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8歳にしてバツイチ! ~お先真っ暗な男爵次男の運命の人は?~  作者: グーグー


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10.王都騎士団入団式

 

「ディック、また!」

「おう!アーツ、またな!」


 二人は、笑顔で別れた。

 今日は貴族学校の卒業式だったのだ。


 子爵家次男のディックは年下の伯爵令嬢との縁談が無事にまとまり、令嬢の2年後の卒業をまって正式に結婚となるらしい。

 僻地の伯爵領に修行にだされると憂鬱な顔をしていたディックだが、あと2年は王都の伯爵邸で秘書的な仕事をするのを許された。

 伯爵が令嬢に泣き落とされたらしい。

 ディックって、愛されてる。


 アーツは第三騎士団なので、魔物退治で王都を留守にすることも多くはなるが、それでも、遠い領地に引っ込まれるのとでは、会える頻度は違うだろう。

 だから、笑顔でお別れできる。

「またね」って!


 *****


 入団式当日になった。


 真新しい第三騎士団の式典用の制服を着て、王城へ向かう。

 王都全ての団の新米騎士が正装で参加し、王から激励のお言葉を賜る大事な式典だ。


 アーツは、事前に、『第三騎士団初の魔法使い採用だから注目されるだろう』と、ロス副団長に聞かされていた。

 ロス副団長は、初対面以来、なにかと気にかけてくれる頼もしい上司なのだ。

 面白過ぎて、たまに上司だということを忘れそうになる。それがアーツの目下ささやかな悩み事だったりする。


 会場に到着すると、すでに訓練所などで顔を合わせている同期の仲間が来ていたので合流した。入ってすぐに見つけられたと、安心していたら、

「あ~良かった、早いうちにアーツと合流できて!俺らド庶民が来るとじゃねーわ。キラキラしてて、壁とかにもたれていいのかもわかんねーし!」

「俺も~。心細かった~!」

「お~、同期唯一の貴族様!心強い!」


 そう言いながら、もみくちゃにされた。

 どうやら、アーツは癒し枠のようで、激しい訓練のあとは、和む~とか、癒し~、とかいって、もみくちゃにされている。

 一人だけ魔法剣士ではないので、まったく別メニューの訓練になるアーツは、同期の大変さが分からないので、『よくがんばったんだね~』といいながら、されるがままになっている。


 *******


 そんな姿をみて、『ますます訓練が厳しく、激しくなるんだろうな~』とニンマリ笑っているのは、引率役のロスだった。


 ロスは、アーツと会った後、ムラノ団長に押しかけて、現状を聞き出していた。


 あのヴァルが!かわいこちゃんを見るために、わざわざ書類を届けに第二に押しかけているなんて!

「アーツのふわふわ茶髪をうちの団員がわちゃわちゃ~っとしたときには、歯ぎしりが聞こえたんだぜ!」

 これには、腹を抱えて笑わせてもらった。


 そして、第一のフリント団長にも突撃した。

 今までは、ロスもフリントも、お互い少々苦手だと思って距離をとっていたが、この話題のおかげで、距離が一気に縮まった。


 ロスが、笑顔で楽しく相槌を打っていたら、

「あ~、お話しできてスッキリしました。そうそう漏らせる話でもありませんしね」

 と、フリント団長に感謝までされた。


 いや~、引くわ~。勝手に自分の保護下に置いている妄想して、第一騎士団に自分のものだって宣言したなんて。比喩か妄想かと思ったら、本当だったか~。


「困ったことに、第二騎士団が主導で、『入団後何か月目にヴァルが告白するか』の賭けが始まっているようです」

「そこまで皆に認知されてますか。恥ずかしい奴だな~」

「あれで無自覚というんですからね。それをセドリック第一王子も面白がっていらして、特別推薦なんて枠を考えたのも王子なんです」

「うわ~、ヴァルってば、遊ばれてますね~」

「まあ、アーツ自身は本当に真面目で、実力もあって、素直で、第一騎士団の結界班でもトップ合格間違いなしですから、試験免除の特別推薦は彼にとっては、メリットもデメリットもないんですけれどね」


 色恋におぼれていても、見る目は確かだったようだ。


「そんな青田買いができるなんて。ヴァルはどこで彼を見つけて来たんですかね?」

「ああ、ロスはいなかったですかね?我らの落ち度で、去年学校が魔物に襲われた事件の時ですよ。アーツが簡易の結界魔法を叫びながら生徒を避難させて、講堂に立てこもって、一人で結界を構築したんですよ。初めて魔物をみて、よくパニックにならずにできたものです」

「あ~、話は聞いていました。その彼がアーツなんですね」



 そんな、こんなで、話をしていたら、あっという間に時間が過ぎていた。もう、フリント団長とは、マブダチかもしれない。


 *******


 会場の壇上を見るとヴァルが出てきていた。今日は団長として、王の隣に控える役だ。

 その隣で、ムラノ団長とフリント団長が笑いをこらえている。


 もしかしたら、ヴァルの歯ぎしりが聞こえているのかもしれない。



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