ!」


「分かったわ。明日、またここに集まりましょう」


 サクラの提案に、四人も同意した。五人は翌日の出発に備え、それぞれ準備をすることにした。


 仲間たちが帰ったあと、サクラは一人、動き出した宇宙船を振り返った。


 ふと、父の言葉が脳裏によみがえる。


『サクラ。地球へ行きなさい』


 あのとき、父はそう命じた。


 なぜ地球なのか。地球で何をすればいいのか。サクラには何も分からなかった。それでも、父の言葉に従って地球へ向かった。


 知らない星で、一人きり。頼れる人もいない。これからどうすればいいのか、不安でなかったはずがない。


 それでも、ここまで来た。


 そして今、自分の話を信じ、一緒に宇宙へ行こうとしてくれる仲間がいる。


 こうきは好奇心に満ち、ひろきは宇宙へ行けることを心から喜んでいた。ゆきはみんなを気にかけ、みずきは冷静に先を考えてくれる。


 それぞれ違う四人が、自分と一緒に旅立とうとしている。


 サクラの胸に、温かな喜びが広がった。


 地球に来たときには、こんな仲間ができるなんて思ってもいなかった。


 ――一人じゃないんだ。


 そう思うと、自然に笑みがこぼれた。


 この気持ちは、まだ誰にも話さなくていい。


 サクラは胸の内にそっとしまい、明日の出発に思いを向けた。


     ◇


 翌日。


 東京湾の倉庫街に、五人が再び集まった。


「みんな、準備はいい?」


 サクラが尋ねると、四人はうなずいた。


「もちろん!」


 こうきが笑顔で答える。


「それじゃあ、行きましょう!」


 五人は宇宙船に乗り込んだ。サクラが操縦席に座り、操作を始めると、宇宙船がゆっくりと浮かび上がった。


 窓の向こうで、東京の街並みが少しずつ遠ざかっていく。


「うおおおっ! 本当に飛んでるぞ!」


 ひろきが窓に張りつく。


「すげえ……!」


 こうきも目を輝かせ、眼下に広がる街を見つめていた。


 地上から離れた宇宙船は、大気圏を抜け、広大な宇宙へと飛び出していく。


 こうき、ゆき、ひろき、みずき、そしてサクラ。


 五人の新たな旅が、今、始まった。


     ◇


 誰もいなくなった倉庫街。


 一人の老人が、五人の乗った宇宙船が飛び去った空を見上げていた。


「旅立ったか……」


 白い髭をたくわえた老人は、静かに呟く。


「星の雫石に導かれた者たちが、五人……」


 老人は、遠ざかる宇宙船を見つめた。


「これで、始まるな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。