2.非日常
俺の抵抗虚しく、隣に決定してしまった。
まあ声に出してすらいないから抵抗もクソもないけど…
「よろしくね。」
と普通の男子ならその場で恋に落ちそうなくらい可愛い笑顔で声をかけてくる。
「あ、ああ。こちらこそよろしく。」
自分でもびっくりするほどぶっきらぼうに返事する。
前では先生が、今日のお知らせなどを話している。
それが終わってチャイムが鳴るなり、クラスの半数近くの人が隣の席に集まる。
「ミオちゃんってどこから来たの〜?」
「誕生日っていつ〜?」
「どんな子がタイプなの〜?」
と色々な質問が投げられる。それを丁寧にひとつずつ答えていく。
「えっと…元々ここら辺に住んでいたんだけど、親の都合で海外行ってまた帰ってきたんだ。だから同小とかならあるかもね。」
「いや〜、随分人気だね。」
といいながらリョウマが近づいてくる。
「なんかあの子元々ここら辺住んでたらしいよ。」
「詳しいね?」
「いや〜、ね?いくら席から立って少し遠くで話してても女子たちの声が大きいから全部聞こえてくるんよ!決して盗み聞きしてた訳じゃないよ!決して!」
「2回も決してって言ってその慌てようだと怪しい以外の言葉出てこないよ?まあ付き合い長いから最初から疑ってねぇって。」
ならいいんだが……。
「思っていた数倍は可愛いね!ミオちゃん!」
急に声をかけてきた方をむくとリンがいた。
「だよな!噂通りめっちゃ可愛いよな!」
「確かに可愛いけど、それを彼女持ちがいうのはどうなの??」
「いやそれな。こいつ隙あらば浮気しようとするからね。もう1回いっといたほうがいいかな?」
「チョマッ!!冗談やって!もちろんリンが1番よ!」
「ほ〜ん?」
「へ〜。」
「2人とも信じてねえな!?」
「いやだってねぇ?」
「な。だってさっきも同じことやって殴られてるのに繰り返すなんてねぇ?まさかMになった?」
「マジで?私殴られるのが好きな人と付き合ってたの?」
「それ、肯定しても否定しても地獄じゃねえか!あまりにも酷くね?」
「さっきまでの発言繰り返してみる?」
「申し訳ありません。」
「分かればよろしい。」
こいつもう尻に敷かれつつないか?しかし突っ込むとリンになにか決められる可能性があるのでスルースキルでリョウマを犠牲にする。お前のことは3分くらい忘れないぞ!
授業開始のチャイムが鳴ると隣の桃瀬が話しかけてくる。
「ごめんまだ教科書貰ってないから見せてくれない?」
「もちろんいいぞ。」
机をくっつけて授業を受ける。今日は特別時間割なので1時間の数学に耐えるだけで帰ることができる。だから「全力で取り組むッ!!」という訳でもなくめんどくさいのでこっそりゲームの周回をしながら授業を聞く。
授業が終わってSHRが始まる。また担任が次の日の連絡事を伝えていく。
「〜ってことでHR終わるぞ〜!あ!あと夏樹!この後桃瀬に学校の施設案内しといてくれ!」
「それは先生の役目だし、めんどくさいのでパスで!」
「第1に私は忙しい。第2に桃瀬と数学の時間中仲良さそうに話していたじゃないか!」
クソっ聞かれていたのか!地獄耳め!
「どうせさっさと帰ってビール片手に映画観るくせに……」
「夏樹〜!なんかいったか?」
手をゴキゴキと鳴らしながら話す。
「もちろん喜んでお受け致します!!」
「ならばよろしい!じゃあ頼んだぞ!」
このクラスには暴力的なやつしかいないのか……?
学校生活に必要な施設をだいたい説明して一緒に帰ることになった。聞いたところによると家の方向は同じらしく歩きながら雑談に花を咲かせる。
「そういえばそろそろ俺の家に着きそうなんだけどき、桃瀬さんの家はどこにあるの?」
「私もそろそろ着くよ!」
そして家の前に立つ。
「俺の家ここなんだけど桃瀬さんの家は?」
「この隣だよ?」
「マジでいってる?」
「マジよ。」
確かに今日の朝引越しのトラックが止まっていた。
「でもなんでそっちは驚いてないの?」
「え?えっとね……私が家を出た時にちょうどその家から出てくるところが見えたからね。」
「ああ!なるほどね。」
「そっ、そういうことだから…じゃあまた明日!」
「おう、また明日な。」
手を振り返しながら考える。
なんで最後あんな慌てていたんだろう……?




