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49. 魔法使いと幽霊の駆け引き

 ペケゾー@wizard34 2月8日

 助けてくれ!

 住所がばれた リッチにおれのが

 ポストにスマホがあってデザリングしないといけない!!



 しばらくして■酒井カレンこと美月からの返事



 ■酒井カレン@blackmask79 2月8日

 落ち着け!

 なに言ってんだか全然わからん

 ポストってなんだ? ゼータの書き込みのこと? それとも郵便のポスト?

 スマホってなんの話よ?


 ひきこもってコミュニケーション能力が下がったのか……美月に上手く説明できない。

 上手く状況を説明しようと長文を打っていると美月からのメッセージ。



 ■酒井カレン@blackmask79 2月8日

 なあ、まどろっこしいから電話かけてこいよ



 メッセージには、電話番号も一緒に添えられている。


 で、電話……?

 いや、引きこもりに電話させるなよ……!

 しかも相手はハッカー…………だけど……。

 たしかに電話のほうが手っ取り早い。

 …………もう本名もバレてるし、今さらだな……。


 カケルはPMに示された美月の電話番号に自分のスマホからかける。



「も、もしもし……」とカケル


「え? 小学生?」


「高校生だよ!」


「お、おう……そうか

 ……ペケゾーこと神楽坂カケルは高校生、と」


「あ……!

 お前~~卑怯だぞ!」


「別に、ひっかけで言ったわけじゃない。本当に小学生かと思ったよ。声変わり、まだきてないのか?」


「……きてるよ。こういう声だよ、悪かったな……お子様で」


「ハハ、まあそう怒るな。

 で、リッチがなんだって?」


 カケルは今朝あったことを時間をかけながら話した。



「ふう~~ん、赤いスマホねえ……」


「色なんてどうでもいいだろ。それより、これ……どうしたらいい?

 デザリングしたほうがいいのか……それとも無視しちゃっても大丈夫だろうか」


「なあ、ペケゾー……いや、カケル君って呼んだ方がいいか?」


 [……カケルでいいよ、おれは美月でいい?」


「年上なんだけど?」


「……美月さん」


「うん……で、カケル君

 この間みたいに魔法使って、リッチが誰なのか、突き止められないの?」


「それが…………無理なんだ。

 理由は教えられないけど……」


「そうか……ところでカケル君のスマホにはセキュリティソフト、入ってるか?」


「え? ああ、入ってるよ」

 黒スマホには入ってないが、元々自分のには入ってる。


「じゃあ、デザリングしてみるのも手じゃないか?

 現状は、リッチの出方を探るしかない」


「そうだけど……簡単に言うなよ」


「デザリングすると、カケル君のスマホの端末名と機種名が接続先としてリッチの赤いスマホに表示されるけど……本名使ってるのか?」


「うん……まあ、名前はもうバレてるからいいけど…………あ!」


「どうした?」


 カケルはなにかを思いついたように立ち上がり、スマホを耳に当てたまま押入れをごそごそと漁る。


「あった、あった」


 押入れの奥からUSBケーブルを取り出すカケル。ケーブルを持って再びテーブルの前に戻ってくる。


「多分偶然だろうけどリッチが送ってきたスマホ、おれが小学生の時に持ってたスマホと同機種なんだよね」


「へえ~~」


「中学に入って新しいスマホ買って貰った時に、データを引っ越しするのに使ったケーブルがまだあったんだ」


「ラッキーじゃないか。USB接続でのデザリングなら、まずハッキングはされない。パソコンにあった、外部メディアを繋げた時にファイルを自動実行する機能はスマホにはないからな。

 もし、" データアクセスを許可しますか? "みたいなポップアップが出たら、全部拒否でいい」


「ありがとう、繋げてみる!」

 USBケーブルを二台のスマホに繋げながら、カケルが美月に話しかける。

 ケーブルの長さは一メートルあるので、繋げながらでも通話は苦にならなかった。


「…………ところで美月……さんは、今なにしてるの?

