25. カケルの決意!
[だから、カケル君は関係ないの!]
[蒼高校一年生神楽坂カケル君って、もえさんにとって、どういう人なんですか?
ひょっとして彼氏? もえさん、ライブ配信で恋人はいないって言ってましたよね?
それって僕らリスナーに、嘘をついてたってことですか?]
[カケル君は彼氏じゃないよ、友達]
[ただの友達をスタッフのふりして、僕との話し合いに連れてくるんだ。
悪いけど、信用できなあ]
カケルはモニターの前に立ち、アヤ丸というモンスターの発言を睨む。
…誰だよ、こいつ……!
沖縄在住の山崎満じゃない…それは間違いない!
問題は……
「なんで北海道在住のこいつが、沖縄在住の山崎満のスマホを持ってるんだ?」
『飛ばし携帯の可能性が強いですね』
ライチョウマークのついた黒スマホより、ベルが呟く。
「飛ばし携帯? なんだそれ?」
『他人や架空の名義で契約された携帯電話です。
携帯電話不正利用防止法により、厳しく規制されている犯罪行為です』
………犯罪…。
『特殊詐欺や闇金融など、犯罪目的で身元を隠す時に利用されてることが多いですね』
[それ…一般人でも、手に入れることができるの?」
『可能です、もっともリスクはありますが…。
ネットの端末売買掲示板ではSIMカードを抜いた本体のみの、いわゆる白ロム販売の他に、SIMカード付きの違法販売を行っているところもあります。
おそらくはそこで、入手したのでしょう』
……山崎満は、未成年者へのわいせつ事件が元で会社を解雇され、以降は派遣で食い扶持を繋いでいる…。
金の足しにと、自身の名義を売ったのか?
まあ、いい…なんにせよ、からくりは分かった。あとは……反撃だ!
「ベル、スマホの位置情報から、奴の現住所、分かるな?」
夜の10時過ぎ…自宅に居るで間違いないだろう。
『…ちょっと難しいですね』
「なに!? なんで!?」
てっきり、ここから反撃ができると思っていたカケルは軽くずっこける。
『スマホのGPSの精度には数十メートルの誤差があります。
地下や屋内ですと、100メートル以上の誤差も珍しくありません。
時間的に自宅に居ることを考えると、正確な現在地の割り出しは難しいです』
……そうか。
ちくしょう…かなり絞ることはできたけど、特定には至らず、か。
くっそお……なにか…なにかないか?
こいつの居場所を特定できる方法…。
カケルは再び、部屋の中をうろつき始める。
もうちょっと…もうちょっとなんだ…………!
……………………あ!
「そうだ、ベル。
アヤ丸はWi-Fiからネットに繋いでるって言ったな!
自宅のWi-Fiルーターのはずだ。
そのルーターの契約者名義は分かるか!?」
『分かります。
伊藤健二 男性 52歳』
…52歳!?
あ、そうか……家族で住んでる可能性もある。
「その伊藤健二の住所と家族構成を調べろ!」
『了解、出します』
スマホの画面に情報が流れ出す…!!
札幌市中央区伏見4丁目 25-101
世帯主 伊藤健二 男性 52歳
伊藤ゆかり 女性 51歳
伊藤蓮 男性 24歳
伊藤一馬 男性 22歳
よし! よし! よおーーーし!!
住所は割り出せた!! あとは…………!
ルーターの契約者である伊藤健二は、年齢的に違うだろう…
伊藤ゆかりも女性だから違う……となると残ってるのは、この二人…。
伊藤蓮
伊藤一馬
……年齢的にも、この二人のどちらか…どっち…………どっちだ!!
ぽお~~ん
ウンほじアカにPM。
[カケル君、どうしょう
アヤ丸君がカケル君の学校に電話するって言って聞かないの!]
……蒼高校の防犯は警備会社に委託してたはず…。
今電話をかけたところで誰も出ないだろう。
[もえさん、ごめん
アヤ丸の正体は山崎満じゃなかった]
[え、そうなの?
じゃあ、えっと、どうしょ?]
[調べなおして、二人までに絞れた
もうちょいなんだ
申し訳ないけど、あと5分耐えて
高校に電話かけさせても大丈夫だから!]
[わかった!
カケル君のこと、信じる!]
……………信じる、か…。
こんなおれを信じてくれるんだ……
数か月前の雨の日…魔術師カマリ・橋本を助けた時と同じように、引きこもり少年の心の奥底から強い意志が湧き上がる……!
見つける…必ずストーカー野郎を見つけ出し、白日の下に引きずり出してやる!!
" ごめん、無理だった~~アハハ " なんて言い訳は、絶対にしないぞ!!
グループチャットでは完全にもえがモンスターに追い詰められていた。
[じゃあ蒼高校に電話するね。
電話番号は0×◇5-7〇-2378
場合によっては、逮捕もあるよね。
酷いな、もえさん。
未成年の彼まで巻き込んじゃって]
[アヤ丸君、カケル君は本当に関係ないから!]
もえさん、もう少しだけ耐えてて…!
その翡翠もえに、モンスターアヤ丸が" 噛みつく "
[電話には誰も出ないね。
最近の学校は宿直当番とかないからなあ。
もえさん、それ分かって僕に電話してもいいって言ったのかな?
また僕を馬鹿にしたね]
必ず…必ず、このモンスターを叩き潰してやる!!




