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幕間 明日は腹が減る

 最初の攻撃は日没前に止んだ。

 本格的な総攻撃は翌朝。

 誰もがそう理解していた。

 モフモフ亭の窓には板が打ちつけられ、テーブルは入口の防壁へ使われた。

 鍋には、残っていた肉と豆と根菜が入っていた。

 アポロが火を見た。

 エステルが玉葱を切った。

 シルクがパンを切った。

 外では、城門を補強する槌の音が続いていて、三人は作戦の話をほとんどしなかった。


 エステルの目から涙が落ちた。

「玉葱です」

 誰も訊いていないのに言った。

「そうだな」

 アポロが答えた。

 シルクは何も言わず、少し厚めにパンを切った。

 食卓へ三つの皿が並ぶ。

 白銀の薔薇を通じ、それぞれの恐怖は三人全部に伝わっていた。


「私にも分けてください」

「シチューなら自分で取れ」

「そうではありません」

 エステルは匙を置いた。


「二人が抱えているものをです」

 アポロは黙った。

 シルクが鍋を持ち上げ、エステルの皿へもう一杯盛った。

「食べな。明日は腹が減る」

 エステルは微笑んだ。

 今度の涙は、玉葱のせいではなかった。


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