 いや、急に連絡して時間取らしちゃってるし……」


「大学で実験レポートの作成をしてたとこだよ

 丁度気分転換したいとこだったから、気にするな」


 カケルは自身のスマホの通話口を手で塞ぎ、黒スマホ内のベルに向かって小声で喋る。


「ベル、今おれが通話してる美月の現在地を調べろ。

 GPS切ってるなら、中継してる基地局の位置。わかったなら、音声ではなくテキストでのみ教えろ」


『了解です、マスター』


 カケルはまだ、美月のことを信用していなかった。

 美月はブラックマスクのメンバーで、リッチもまたブラックマスクのメンバーだ。なんらかの繋がりがあってもおかしくない……。



「おい、カケル。聞こえてるか?」

 カケルのスマホから美月が応対を求めている。


「あ、うん……聞いてる。

 今ちょっと親に呼ばれてて……」



翔琉カケル~。

 お父さん、仕事行ってくるからな。ナツのこと、頼むぞ」


 タイミングがいいのか悪いのか……階下から父親が声をかける。


 うるせえ……とっとと行け!



「そうか……っていうかさ、カケル君」と、今度はスマホから美月が声をかける。


「な、なに…?」



 黒スマホにベルからの通知が入る。カケルは美月と通話しながら、それを読む。


『大林美月は東京都新宿大塚町の基地局を通じて通話しています』


 カケルはテキストで応対する。


 [そこは稲田大学に近い基地局か?]


『はい、そうです 大林美月が稲田大学から通話している可能性はかなり高いです』


 ……嘘は言ってない、か。



「そういうカケル君は、今どこにいるの?

 今日は火曜日、平日だよ」


 …………だな。



「……自宅。おれ、ヒッキーだから」


「あ、そうなんだ……まあ、別にいいよ。……なんか悩み事があるなら、相談に乗るよ?」



 ……乗らんでいいよ。会ったこともない他人に相談できるくらいなら、とっくに脱ヒキしてる。



 ドゥウーーン!


「わっ……!」



 思わず声が出た……リッチが渡した赤スマホに反応があった。ゼータのアカウントだ。



 ■Lich@blackmask321 2月8日

 指示に従ったようだな、ご苦労

 デザリングは外すな、そのままだ

 充電も怠るな

 この二つを守らなかったら、お前の住所を全世界に晒す



 ……この野郎!


「おい……カケル君、どうした?」


「……スマホをデザリングしたら、リッチから反応がきた」



 [ベル、このリッチの書き込み……辿れないか?]カケルのテキストでの対応。



 黒々ますく掲示板での、■Lichリッチの書き込みは辿れなかった……。

 駄目元で、赤スマホについたポストを調べてみる。


『少々お待ちを……』



「リッチの奴、なんて言ってきたんだ?」


 美月の問いにカケルが応える。


「デザリングをしたままで、充電もしとけってさ、

 送って来たスマホでのみ、連絡がしたいみたいだな……。

 意味わからん」


「とりあえずは従っておけ。

 あとは対応していくなかで、隙を見つけて反撃していくしかないだろう」



『マスター!

 ■Lichリッチは、稲田大学から投稿しています!』


 ……なんだって!?

 駄目元の行動が……駄目じゃなかった!



「ベル、大学のパソコンって、学生が好きに使えるのか?」


『いいえ、学籍番号とパスワードが必要です』


「なら、誰が使ったかわかるな!?

 稲田大学から、このリッチのスマホにメッセージを送ってきた学生は誰だ!」




「カケル君?」


「あ、うん……ごめん、聞いてる」


 電話での、美月とのやり取りを適当にかわしながら、カケルはベルの答えを待つ……。



『学籍番号と照らし合わせた結果……その赤スマホにゼータからメッセージを送ったのは、赤木大輔アカギダイスケ、稲田大学の一年生です!』


 …………そいつが、不死の王Lichリッチなのか!?

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