幕間 あの三人、どんな関係に見える?
ジョーはモフモフ亭の壁にもたれ、エステルに肩を縫われていた。
「痛えな。聖女様なら、もう少し優しくできんのか」
「動かないでください。弾が骨を掠めています」
ブルーは傷つき倒れた騎獣の鞍を外し、黙って首筋を撫でていた。
シルクは何も言わず、その隣へ座った。
「アンタ見かけは変わっちまったが、中身は変わらないねぇ」
ブルーがポツリと語り掛けた。
「今回の一件もソレが原因さ」
「ふーん、なんか複雑そうだな。」
フィンは厨房から水や物資を運びエステルたちの補助をした。
アポロは鍋へ残ったスープを薄め、負傷者へ配った。
誰も、辛うじて手にした勝ちを祝わなかった。
敵陣では、第二陣の旗が立ち始めていた。
ジョーが椀を受け取り、アポロを見上げ、
「礼はいいぞ」というと
「言うつもりはない」
「そうか。なら生きて返せ」
アポロはソレには答えず、次の椀へスープを注いだ。
そして
「今度一杯おごるよ」
「おいおい一杯だけかい」
「あぁそうだ今回寄せてきてるのも言ってみりゃ借金取りみたいなもんだからな」
「なんか笑えねぇぞ」
「ねぇねぇシャーベット。あの三人、どんな関係に見える?」
「うーんとね。女王さまとはやっちゃった感じだけど、まだ聖女さまとは何もなさそう。」
クリムゾン・ファングの若い娘たちが囃し立てていた。
エステルが顔を朱に染め”ぎょっ”と驚いていたが、シルクは動揺の片鱗もみせなかった。
「おいおい、その辺りは話さねぇ 嗜みが欲しいな」
アイアンウルフの古参であるジョーが、またもや割って入るが、
「でもこんなに”いい感じ”でやんないのはヘタレだね」「ねー」
「若い娘にゃかなわねぇ」
「おいアポロ、何かコメントしねぇのか」
「修羅場というハーレムだからな」
周りから少なからぬ哄笑が起きる。
肩を一つ竦めるジョーだったが、
「痛ッてッ!!」
縫合したばかりの肩を押さえて、その場にうずくまった。
「だから動かないでくださいと申し上げたでしょう!」
エステルの叱責に、今度はさらに大きな笑いが起きた。
立ち去ろうとしたシルクへ、エステルが小声で独り言を漏らす。
「……そんなふうに見えるんですね、私たち」
と言い、シルクが振り返り、形容しがたいほど妖しく目を細めた。
「嫌かい?」
というと
エステルは少し考えて、
「……いいえ」
と答えた。




